山村浩二の新作「マイブリッジの糸」 プレミア試写会で披露 | アニメ!アニメ!

山村浩二の新作「マイブリッジの糸」 プレミア試写会で披露

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 アニメーション作家山村浩二さんの新作『マイブリッジの糸』のプレミア試写会が、5月25日にカナダ大使館オスカー・ピーターソン シアターで開催された。
 日本を代表するアニメーション作家とカナダ、やや不思議に見える取り合わせは、実はこの作品がカナダ国立映画制作庁(NFB)と日本のNHK、そしてポリゴン・ピクチュアズの共同製作により誕生したからだ。世界的な作家のアニメーション制作を太平洋を挟んだ2ヶ国が支援するかたちだ。

 ジョナサン・T・フリード駐日カナダ大使は、過去70年間で1万3000本もの作品を生み出して来たNFBにとって初めての日本のアニメーションにおける共同の取組みだとその意義と喜びを挨拶に交えた。日本側のプロデューサーであるポリゴン・ピクチュアズの塩田周三さんは、作品はカナダの国民の善意により完成したものと、互いにエールを贈りあったかたちだ。
 そして、ビデオレターでメッセージを届けたNFB長官のトム・パールムターさんは、今回の取組みを「初めてでは終わらない」と述べた。今後も、映像を通じた両国のさらなる協力関係を期待する。『マイブリッジの糸』は、両国の強いつながりの象徴ともなっているようだ。

 そうした日本とカナダの協力によって生まれた本作は、長さ12分半余りの手描きのアニメーションである。実制作だけで2年に及んだ作品は、新たな取組みに相応しい重厚に仕上がった。
 プレミア試写会では、作品は2度上映された。何の説明もされないままの1度目の上映、そして山村浩二さん自身とアニメーション研究家イラン・グェンさんによるトークがされ、続いてもう1回である。作品は抽象的で無数の解釈を誘うかの様な映像で、トークの前と後ではまた異なって見える。そんな不思議な体験を観客は味わった。

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 山村さんよれば、『マイブリッジの糸』の構想は『頭山』がアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞を受賞した2002年頃から始まる。スケッチを描きはじめ、制作の可能性を探る中で、NFBのプロデューサー マイケル・フクシマさんと出会った。以前から山村さんの作品を評価していたフクシマさん、そしてアニメーション作家になったきっかけはNFBの作品という山村さんの連携が始まる。
 『マイブリッジの糸』の特徴は、それ以前の3作品『頭山』、『年をとった鰐』、『カフカ 田舎医者』には原作があったのに対し、全くのオリジナルとなっている点だ。作品はいまから100年以上前の著名な写真家エドワード・マイブリッジと21世紀の東京の母娘を描くが、これまでの作品よりも抽象性が増している。
 山村さんによれば、本作にあたってはこれまで多用して来た幾つもの絵を重ねる手法を出来るだけ避け、素朴でシンプルなモチーフとした。しかし、一方で画面には作品のタイトルとなった糸をはじめ様々なメタファーや相互関連性が限りなく重ねられ、複雑な様相を見せる。この多重構造が作品に輝きを与える。

 実際に『マイブリッジの糸』を観た来場者の反応はかなり興奮に満ちたものだった。これまでの山村作品と同様に今後、世界中で多くの人に驚きと興奮を届けそうだ。
 国内では、本年9月から東京・恵比寿の写真美術館で上映が決まっている。この会場は、作品のテーマとなった写真家マイブリッジとつながるものだ。詳細は今後告知される。また、それ以降はさらに多くのが鑑賞出来る方法を目指す。

ヤマムラアニメーション /http://www.yamamura-animation.jp/
《animeanime》
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