『ジョジョの奇妙な冒険』の生原画を中心に、マンガ家・荒木飛呂彦さんの30年の画業を辿る展覧会「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」が、10月6日から始まった。東京・六本木の森アーツセンターギャラリーが、過去の代表作で埋め尽くされている。荒木飛呂彦さんの作品、業績を紹介するのは、この夏に仙台で開催された「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町」に続く。しかし、展示構成はかなり異なる。先の展覧会は、作品とその舞台とのつながりに大きなスポットあてたが、六本木ではデビュー時から始まり、『ジョジョの奇妙な冒険』のシリーズが発表された年代順に追っていく。展覧会で驚かされるのは、その会場の大きさ、展示作品の豊富さである。通常はあまり公開されることのない生原画などを中心に200点以上が並べられている。また、作品から飛びだした等身大フィギュアや大日本印刷との協力で実現したAR展示、Googleとのパートナーシップによる遠隔操作型スタンド「リモートロマンス」のインタラクティブな試みなど、エンタテインメント性も盛り込んでいる。じっくり鑑賞するとなるとかなり時間を取ることになるだろう。展示の見どころは多い。シリーズの出発点となった「ファントムブラッド」の冒頭、連載最初の生原稿はファンには堪らないものだろう。そして、近年の作品関連のビジュアルイラストは、年月が経つにつれ、ますます凄みを増す荒木飛呂彦さんの絵に圧倒される。作品の人気、評価が年々高くなっていることとも無関係ではない。今回は、ジョジョの世界と日本のカルチャーをピックアップした「ジョジョ日本八景」が、展覧会のために描かれ、会場に展示されている。こちらは是非とも鑑賞したい。展示原画は、冒頭の「ファントムブラッド」以外は、マンガ連載のものは意外に少ない。むしろ作品の表紙やビジュアルイラストが中心になっている。この選択は的確だ。荒木飛呂彦さんの絵はマンガであると同時に、イラストレーションとしても1枚の完結した作品になっているからだ。その特徴である極端にディフォルメされたポーズ、丹念に書き込まれた絵、入念に検討されたアイテムひとつひとつ、それ自体がドラマを語る。絵一枚で、その背景の描かれなかった物語が表現されている。それを堪能することが出来る。美術展ならでは作品にピックアップだ。そして、多くの人は展示を観た後は、マンガ本編を読みたいと思うに違いない。展覧会は11月4日まで、およそ1か月間続く。大きな反響を巻き起こすことになるだろう。今後は、イタリア・フィレンツェでも大規模な展覧会の開催を予定している。荒木飛呂彦さんと『ジョジョの奇妙な冒険』の世界は、さらに広がっていく。[数土直志]荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展/http://araki-jojo.com/gengaten/tokyo/開催期間: 2012年10月6日~11月4日開催場所: 森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ)開館時間: 10時~22時(会期中無休)入館料: 一般・大学生1800円(2000円)、中学生・高校生 1300円(1500円) 小学生 600円(800円) 前売り料金(当日料金)全て税込 *未就学児は無料
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