舛成監督が演出技法 立命館大「宇宙ショーへようこそ」でセミナー | アニメ!アニメ!

舛成監督が演出技法 立命館大「宇宙ショーへようこそ」でセミナー

立命館大学映像学部は、5月26日、同大学衣笠キャンパスの大ホール型講義室、以学館にて、6月26日に公開予定の『宇宙ショーへようこそ』に関し180分にわたるセミナーを開催した。登壇者は『宇宙ショーへようこそ』監督の舛成孝二氏、

イベント・レポート
立命館大学、「宇宙ショーへようこそ」のセミナーを開催。
舛成監督が演出技法を、落越プロデューサーがスーザン・ボイル起用の
舞台裏を大公開


 立命館大学映像学部は、5月26日、同大学衣笠キャンパスの大ホール型講義室、以学館にて、6月26日に公開予定の『宇宙ショーへようこそ』に関し180分にわたるセミナーを開催した。登壇者は『宇宙ショーへようこそ』監督の舛成孝二氏、同作プロデューサーの落越友則氏、そして宣伝プロデューサーの野村信介氏。本講義は、以前も本サイトで紹介したアニプレックスと立命館大学による企業連携プログラムの一環。同プログラムでは受講生が「学生の視点から『宇宙ショーへようこそ』を応援する」というコンセプトのもと、ブログの立ち上げから試写会の開催、mixiアプリの開発から株式会社オーシャナイズによる学生向け無料コピーサービス『タダコピ』向けコピー紙裏面用広告デザインの作成など様々な事をおこなってきている。今回のセミナーにおいては、登壇者に対する交渉から講演内容の構成及び台本作成の一切を受講生たちが担当した。

『宇宙ショーへようこそ』冒頭20分をサプライズ公開。

spaceshowdorector.masunari.jpg 最初に『宇宙ショーへようこそ』が作品の冒頭から上映され、受講者を驚かした。オープニングシーケンス、5人の子供たちとポチ・リックマンとの出会い、そして宇宙へ旅立つ瞬間までが描かれ、映像が止められた時は、現実に引き戻された受講生たちによるどよめきが起こった。
 これを受けて最初に登壇したのが舛成孝二監督。冒頭のワンシーンを例に、絵コンテ、レイアウト、背景画、原画など一つ一つを説明し、演出の仕事は「考える」、「決める」、「伝える」、「決断する」であるとしたうえで、前述のアニメ制作における全工程の中でこれらの要素が如何に使われているかを丁寧に説明した。また、これら4つの要素の中で全工程で常に行われている事が「考える」事であるとし、「演出はほぼ考えるという工程でなりたっており、決断が出来なければ妄想で終わってしまう。更に決断をするというのは責任を取り、且つ結果を出すこと」と、考える事の重要性を強調した。
 更に演出としてのクリエイティビティは「考える」と「決める」の間に如何に様々な事に「気づく」ことが出来るかで発揮されるとした。

演出は視聴者に気づかれないようにさりげなくストーリーに誘導するのが重要

spaceshowkyoto3.jpg 制作の全工程を説明した後は、アニメにおける演出技法について具体的に、舛成氏が自ら演出した作品をふまえつつ説明していった。今回紹介したのは、キャラクターの一貫性を示す技法、時間と空間の演出、感情の再現、そして視点の誘導だ。
 まずキャラクターの一貫性として、『R.O.D』における、ウェンディが山積みの本を書斎に持ってくるシーン(以下、書斎シーン)、ならびに読子と敵との間での高低間のある階段上の戦闘シーン(以下、戦闘シーン)を示しつつ、書斎シーンにおいては、ウェンディは「有能だがドジ」であるという設定であるため、「以前、書斎に入る前に転んだ経験がある」という裏設定を作り、今回は転ばなかったことを自慢げに思っている顔をさりげなく入れるなど些細なところでその裏設定を反映させていることに触れた。一方戦闘シーンにおいては、読子にはすこし「ヌケている部分がある」という点と戦闘上のスリルを高めるためにあえて、へっぴり腰にして本来能力のあるキャラクターの強さよりも弱さを誇張する表現をいれたという。また、高い場所から降下するシーンでも敵がしっかりと着地させるのに対し、読子はあえて着地させずに転ばせたことで、「一般的な物語上のお約束」では必ず勝つというのは視聴者が分かっていながらもシーン展開ではスリルを感じさせるようにしたと説明した。

spaceshowkyoto4.jpg また、演出の時間と空間の演出においては、『かみちゅ』での主人公3人が夏の最中に縁側でゴロンと横になっているシーンを使い、ジュースを飲むシーンとグラスが空になっている間に風鈴などを挿入することで夏の時間がやさしく経過している様を現すことが出来ると説明した。また、感情の演出では、『かみちゅ』の中で石油ストーブに火をつけるシーンを言及。このシーンを入れることで石油の臭いまで再現出来るとその演出意図を解説した。
 最も興味深かった演出技法が「視点の移動」。『R.O.D The TV』における、ねねねとアニータによる屋上での会話シーンを例に、観客が誰を主観的に見るべきかを潜在的に誘導する技法について説明した。ここでは「まず最初にねねねを登場させ、視聴者の意識をねねねに集中させた」と舛成氏。それにより後でアニータのクロースアップがあっても視聴者は心理的にねねねを追っていると解説した。その後、画面の隅にいたねねねがシーンから外れたが「ここではじめて視聴者の意識が心理的にアニータに移る」と舛成氏。その後、アニータが屋上から離れることで今後は自然に視聴者の意識がねねねに戻っていくと解説した。総じて「演出をするうえでフィルム感を崩さずに演出意図を気づいてもらうことが重要。誘導しているということを気づかせないというのは技術としては難しいが是非学んでもらいたい」と舛成監督はその重要性について強調した。

/スーザン・ボイルは作品に多くの人たちが出会うためのストーリーにつながるに続く

『宇宙ショーへようこそ』 /http://www.uchushow.net/
《animeanime》
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