ディズニー 米国最大のコミックス会社マーベル買収発表 | アニメ!アニメ!

ディズニー 米国最大のコミックス会社マーベル買収発表

 米国のメディアコングロマリットであるウォルト・ディズニーが、米国最大のコミックス出版社のマーベル・エンタテインメントを買収することになった。8月31日に、ディズニーとマーベルの両社が発表した。買収は株式交換と現金を組み合わせたものとなる。買収総額は40

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 米国のメディアコングロマリットであるウォルト・ディズニーが、米国最大のコミックス出版社のマーベル・エンタテインメントを買収することになった。8月31日に、ディズニーとマーベルの両社が発表した。買収は株式交換と現金を組み合わせたものとなる。買収総額は40億ドル(およそ3700億円)である。
 マーベルの株主は1株当たり30ドルの現金を受け取るほか、1株につきディズニーの株式0.745株を受け取る。先週末のマーベルの株式は38.65ドル、ディズニーは、26.84ドルである。マーベルの株主は、およそ20%強のプレミアムをディズニーから受け取る。

 ウォルト・ディズニーはよく知られるように、映画事業、ABCなどのテレビ事業、さらにテーマパークも運営する世界的なメディアコングロマリットである。特にアニメーション事業、キャラクター事業で強みがある。
 一方で、マーベルは、スパイダーマンやキャプテンアメリカ、アイアンマン、X-メンなどのスーパーヒーローのコミックス出版に原点を持つ会社。近年は、そうした豊富なキャラクターのライセンス管理や映画製作を行うなど、総合的なエンタテインメント企業の色彩を強めている。同社の昨年の売上高は、およそ6億7600万ドル(約630億円)である。

 ハリウッドの大手メディア、エンタテインメント企業の買収、合併は珍しい話ではない。それでも今回のディズニーによるマーベルの買収は大きな驚きを与える。
 ひとつは、現在のマーベルの企業業績がかなり好調に推移しているためだ。マーベルは過去数年間、映画事業進出で先行投資が嵩んでいたが、昨年からこれらの映画の投資が回収期に入っている。映画のヒットが利益を大幅に押し上げていることもあり、絶好調である。

 また、マーベルはこれまで、自社のキャラクターの映画展開ではライセンス、自社製作の映画の配給についても、ハリウッドのメジャースタジオとはほぼ等距離のビジネスを続けてきたからだ。
 ソニー・ピクチャーズとの『スパイダーマン』シリーズ、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は20世紀フォックス配給と大きなビジネスをしている。アニメーション番組ではNBCユニバーサル系のニコロデオンやディズニーと手を組むといったかたちである。
 今回のマーベル経営陣の売却決定は、これまでの等距離ビジネスの方針を今後破棄する可能性が強い。今後は、他の大手メディアと既に進んでいるプロジェクトが、どのように扱われるのかが注目される。

 マーベルは今回の買収について、ディズニーのクリエイティブ技術やマルチメディア展開、海外ネットワークを利用することでマーベルの人気キャラクター達のブランドが強化出来るとしている。しかし、実際によりメリットが大きいのは、ディズニー側である。
 ディズニーは、企業の創設者であるウォルト・ディズニーの伝統以来、キッズ向けの作品を得意とする。また、ファミリー向け、女性向けのキャラクター、コンテンツも比較的強いジャンルだ。ところが、青少年向けはこれまで他の分野に較べて弱かった。
 ディズニーは、今年になってケーブルチャンネルのひとつトゥーンディズニーを、少年向け専門チャンネルのディズニーXDにリニューアルするなど弱点の強化を図っている。この分野で圧倒的な強みを持つマーベルの合併は、ディズニーのビジネスの弱点を補う。

 ディズニーは2006年には、CGアニメーションの巨大なライバル ピクサーを74億ドルで買収したばかり。今回は、キャラクターライセンス市場でのライバルであるマーベルを傘下に収めたことになる。これで、同社は従来のディズニーキャラクターに、ピクサーのキャラクター、そしてマーベルのスーパーヒーローをラインアップに加える。
 強力なライバルを買収により内部に取り込むことで、ディズニーは米国だけでなく世界市場でも、さらに圧倒的なキャラクター帝国になる。日本のキャラクターには、「ハローキティ」や「ポケットモンスター」、「遊戯王」と世界市場で強いものも少なくない。しかし、こうしたキャラクターを扱う企業はディズニーと較べると、小さな存在だ。巨大なディズニーの帝国は、日本のキャラクタービジネスにとっても大きな脅威だ。

ウォルト・ディズニー /http://corporate.disney.go.com/
マーベル・エンタテインメント /http://marvel.com/
《animeanime》
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