2009年8月の劇場アニメシーンで、強烈な印象を残した作品がある。細田守監督による『サマーウォーズ』だ。『サマーウォーズ』は細田守監督にとって、2006年に劇場公開され、事前の予想を上回るスマッシュヒット、ロングランとなった『時をかける少女』に続く長編劇場映画だ。興収およそ3億円、国内外で数々の賞に輝いた後だけに、その期待も大きかった。『サマーウォーズ』は、そんな期待を遥かに上回る結果を出すことでよいほうに裏切った。興行収入は16億5000万円、原作を持たない劇場アニメとしては破格の大ヒットである。さらにシッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門最優秀長編作品賞、デジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、毎日映画コンクールアニメーション映画賞、東京アニメアワード(アニメーション・オブ・ザ・イヤー)、星雲賞メディア部門などなど、国内外での映画賞受賞は数え切れない。現在も、舞台化がニュースになるなど大きな印象を残す作品だ。映画の魅力は、家族の団結である。先輩の篠原夏希に付き合って、田舎の大家族に紛れ込んだ高校2年生の小磯健二は、インターネットの仮想世界OZで起きた事件をきっかにした危機から世界を守るため90歳を迎える陣内栄を中心に結束する家族と伴に立ち上がる。アニメ制作にあたっては、脚本の奥寺佐渡子さん、キャラクターデザインの貞本義行さん、美術監督の武重洋二さんと日本を代表するクリエイターが多数参加した。美しい自然と対照的な仮想世界OZの映像、そしてハラハラドキドキさせるストーリーと見どころも多い。その『サマーウォーズ』から3年、2012年7月21日から細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』の公開がスタートする。『おおかみこどもの雨と雪』のテーマのひとつは子育てだ。『サマーウォーズ』の家族に続き、身近で重要なテーマを選んできた。2作連続でヒットを飛ばした細田監督への期待は、今回も大きい。また2012年は例年になくアニメ映画が多く、劇場興行の競争はひときわ激しい。『おおかみこどもの雨と雪』は、そうしたなか映画ファンからどのような評価を受けるのだろうか。細田守監督の夏の戦いが始まる。『サマーウォーズ』公式サイト/http://s-wars.jp/ 『おおかみこどもの雨と雪』公式サイト/http://www.ookamikodomo.jp/
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