また、オープニングテーマ、エンディングテーマ共に不思議な魅力を発しており、主題歌を担当した宇宙人はオープニング曲『惡の華』を制作する際、50パターンにも及ぶメロディー群から4個のメロディーを厳選し、それぞれ「春日高男」「仲村佐和」「佐伯奈々子」「群馬県桐生市」をテーマにドラマ性の高い組曲としてまとめ上げ注目を集めた。エンディング曲は世界的にも評価の高いASA-CHANG&巡礼『花』のアレンジバージョン『花-a last flower-』が選曲、陰湿で不気味にも聞こえるこの名曲もまた第1話オンエア時から大きな話題となった。
『第1部 完』という字幕と共に衝撃のまま幕を下ろしたテレビシリーズから三ヶ月。10月6日、押見修造原作『惡の華』より始まった世界にまたひとつの華が咲いた。作詞・作曲=しのさき あさこ(宇宙人)、編曲=宇宙人 / ASA-CHANG&巡礼、アートワーク=押見修造による完全オリジナル楽曲『白日夢』だ。ラジオ番組での何気ない会話から本格リリースへと至った『惡の華』の新しい楽曲。
リリースを記念して原作者・押見修造先生と宇宙人・しのさきあさこさんに、新曲やジャケットに込めた思い、そして意外なところから『惡の華』へとつながるエピソード、また今後のことなど、じっくり話していただいた。
[取材/構成 細川洋平]
■ 押見「ぼくは知らなかったんですよ(笑)」
ー 『惡の華』のオリジナル楽曲を新しく作る、というのはそもそもラジオ番組(※ミューコミプラス)の放送中に決まったとのことですが、その経緯をおうかがいできますか。
―しのさきあさこさん(以下しのさき)
もともと大ファンだったASA-CHANGさんとラジオにゲスト出演した時に「一緒に曲を作ってください」とお願いしたら、ASA-CHANGさんが「いいですよー」って言ってくださったんです。そしたらASA-CHANGさんが押見先生を巻き込んじゃおうぜってなって、3人で一緒に作ることになりました。
―押見修造先生(以下押見)
ぼくは知らなかったんですよ。ラジオの生放送のオンエアを聞いていて、ぼくのこと言われてるなって(笑)。混ぜてもらえるというのはうれしかったです。
ー どういう形で動くかは、ラジオのオンエアの段階でどの位まで決めてらっしゃったんですか?
―しのさき
その時は全くノープランでとにかく押見先生は何かで参加してもらおうと。それならジャケット、イメージイラストを描いてもらおうという話になって、ASA-CHANGさんが「曲に押見先生の声を入れちゃえ」という提案もして、参加してもらうことになりました。
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■ 曲のテーマは『中学生編の終わり』。
振り返れば夢のようで、置き去りにされている感じがする
ー そしてタイトルも発表になりました。
―しのさき
『白日夢(はくじつむ)』です。
―押見
『白日夢』。「夢」というのがすごくイメージにあっていると思ってます。
テーマとして原作の「中学生編の終わり」というのがあったんです。今、漫画は高校生編になってるんですけど、そこから振り返ると中学生時代が夢のようで、閉じ込められて置き去りにされている感じがあるなと思ったので。
ー 曲のテーマを中学生編の終盤としたのはしのさきさんとASA-CHANGさんのラジオの中で決まっていったんでしょうか。
―しのさき
アニメで最終回を迎えたところは、原作ではすごいことが起きる直前なんです。
―押見
寸止めですよね(笑)。
―しのさき
そこから先の一番エネルギー放出する場面を曲にしようって決まったのは、ニコ生の会議です。
―押見
ニコ生の流れの中で。
―しのさき
一番盛り上がる、中学生編の大サビみたいな部分を一曲にしてみました。
―押見
ありがたい。