「捨てるのがイヤ」と森川氏 東京国際マンガ図書館構想 | アニメ!アニメ!

「捨てるのがイヤ」と森川氏 東京国際マンガ図書館構想

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 11月7日、明治大学にてシンポジウム「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館学」が開催された。これは10月31日に開館した米沢嘉博記念図書館を記念したものである。それと同時に2014年に開館を目指す東京国際マンガ図書館の基本構想や概要説明なども兼ねている。
 当日は、明治大学国際日本学部准教授の森川嘉一郎氏が「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館計画」、コミックマーケット準備会共同代表の安田かほる氏と市川孝一氏が「同人誌とコミックマーケットの成り立ち」、海洋堂代表取締役の宮脇修一氏が「ガレージキットとワンダーフェスティバルの成り立ち」、明治大学国際日本学部准教授の藤本由香里氏が「マンガの国際・学際的状況」を順にレクチャーした。
 最後にはコミックマーケット準備会共同代表の筆谷芳行氏も加わり、それらを踏まえて「日本のマンガ・アニメ・ゲームの文化構造」および「マンガ・アニメ・ゲームの施設の具体化」をテーマとしてディスカッションを行った。

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 ディスカッションでは、森川氏は「それぞれがどういう関係になっており、全体がどうなっているのか、現状認識の上でどういう施設を作り上げて行くのかについて語らう機会はなかった」と改めてシンポジウム主旨に触れた。
 ディスカッショはジェンダーによるジャンル分けが日本のマンガの特徴となっている点を導入とし、藤本氏が、大正時代から萩尾望都氏・竹宮恵子氏・大島弓子氏ら「花の24年組」までの沿革を説明した。

 男性が少女マンガを読むようになったのも初期のコミケの頃だ。どのようにして男性の参加者が増えていったのかについての森川氏の問いに、筆谷氏は「自分じゃ絵を描かないけど恩返しとして出来ることは何だろう」という思いから自主的にファンクラブやお茶会を開いたことをまず挙げた。
 そして『ミンキーモモ』が転機となり、一見すると女の子向けに見えるものの裏側に男の子が潜んでいることにメーカーやプロデューサーが気づいて少年向けと少女向けが逆転したという。
 その一方で、現在は『テニスの王子様』に見られるような男が主人公でも男が喜ばないマンガも増えた。この経緯については、「作者は狙って男同士の友情を描いていない」、「狙って描くと女性のファンがつかない」、「読者の声が見えるのは女性」といった分析がなされた。『おおきく振りかぶって』に至ってはボーダレスでどちらをターゲットにしているのか分かりにくいともいう。

 さらに、本来友情関係にあるものを何故か恋愛関係に見立てて読む「ボーイズラブ(BL)」について森川氏が藤本氏に訊ねた。初期の少年愛と現在のやおいやBLとでの意味の変質が見られ、「男性を主人公にしたときに自由になれる、開放される」があるそうだ。
 そして「絵が描けなくても小説で」といった参加基準の低さや、「自分の好きなカップリングで凝りがほぐれる」といった抑圧ポイントの異なりを指摘した。

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 他方、模型の文化圏は男が牽引している。DAICONの時期のSF大会とガレージキットとの文化圏の関わりについて森川氏が続けた。宮脇氏は当初は「ファン活動だったものがこういうものも売ってしまっていいんだ」、「SFという足を踏み入れるのにちょっと高い世界に入ってもいいんだ」という嬉しさがあったという。
 そして森川氏の「常設な施設を作るに際してどういった対象にどういった気配りをすればいいか」といった問いにはこう続けた。仕掛けてヒットしたことがない一方で、デアゴスティーニの例も交え、普通にフィギュアを売っても売れないが、ちょっと売り方を変えたら急に売れる法則も例に挙げた。

 海洋堂は2011年に四万十川に村おこしを兼ねた博物館を建設する計画がある。「『造形原理主義者』としていいもんさえ作れば売れるとか言って箱作っても、人をこさせなかったら持ち腐れになる」と慎重かつ確実な方法を模索中でもある。
 森川氏は、2004年のヴェネチア・ビエンナーレで企画した「おたく:人格=空間=都市」でのフィギュア「新横浜ありな」の相談を海洋堂へ持ちかけた時に、「商品が本に見えたら売れるけれどフィギュアに見えたら売れない。だから目立たせるな」と忠告されたことを補足した。

 最後に森川氏は「政治的な部分については追って記していく」としながら、「個人的にはひと言で言うと『捨てるのがイヤ』だから」と締めくくった。
 来年の3月、コミックマーケット準備会は「コみケッとスペシャル5 in 水戸」を開催する。共同代表の市川氏は「使ってなかったデパートに電気を入れるだけでも物凄い金額がかかる」などの準備の大変さも語っていた。 
【真狩祐志】

東京国際マンガ図書館 /http://www.meiji.ac.jp/manga/

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