そんななか世界でも稀な撮影の段階から3Dを意識した本格的な3D映画が、この秋、邦画に登場する。雨宮慶太監督の『牙狼〈GARO〉~RED REQUIEM~』である。本作はテレビ放映でカルト的な人気を博したVFXドラマの劇場版である。雨宮監督のこだわりの映像が劇場サイズで登場、最新のVFX・3D技術、スケールの大きな資金を投入して誕生した。
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その完成記者会見が、8月20日に東京・秋葉原で開催された。会見には雨宮監督のほか、主人公鋼牙役の小西遼生さん、敵役魔鏡ホラー・カルマを演じた原紗央莉さん、そしてオムニバス・ジャパンのCGスーパーバイザー迫田憲二さんが登壇、映像ジャーナリスト大口孝之さんの司会でトークを繰り広げた。
トークに先立って映画の冒頭およそ10分が上映されたこともあり、会場ではやはりその驚愕の映像が話題になった。3Dの特徴を最大限に活かしたシーンが満載の冒頭映像だが、雨宮監督によれば「よくある3Dカットはやらないようにした」という。そのなかからスクリーンから文字が飛び出す、本来2次元である文字が3次元に見えるアイディアも生まれたという。さらに3Dならの誤魔化しの効かない撮影の苦労を語った。
そうした難しい映像を実現したのが、迫田憲二さん率いるチームである。今回の映画にはCGや実写合成などVFXの要素が全て入っている、いろいろなノウハウが得ることが出来たと話す。今後のさらなる映像の可能性を感じさせた。
小西さんはアクションシーンが長まわしになることや、奥行き感を出すためのかなり高い位置でのアクションの撮影など3D映画独特の現場を披露した。「念願の映画化であるだけでなく、日本ではまだまだ珍しい3D映画、自慢出来るのがうれしい」と意欲的に取り組んだ様子だ。
撮影では原紗央莉さんも、これまでない経験をした。鏡の中にいるカルマの撮影はほとんどブルーバック、メイクに8時間も時間をかけ1人で演じたという。映画が完成した後に「(映画の中で)私はこんなに嫌われていた役だったの?」と気づいたというほどだ。雨宮監督によれば、「女性のクリチャーは美しく凶悪にしたいと思っている。原さんがそれが一番似合っていた」とその演技を賛辞する。
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(c) 2010 雨宮慶太/東北新社
『牙狼〈GARO〉~RED REQUIEM~』
10月30日、新宿バルト9ほか3D全国ロードショー
/http://www.garo-3dmovie.jp
[スタッフ]
原作・監督: 雨宮慶太
脚本: 江良至、雨宮慶太
VFXスーパーバイザー: 小坂一順
アクション監督: 横山誠
技術協力: オムニバス・ジャパン
特別協力: サンセイアールアンドディ
製作・制作: 東北新社
配給: 東北新社/ゴー・シネマ