日本アニメも大好き 「月と少年」のエンリコ・カサローザ監督インタビュー 後編 | アニメ!アニメ!

日本アニメも大好き 「月と少年」のエンリコ・カサローザ監督インタビュー 後編

『月と少年』は2012年の米国アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた傑作だ。子と父と祖父、3世代にわたる一族が、月夜に不思議な仕事と経験をする。カサローザ監督に『月と少年』の制作について伺った。

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日本アニメも大好き 「月と少年」のエンリコ・カサローザ監督インタビュー 後編
短編の魅力、長編の魅力



■ 短編アニメーションと長編アニメーションの違い

――AA
『月と少年』には非常に美しいノスタルジーを感じるのですが。そうした点は意識されたのでしょうか?

――E・C
ロマンチズムを込めて、自分の子供時代を思い出したりしながら作品を作っていました。子どもたちが観た時に、どうやったらインスピレーションを与えることが出来るか、大人がみたらこれに何を求めるだろうと考えました。
大人に対しては、子どもの時に戻ってあの時はよかったなと感じて欲しいと思いました。それがノスタルジーですよね。『月と少年』を観た時は、少年の気持ちになって、少年の目を持って驚嘆して欲しいと感じています。

――AA
今回は短編アニメーションでしたが、長編と短編の間には違いはありますか?

――E・C
とても違いますね。長編は短編より様々な組み合わせがとても難しいですし、長い時間もかかります。それはマラソンのようなものだと思います。普通で4年、何かトラブルが起きれば5年かかりますからスタミナも必要です。
長編映画のイメージは、何度も何度も嵐に巻き込まれ、そのなかで何があっても自分の旗を持ち続けるというものです。
嵐のなかでは自分はこうしたいけれど、こうしたほうがいい言われることもあります。そうした時にどうすればいいのか。自分が思ったことを持ち続けることもまたチャレンジです。

また、長編になると起承転結といった物語構造もより重要になってきます。
そして、正直に言えば短編では、それ自体で映画興行などの回収をする必要が小さいわけです。長編になれば、そうした面でのプレッシャーも大きくなります。より商業的でなければいけません。そうなるとどんな人をターゲットにするかを考えなければいけません。
より自由で、実験的になれるのが短編だと思います。だから今回はとても楽しかったですね。


■ 長編アニメーションにも挑戦したい

――AA
今後、長編アニメーションの監督にトライしていくことは考えておられますか?

――E・C
もちろん長編はいつかやってみたいと思います。その時は、今回の『月と少年』にあるようなパーソナルでシンプルな感性を持った長編にしたいと考えています。
嵐に見舞われても、指針となるコンパスを持っているなら大丈夫だと思います。ですから自分が作りたいと思う作品、指針となる物語に出会って、長編を作れるようになりたいです。
私は監督としては人のうえに立って指示するタイプでなく、みんなで土豪に降りていって一緒に戦いたい、作るタイプだと思っています。

――AA
最後に日本のファンにメッセージをいただけますか。

――E・C
本当にこの映画を観る短い時間だけでも童心に帰っていただければと思います。その間、観客のほほに笑みがあれば大変うれしいです。そして劇場を後にした時に、心に残る作品になっていればさらにうれしいです。
日本は私に多大な影響を与えた国ですので、日本への愛情はとても深いのです。それだけに日本のかたに気にいっていただければ本当にうれしいです。

――AA
本日はありがとうございました。

『メリダとおそろしの森』
2D・3D同時公開中
『月と少年』『ニセものバズがやって来た』同時公開
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
/http://www.disney.co.jp/movies/merida/

     『月と少年』
     
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