北米アニメ不況の中で開催されたアニメエキスポ2009 | アニメ!アニメ!

北米アニメ不況の中で開催されたアニメエキスポ2009

レビュー そのほか

 7月2日から北米最大のアニメ・マンガイベントのアニメエキスポ(AX)2009が開幕した。国内では「クール・ジャパン」の言葉と共に大きな期待をされている海外市場だが、過去数年間、DVD販売を中心に北米の日本アニメ業界は厳しい不況に陥っている。今回のAXはそうした影響が、不況の中でも依然好調とされているアニメコンベンションに及ぶかどうか注目されるものであった。
 結論から言えば、現在の不況はAXを直撃したようだ。目玉であるエキビジョンホールの企業出展、トークイベントや講演会からなるパネル、イベントの企業スポンサーなどからの関連企業の相次ぐ撤退、縮小は、誰の目からも明らかとなっている。

 エキビジョンホールでは、大手企業の出展がほとんどなくなった。アニメ企業では、業界第1位のファニメーションが唯一出展したものの事業の大幅縮小を余儀なくされたADヴィジョンなどの出展は引き続きなかった。
 VIZメディアやマンガエンタテインメントも出展はなく、昨年は数少ない大型ブースを持っていたバンダイエンタテインメントも、今年は出展を見送った。一方バンダイエンタテインメントは、大型ゲストを中心にパネルイベントを複数開催する。経営資源の活用に厳しい選別が働いているようだ。また、現地企業以外の日本企業からの出展も目立ったものは見られない。

 こうした状況はマンガ出版社も同様だ。AX個別の要因もあるかもしれないが、今回、主要なマンガ出版社の出展は全滅状態であった。業界1位のVIZメディア、第2位のTokyopop、第3位のデル・レイは、昨年に引き続きブース出展を行っていない。
 中堅クラスのダークホース、YenPress、バーティカルといった出版社の名前も見られない。わずかにデジタルマンガのみが姿を見せている。大手企業の出展のない会場は、各社間の相乗効果が生まれないと判断された可能性がある。マンガ出版社は今月末に開かれる、ポップカルチャー全体をテーマとするサンディエゴ・コミコンに目が向いているのだろう。

 また今回はこれまでは出展はなくともパネルだけは開催してきた各社が、パネルからも全面撤退モードとなっている。スケジュールで確認するとVIZメディアが1時間、CMXが1時間のパネルを持つが、全体では小規模である。AXの会場全体からマンガの存在感はほとんど消えてしまった。
 来年も同じ状況が続けば、AXはアニメ・マンガのイベントでなく、文字どおりアニメエキスポとなるだろう。マンガ出版社の誘致は、来年以降のAX成功の大きな鍵になる。

 しかし、こうした企業の退潮の一方で、アニメファンの勢い自体は依然堅調なようだ。会場全体を見回したところ来場者数はかなり盛況に見えた。この週末の動員数とその後の公式発表を待つことになるが、来場者数は前年並みを維持しそうだ。
 企業出展から撤退したエキビジョンホールのスペースを代わって埋めたのは、大幅に拡充された個人作家の作品即売会アーティストアレイである。これまでは東京国際アニメフェアと似た雰囲気もあったエキビジョンホールは、むしろコミックマーケットのような雰囲気に近づいた。

 さらに企業パネルが大幅に減った後を埋めたのは、アニメファンが独自のテーマで設けるファンパネルである。2006年、2007年は企業パネルに押されてほとんど姿を消したファンパネルが、劇的に復活した。ここでもファンパワーが拡大している。
 こうした結果AXは、イベントが急成長を遂げる前、10年前の手作りイベント感漂う雰囲気に戻ったかのようである。企業の姿がなくなっても、コスプレなり、カラオケなり、おしゃべりなり、参加者はそれぞれイベントを楽しんでいるようだ。

 こうした状況を本来のイベントの在り方として、好意的に見ることも出来るだろう。しかし、問題は来場者規模が高止まりしていることだ。それだけのファンを収容し、満足させるコスプレ大会、ゲーム大会、上映会などを維持する資金は必要だ。それは入場収入だけでは賄えない。 
 出展者の減少に加えて企業スポンサー、協賛企業も急減しており、AXの予算が今後かなり厳しい状況に直面する可能性もある。2007年には6つの大型コンサートを行ったが今年はそれが2つになっている。現在の状況が続けば、会場やイベントのさらなる削減も考えられる。2010年に向けてAXは、重たい課題を背負うことになる。

アニメエキスポ(Anime Expo)2009 公式サイト 
/http://www.anime-expo.org/jp/
《animeanime》
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