7月4日、栃木県那須塩原にて開催された第48回日本SF大会(T‐con2009)会場にて、2009年の星雲賞の発表が行なわれた。星雲賞は昨年1月1日から12月31日の間に発表された中から最も優れた作品を、日本SF大会参加者の投票によって選び出す。 日本SFファングループ連合会議が実施するもので、日本長編部門、海外長編部門、日本短編部門、海外短編部門、メディア部門、コミック部門、アート部門、ノンフィクション部門、自由部門の9つの部門から構成されている。日本のSF関連の賞では、最もよく知られたもののひとつである。 2009年は、日本長編部門を伊藤計劃さんの『ハーモニー』(早川書房)が見事受賞した。作品は健康第一主義、完全な医療経済が実現した未来の世界を舞台にした意欲作である。 受賞した伊藤計劃さんは、今年3月20日に、34歳の若さににして逝去した異才である。2007年に『虐殺器官』でデビューしたばかりであった。星雲賞の受賞で、あらためて豊かな才能の早世を惜しむことになった。 また、日本短編部門は、野尻抱介さんの『南極点のピアピア動画』(早川書房)が選ばれた。昨年の『沈黙のフライバイ』に続く日本短編部門連続受賞となる。 野尻抱介さんは2000年の『太陽の簒奪者』(日本短編部門)、2002年に『ふわふわの泉』(日本長編部門)、2003年に『太陽の簒奪者』(長編版)(日本長編部門)、2007年には『大風呂敷と蜘蛛の糸』(日本短編部門)を受賞している。2000年代の日本SF界を代表する作家であることを強く印象づける。 過去にアニメ作品や特撮作品が数多く選ばれてきたメディア部門は、『マクロスFrontier』が選ばれた。昨年の『電脳コイル』、一昨年の『時をかける少女』に続くアニメからの受賞である。 『マクロスFrontier』は、2008年から2009年までテレビ放映された話題作である。マクロスシリーズの最新作として総監督河森正治さんのもと、アニメスタジオのサテライトが制作した。これまでのシリーズと同様に、未来の宇宙を舞台に歌と戦い、そして三角関係が物語の中心に据えられる。菅野よう子さんによる音楽も話題で、2008年の大ヒット作となった。既に劇場制作も進んでおり、今年11月に第1弾が公開される。 コミック部門は、最終第14巻が2008年2月に発売された内藤泰弘さんによる『トライガンマキシマム』 (少年画報社)である。未来の宇宙を舞台に活躍する賞金首 ヴァッシュを中心に繰り広げる作品は、国内外で大人気である。今回は高い人気と評価を裏付ける結果となった。 『トライガン』は1998年にアニメ化されているが、こちらも現在劇場版『TRIGUN THE MOVIE』を制作中である。大きな話題が重なることになる。 このほか海外作品では、長編部門をロバート・チャールズ・ウィルスンさんの『時間封鎖』 (東京創元社/翻訳者 茂木健)、短編部門をテッド・チャンさんの『商人と錬金術師の門』 (早川書房/翻訳者 大森望)が選ばれている。 アート部門は昨年に引き続き加藤直之さん、ノンフィクション部門は小松左京さん監修により日本SF作家クラブが著作、翻訳、編集を行なう『世界のSFがやって来た!! ニッポンコン・ファイル2007』 (角川春樹事務所)となった。毎年ジャンルにとらわれない作品を選び出す自由部門は、今年は受賞作無しだった。日本SFファングループ連合会議 /http://www.sf-fan.gr.jp/2009年星雲賞 【日本長編部門】『ハーモニー』 (早川書房)著者 伊藤計劃【日本短編部門】『南極点のピアピア動画』 (早川書房)著者 野尻抱介【海外長編部門】『時間封鎖』 (東京創元社)著者 ロバート・チャールズ・ウィルスン翻訳 茂木健【海外短編部門】『商人と錬金術師の門』 (早川書房)著者 テッド・チャン翻訳 大森望【メディア部門】『マクロスFrontier』受賞者河森正治(総監督)/株式会社サテライト(制作会社)【コミック部門】『トライガンマキシマム』 (少年画報社)著者 内藤泰弘【アート部門】加藤直之【ノンフィクション部門】『世界のSFがやって来た!! ニッポンコン・ファイル2007』 (角川春樹事務所)著者/翻訳 編集 日本SF作家クラブ監修 小松左京【自由部門】受賞作無し
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