フランスのアニメ・DVD・販売会社事情 | アニメ!アニメ!

フランスのアニメ・DVD・販売会社事情

レビュー そのほか

 いわゆるアニメファンに向けた作品の収益スキームとして最も大きいのがビデオグラム(DVD、Blu-Rayディスク等)販売であることは論を待たない。しかし、世界的に見て巨大な市場の日本と北米において、その売上げは暗いニュースが続いている。
 趣味趣向が細分化しすぎ、あまりに多くの作品が発売されすぎたため、1本当たりの売上げが下がっている。海外に目を向けると、旧作のライセンシングが同時に行われているため、さらに多品種少量販売になってしまっている。そして最も各社が頭を悩ませているのは、ファンサブを付加した違法配信の問題である。
 では、日本アニメの世界第3の市場であるフランスではどのようなDVD販売事情になっているのか、現地で見聞きしたことをレポートしたい。

【フランスのアニメ視聴事情】
 日本でも知られている『UFOロボグレンダイザー』(ゴルドラック)の視聴率が70%以上を示したというのは70年代末のことである。
 国営放送の「フランス2」で放送され、様々な要因から上記の数字をたたき出した。彼らが、フランスのアニメファンの第一世代ということになる。この頃はまだテレビでアニメが放送される状況があったが、ケーブルテレビ化が進んだ現在は、マス向けのごく一部のアニメ以外はテレビ放送されない状況で、「アニメファン」もしくはマンガファン向けの作品は、DVDで見るしかない状況である。

 そのためアニメ雑誌はバイヤーズガイドとしての側面が大きい誌面を構成する。日本の雑誌のように、広く知られるキャラの絵を楽しむと言うよりも、それがどのような作品であるかという文字情報が多くなる。
 そして、クリエイターへのこだわりは比較的大きい。新作の紹介には、その監督なりデザイナーなりが以前何の作品を手がけたかという情報が必ず付加されて掲載されている。現地の人によれば、ヨーロッパの伝統としてクリエイターへのリスペクトの気持ちが大きいという。

 実際の商品は、パリ市内でも店舗で購入できる場所は限られている。リパブリック広場周辺には、ゲームショップが10店舗ほど固まっている。また、バスティーユ広場周辺にもマンガやDVDショップが固まっている。
 このほか、学生街や大手電機ストアfnac、シャンゼリゼ通りのヴァージンメガストアなどである。ここではリパブリック周辺について説明したい。

【古いタイトルも大切にするフランス】
 まず、扱うタイトルであるが、日本のオンエアや販売状況と時間差をできるだけ縮めようとする北米との違いが見られた。もちろん新しい作品も多いのだが、先の『ゴルドラック』や、『キャプテン翼』、『聖闘士聖矢』など、往年の名作とされる作品が、未だに人気で、商棚の中で存在感を放っている。これらの作品はDVDのみならず、超合金(日本からの輸入)や、クロスのフィギュア、Tシャツに至るまで人気が現役であることを示している。
 また、世界名作劇場シリーズもかなり多くの作品がDVD-BOX化されて販売されていた。ヨーロッパを舞台とする作品が多く、彼らにとっては親近感が湧くのだという。聖矢の人気も、ギリシャ神話への根強い憧れが国民性にあるためだと、フランス人の出版関係者は説明してくれた。
 近年のタイトルとしてフランスを舞台にしたものだと『厳窟王』があるが、こちらもきちんとラインナップされていた。また、宮崎駿監督作品はこちらでも格別の扱いで、ヴァージンメガストアの棚は、ディズニー、宮崎、ドラゴンボール・NARUTO、その他アニメという構成だった。

【価格は日本と北米の中間】
 価格は、最も安い部類のものは1クール(13話)、10ユーロ(約1700円)程度になる。現在はユーロ高が進んでいるため、現地の値頃感はさらに大きいと思われる(参考:マンガ1冊7ユーロ程度)。中堅の人気作品は15~20ユーロで、目にした中で最も高い商品は『エヴァンゲリオン』(リニューアル版)のテレビシリーズ全話DVD-BOXで、特典が付いて100ユーロだった。
 参考までに、アメリカの量販店だと、30ドルから70ドルくらい(2クール作品)となる。販社や流通の仕組み、レートの違いなど環境は違うが、アメリカと日本の中間という相場感覚となる。ちなみにDVDはリージョンコードが日本と同じであるため、PCモニターで見る分には、そのまま見ることができる(TV出力は方式が異なる)。
 また、海外のアニメファンにとって、日本語音声・現地字幕というのはもはや常識らしい。いくつかのタイトルは、仏語吹き替えを収録しないバージョンも販売されていた。値段はその分安くなっている。

【二極化する販売会社】
 現地の方によると、フランス人の気質は古いものやオリジナリティを大切にするようで、仮にファンサブで見ても、気に入ったソフトは形のあるディスクとして保有し棚に並べたいという意欲が強いようだ。しかし、一方で黒字を計上している販売会社は一部に過ぎなく、多くの会社は赤字、もしくは営業を止めている状況である。
 黒字の会社は、アニメよりも浸透が進んでいるマンガ原作を同時にライセンス保有していることが多く、マンガで知名度を上げてアニメでさらに上乗せすることで成功を収めているケースが見られる。逆に、赤字の会社はマニア向け過ぎるタイトルを並べており、狭い市場でしか売れていない状況だ。
 マンガとアニメのマーケティングのシナジーを上手く使える作品がヒットし、作品のポテンシャルとしてそれを持ち得ない作品が売れないのは日本の状況と重なって見える。

 最後に余談だが、現地の方の情報ではフィギュアの売れ行きが芳しいようである。ヨーロッパ的伝統で、立体物への関心やリスペクトの気持ちが高いようだ。
 事実、相当にマニアックな作品でもフィギュアだけ購入しているファンや、日本のメーカーが積極的な見本展示を行っているのが、ジャパンエキスポ会場で見られた。文化的なバックボーンにより、マーチャンダイズやライセンス商品の売れ行きに違いができるのが興味深い現象だった。
【日詰明嘉】

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