AnimeJapan 2014の2日目のビジネスセミナーでは、「アニメの仕事とこれからのアニメ業界」と題されたトークショーが行われた。登壇者はサンライズ代表取締役社長の内田健二氏、ボンズ代表取締役社長の南雅彦氏、NBCユニバーサルエンターテイメント・ジャパンの上田耕行氏、ユーフォーテーブル代表の近藤光氏に司会者としてアニメ評論家の藤津亮太氏を加えた5名。アニメファンにとっては、著名なアニメ制作会社の社長たちが一堂に会する貴重な機会となった。昨今では動画配信サービスの好調のかいあって、アニメ業界は上向きであると言われる。そこで司会の藤津氏は、まず今のアニメ業界をさらに発展するために必要なものは何かと登壇者に質問した。サンライズの内田氏は「一言で言うと、海外」と説明した。映画産業のハリウッドでは、既にヨーロッパや東アジアなどの様々な外国人が活躍している。同様にアニメの世界も海外の優秀な監督や制作者とコラボレーションしていく必要があると訴えた。他方、ボンズの南氏は人材ではなく、市場の観点からも海外が重要であると述べた。ここ何年かの間、アニメの制作予算は横ばいであり、変化はない。そこでより大きな予算を獲得するには海外市場に目を向ける必要があるという。実際にアニメ系の海外イベントは好評であり、ファンも着実に増えていると、南氏は見ている。ユニバーサルの上田氏は「国政のメス」という異なった論点を述べた。現在、アニメを含めたコンテンツ産業に対して、経産省や文化庁の支援が行われているが、より現場に則した「メス」を入れて欲しいと上田氏は訴える。具体的に、作画バンクや背景画のライブラリ化、コンテンツのロイヤリティの公平な分配制度、コンテンツ制作のためのより良いインフラの整備などが指摘された。対して、ユーフォーテーブルの近藤氏は、より精神論的な意見を述べた。ロイヤリティや制作費以上に、「何を作るか」ということが一番重要だと近藤氏は強調する。またアニメがより良いものになるためには、視聴者が求めているものだけではなく、求めていないものを作らなければいけないという。つまり、みんなが見たいと思っている想像の範囲内の作品ではなく、これまで想像できなかった作品こそ、イノベーティブであるということだ。予想外にエモーショナルな近藤氏の意見に会場は盛り上がった。「作りたいものを作れるのは優良企業だけで、多くのスタジオはそんな余裕がないのでは?」という上田氏の意見に対して、「それをユニバーサルが支えればいいじゃない!」と返答。サンライズの内田氏もこれまでのアニメの歴史を振り返りつつ、近藤氏の野心に共感を示した。
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