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作品の監督を務めるのは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』などの演出を務めてきた橘正紀さんが行う。アニメ制作は、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』や『交響詩篇エウレカセブン』など数多くの人気作品を生み出してきたボンズである。そして、『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』のキネマシトラスも参加する。
今回の発表で、この橘正紀監督が記者発表に現れた。橘監督は「神山さんの作品(『東のエデン』)のあとに続くオリジナル作品ということで、緊張しながら、現在制作を進めています。巨大地震が東京に起こったら、みんなどうなるのか?ということを綿密な取材を行って描いています。」と『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で仕事をしてきた神山監督のプレッシャーを感じている様子だった。特に今回は、神山監督も『東のエデン』の監督として、一緒に会見に臨んでいただけになおさらだ。
番組の物語については、「主人公は平凡な姉弟で、恵まれた環境を当たり前に感じながら生活している。地震をきっかけに、自分たちが信じるものが無くなって、いろんなことに気付かされていく様子を丁寧に描いて行けたらと思っています。」と非日常のなかで起きるドラマを描きだす様子。
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この発表には、神山監督と橘監督のほか、特別ゲストとして押井守監督も登場した。しかし、登場した押井監督は、旧知の間柄の二人へのエールを頼まれると「エールは別に送りたくない」と独特のユーモアで応酬。
そうは言いながらも、『東京マグニチュード8.0』に対して、「社会性のあるテーマをアニメーションで制作するというのは、非常に難しいことが多い。そんな中、こういうテーマにチャレンジするというのは、僕自身としては共感できるし、頑張ってほしいなと思います。応援しています。」と強いエールをおくった。
今回の『東京マグニチュード8.0』で驚くのは、この作品が「ノイタミナ」にとってはこの4月から放映される神山健治監督の『東のエデン』に続く、完全オリジナル企画のテレビアニメであることだ。現在テレビアニメでは、人気のあるマンガや小説のアニメ化が好まれる。アニメ化した場合に作品がヒットする可能性が高いとされているからだ。
そうした中で、2作品続けての完全オリジナル作品、そして社会性の強いテーマと、ノイタミナの大きな挑戦が続くことになる。同放送枠の新たな展開を感じさせる。
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また、アニメ制作のボンズにとっては、2006年春の『獣王星』に次ぐノイタミナ作品となる。そして、同枠での完全オリジナルは初になる。
高いクオリティと人気を同時に実現するボンズのオリジナル新作という点でも注目である。特に、作品テーマの難しさ、これまでにない視点は、ボンズもまたアニメ制作への挑戦的な姿勢を打ち出したかたちだ。
画像:(c)東京マグニチュード8.0 製作委員会
『東京マグニチュード8.0』 公式サイト /http://www.tokyo-m8.com
略称:東京M8(トウキョウエムハチ)
7 月よりフジテレビ ノイタミナほかにて放送
監督: 橘 正紀
制作: ボンズ/キネマシトラス