10月31日に故米沢嘉博さんの蔵書を核にした米沢嘉博記念図書館が、東京・千代田区駿河台でスタートした。マンガ、サブカルチャーの出版物から同人誌までを網羅した、これまでにない図書館、研究の場として期待されている。 その図書館の開館を記念した講演が、設立母体の明治大学の駿河台キャンパスで行われる。講演では、同大学国際日本学部の藤本由香里准教授、森川嘉一郎准教授ら登壇するほか、海洋堂代表取締役社長の宮脇修一さん、コミックマーケット準備会の共同代表安田かほるさん、筆谷芳行さん、市川孝一さんらが登壇する。 今回注目されるのが、ワンダーフェスティバルの海洋堂とコミックマーケットの代表3氏が登場することだろう。印刷=同人誌と造型=フィギャアを代表する2大創作系イベントの主催者が顔合わせる珍しい機会となる。 これは今回の講演が、マンガやアニメ、ゲーム、フィギュアなどをテーマとする「東京国際マンガ図書館」(仮称)の設立計画とも連動しているためである。主催者は東京国際マンガ図書館計画の深化へ向けて、同人誌界とガレージキット界の成り立ちや文化圏の特質、現状を俯瞰し、理解を深めたいとしている。 宮脇修一さんは「ガレージキットとワンダーフェスティバルの成り立ち」と題して、ワンダーフェスティバルに代表される日本のガレキ文化の歴史と現況を話す。アニメやゲーム、特撮と結びつき、様々な方面に拡大する日本固有の展開などが語られそうだ。 コミックマーケット準備会からは、「同人誌とコミックマーケットの成り立ち」である。コミケの持つ日本のマンガ、アニメ、ゲーム文化の一つの縮図としての側面、そしてインフラとしての機能を中心に話すとする。 こうしたポップカルチャー文化の最先端の状況をどう理解するか、藤本由香里准教授がグローバルな視点からマンガ・アニメ文化について考察する。「マンガの国際・学際的状況」では、海外のマンガ・コミックスの現状、その中での日本位置づけ、海外の同人誌文化について取上げる。 森川准教授は米沢嘉博記念図書館の開設や東京国際マンガ図書館」(仮称)の計画の経緯や現状を、「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館計画」で報告する。 シンポジウムは15時から19時までと全体で4時間もの長さになるが、出来れば通して聴いてみたいものだ。講演それぞれも興味深いが、4つの話しを合わせることで、アーカイブ、研究、情報の発信の役割を期待されるポップカルチャー分野の博物館の役割が見えて来るに違いないからだ。 受講は無料、事前申し込みも不要となっており、気軽に参加することが出来る。土曜日の午後と参加し易い人も多い時間である。是非足を向けてみてはどうだろうか。米沢嘉博記念図書館 開館記念シンポジウム「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館学/http://www.meiji.ac.jp/jinbun/symposium/20091107.html日時: 2009年11月7日(土) 15時~19時 場所: 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー 1F リバティホール主催: 明治大学人文科学研究所 受講料無料、事前申し込み不要■ 「ガレージキットとワンダーフェスティバルの成り立ち」宮脇修一 (株式会社海洋堂代表取締役) ■ 「同人誌とコミックマーケットの成り立ち」安田かほる (コミックマーケット準備会共同代表)筆谷芳行 (コミックマーケット準備会共同代表)市川孝一 (コミックマーケット準備会共同代表) ■ 「マンガの国際・学際的状況」藤本由香里 (明治大学国際日本学部准教授)■ 「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館計画」森川嘉一郎 (明治大学国際日本学部准教授)
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