日本のアニメ作画の世界を米国で披露 ジャパンエキスポUSAのトークレポート | アニメ!アニメ!

日本のアニメ作画の世界を米国で披露 ジャパンエキスポUSAのトークレポート

日本のアニメの文脈を、もう一度整理し直し、海外に紹介する企画「The spirit of Anime“SAKUGA”: From Japan to USA:日本のアニメを技術で楽しもう」がジャパンエキスポUSAで開催された。その様子をレポートする。

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この夏、米国のシリコンバレー(サンタクララ)にて、ジャパンエキスポUSAが開催された。毎年、夏にパリで行われている日本カルチャーイベント/ジャパンエキスポの初の米国版である。
イベントの趣旨は、日本の様々なカルチャーを総合的に米国に紹介するものだ。それでも、やはり来場者の人気の中心は、アニメやマンガ、J-POPなどのポップカルチャーだ。開催3日間は、お気に入りキャラクターのコスプレをしたファンも訪れて、最新のアニメ・マンガ情報を堪能していた。

一方、日本の文化を伝えたいとのコンセプトのもと、アニメの分野でもこれまでにない試みが行われた。長年、培ってきた日本のアニメの文脈を、もう一度整理し直し、海外に紹介する企画である。8月23日の午後、ジャパンエキスポUSAのメインステージで開催された「The spirit of Anime“SAKUGA”: From Japan to USA:日本のアニメを技術で楽しもう」である。
「日本のアニメを技術で楽しもう」は、これまで海外ではあまり語られなかったことのなかった、アニメにおけるアニメーターの仕事をトーク、プレゼンテーションするものだ。アニメの作画を知ることで、より深く作品を楽しめればとの趣旨である。

ステージに登壇したのは、日本のアニメ、特撮研究の第一人者である氷川竜介氏、米国でアニメの評論やライター、イラストレーションなどを手がけるベンジャミン・ライト氏である。イベント・企画などのプロデュースを手掛ける藤田健次氏の司会のもと、トークを進めた。
トークは全体で1時間半と海外のこうした企画では、かなりたっぷりめとなっていた。しかし、それでもアニメ作画の広大な世界を語るには、とても十分とは言えない。そこで今回は、冒頭に藤田氏がアニメにおける作画の重要性を解説、その後は、日本のアニメーターの第一人者で故人となった金田伊功氏の仕事を氷川氏が語り、ライト氏が米国の受け手としてそれに答えるかたちとなった。

作画を語るうえで、アニメーターの一人の仕事に絞るのはなかなかの荒業である。しかし、誰か一人、海外で紹介する際に選ぶとしたら、金田氏は最も相応しい人物に違いない。
海外のアニメファンの多くが魅せられる日本のリミテッドのアニメのなかでの固有の表現は、金田氏の果たした役割、影響が大きい。また、金田氏はロボットアニメからスタジオジブリまで、日本を代表するアニメを多数手がけており、米国のファンにも分かりやすい。何よりも氷川氏は、金田伊功氏の研究でよく知られている。この結果、トークとプレゼンテーションは、非常に充実したものとなった。

氷川氏が、数々の資料を引きながら、そもそも金田氏の仕事とはなんであったのかを解き明かしていく。参考資料として挙げられる映像、そして雑誌「アニメージュ」の記事なども膨大だ。会場を訪れたファンがそれらを真剣に見ていた。これだけのボリュームのトークは日本でもあまりないはずだ。
ライト氏の作画への造詣の深さも驚かされた。これまでに米国では日本のアニメに興味のある人は多いが、作画への関心は薄いとされてきた。それだけにライト氏が、摩砂雪氏が『サンダーキャット』(旧作)のオープニングを手がけた例を出した時には驚いた。米国でも、日本アニメの作画に深い関心を寄せる人は少なくないのだ。

それだけに今回のトークも、意義の大きなものだったと言える。アニメの作品を楽しむのに、その背景を知るとより楽しくなるはずだ。そして、これを通じて国境を超えたアニメーションの文化交流はもっともっと広がるはずだ。
コスプレイベントやアーティストのライブも悪くない。しかし、アニメ・マンガのイベントで、もう少しアニメそのものを掘り下げる企画を加えるのもよいのではないかと、トークを通じて感じた。今回の「日本のアニメを技術で楽しもう」は、日本の文化を広げるジャパンエキスポUSAという場にまさにぴったりな企画だった。
[数土直志]
《animeanime》
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