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アジア部門は昨年の日本部門から改編されたもので、ノミネート6作品のうち5作品までが日本のマンガであった。一方で、実話部門は現地の作品に交じった中からの受賞である。『劇画漂流』と辰巳ヨシヒロさんの米国における評価の高さを感じさせた。辰巳ヨシヒロさんは日本にいるため授賞式には参加しなかったが、トロフィーは現地出版社Drawn&Quartelyによって受け取られ暖かい拍手を浴びた。
『劇画漂流』は、日本マンガ史の中で大きな潮流となった劇画を生み出したひとり辰巳ヨシヒロさんの自伝的作品である。自身の体験から戦後日本の劇画の誕生とマンガ界の動きを活き活きと描きだしている。国内でも2009年の第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど評価が高い。
辰巳ヨシヒロさんはさらにヨーロッパや米国で高い評価を受け、日本を代表するマンガ家のひとりとされている。今回の受賞もそうした実績の中から生まれたものと言える。
アイズナー賞は一年間に最も優れたコミックスを選び顕彰するもので、毎年コミコンで発表・授賞式を行う。米国で最も知られたコミックスの賞である。これまで国際部門以外で日本作品が受賞したのは、大友克洋さん『AKIRA』など数作品に留まっている。
今年は浦沢直樹さんがベストライター/アーティスト、その作品『20世紀少年』がBest Continuing Seriesなどの候補に挙がっていたが、こちらは惜しくも受賞を逃した。
アイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)
/http://www.comic-con.org/cci/cci_eisners_main.shtml