細田守、Tokyopop社長ら 海外のアニメ・マンガ現象を討論 | アニメ!アニメ!

細田守、Tokyopop社長ら 海外のアニメ・マンガ現象を討論

イベント・レポート

 11月13日に東京国際交流館で開催されたシンポジウム「マンガ、manga、そしてanimation、アニメ」は、少し変わった試みだった。
 文化庁の主催する国際文化フォーラムのひとつとして行われたものだが、パネリストとコーディネーターがかなり異なったバックグラウンドを持つ4人だったからだ。コーディネーターは文化人類学者で前文化庁長官の青木保氏、パネリストはアニメ監督 細田守氏、海外でマンガ翻訳出版を行うTokyopopのスチュウアート・リービー社長、さらに韓国・忠南文化産業振興院長のソル・キファン氏らである。

 シンポジウムは、海外で広がり、人気を博している日本のアニメ、マンガをテーマにしたものだ。しかし、テーマの設定が大きくなっており、各氏が基盤にする知識の違いもあり、討論はすれ違うところも見られた。
 それでも、多様なジャンルからの発言は、共有されていない問題、共有されている問題が浮かび上がり興味深いものだった。特に、国境を越えた際のコンテンツの普遍性、そしてデジタル時代のコンテンツの有り様が大きく取上げられた。

20091113.JPG 細田氏はかつてアニメの制作する際に、国内と海外での作品の受けととめられ方が違うのが当然と考えていたという。しかし、1997年のポケモンブーム、そして自身の監督した『時をかける少女』の経験から、海外でも同様に作品が受け入れられる可能性があることに気づいたと語る。
 一方で、『時をかける少女』のアジアやヨーロッパでの受け入れられ方は日本と似ているが、米国はやや異なるところがあると指摘する。一概に日本と同様で大丈夫、同じではいけないと割り切れるものではないことを伺わせた。

 こうした感覚はソル・キファン氏の意見にも通じる。映画『ブラザーフッド』が米国で人気を得た例を引き合いに出し、心に近い作品は、グローバルに受け入れられると述べる。
 しかし、東アジアで共同製作したアニメ番組『折紙戦士』では、コミュニケーションの不足で前に進まない経験をしたという。同じ市場に進むのなら同じ感性が必要と、感性の見極めがその前提にあると考えているようだ。
 リービー氏は、細田氏の米国の市場だけはやや違うとの意見に対して、米国のハリウッドの存在が理由とする。もともと米国は競争が激しく、お金があるので何でも出来る、エンタテインメントの現場では日本のコンテンツは人気があるが、米国はお金があるからそうした要素を取り入れて自分たちで作品を作ると説明する。

 リービー氏の取上げたもうひとつのマンガ、アニメ文化の視点は、昨今のコンテンツのデジタル化と結びついた。紙文化やパッケージ文化の危機である。
 デジタル時代の特徴は一人一人の時間や好みが細分化していることだ。さらにデジタル化された海賊版の存在で、作品のデジタル展開を行っても有料では客が集まらない現象が起きているという。リービー氏は、このままでは文化は国が支援する部分のみでしか残らない可能性もあると指摘する。

 ソル・キファン氏はこれについてさらに、デジタル時代のビジネスを「支払いのないコンテンツ消費」と表現する。多くの消費者は、「コンテンツは全てただで欲しい。ただしビジネスモデルは判らない。それは企業が勝手に考えて欲しい」と考えているのだと話す。こうした現状を解決するのは難しいが、これまでの供給側からの政策でない消費者側から考えた政策が必要でないかとする。
 いち早くコンテンツのデジタル流通が進む韓国からの発言だけに、重みのある言葉である。また同時に、国内ではこうした問題は、アニメ・マンガ特有の問題と考えがちだが、実際にはグローバルでコンテンツのボーダーを越えた現象であることも理解出来た。

国際文化フォーラム /http://www.bunka.go.jp/culturalforum/index.html
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