フランスのアニメDVD事情 DVDはどこで売っているのか? | アニメ!アニメ!

フランスのアニメDVD事情 DVDはどこで売っているのか?

レビュー そのほか

【街中でみかけない日本アニメ】
 7月3日からフランス・パリで開催されたジャパン・エキスポに合わせて、パリ市内のDVDや書籍・マンガの小売店を周ってみた。フランスは、日本や東アジア地域を除けば、世界で最も日本のアニメ・マンガの人気地域とされるだけに、そうした状況を確認したかったからだ。
 ところが実際にパリの市内を歩いてみると、意外なほど日本のアニメ・マンガの人気は感じられない。街角におけるアニメ・マンガの存在感は、地下鉄の売店にもあるアニメ雑誌以外にほとんどないと言っていいだろう。

 では、日本アニメに人気がないのかと言うと必ずしもそうではない。ジャパン・エキスポの会場には10万人を超える人が押し寄せるし、関連商品の売上も確かな存在を残している。
 この存在感の薄さは、どうやらフランスの小売のシステムに理由があるようだ。日本や米国に較べるとDVD・CD、書籍、玩具の大型量販店の数が圧倒的に少なく、そうした関連商品や広告を目にする機会がないからだ。
 例えば書籍であれば書店は専門書店が多く、一般書店は少ない。あっても日本の紀伊國屋書店や米国のバーンズ・アンド・ノーブルのような規模には及ばない。そのため多くの書店の本棚にはマンガは並ばない。これはDVDや玩具にも同様のことが指摘できる。
 
【アニメDVDはフナック、ヴァージン、専門店】
 そうしたなかアニメDVDを販売する数少ない大型ショップにヴァージンメガストアと、今回何人ものかたが推薦をしてくれた地元の家電量販店フナック(FNAC)がある。両店は品揃えが豊富で、アニメファンのニーズに応えている。
 このほか、マニア向けにはManga Distribution(/http://www.manga-distribution.fr/md/index.php?script=boutique)といった幾つかの専門店が存在する。こうした店舗に行くと、初めてフランスでの日本のアニメの人気を実感することが出来る。
 
 実際に、ヴァージンメガストアやフナックのDVD売り場での、日本アニメDVD販売面積はかなり大きい。シャンゼリゼ通りの両店の日本アニメコーナーは棚にして6~9、ディズニーを含む子供向けのアニメーション全体とほぼ同じ面積を取っていた。
 専門店もいずれもこぎれいな店内で、かなり広い店舗を持っているところが多い。他の欧米諸国では、こうした専門店はなかなか成り立たないように思える。

 扱い面積の大きさの理由は、販売される作品のタイトルの幅広さに大きな理由があるようだ。フランスでは最新作加えて、『聖闘士星矢』や『キャプテン翼』、『世界名作劇場』といった昔ながらの作品が根強い人気を誇っている
 日本や米国のアニメDVD市場が最新作を追う刹那的な市場であるとすれば、フランスはひとつの作品に長くこだわる市場のようだ。

【フランスのアニメDVDは時価販売?】
 小売店の棚を見ていていると、フランスながらの特徴がほかにもあることに気づく。ひとつは、DVDの小売価格の多様性である。
 タイトルごとの価格差が激しく、フランスのアニメDVDは人気に左右される時価主義なのか?と思わせるほどである。これは量販店よりもManga Distributionのような専門店、ジャパン・エキスポでの企業販売で特に顕著である。

 人気のあまりない作品、古くなかった作品のDVDはとことん安く売りたたかれる。シーズンボックスが10ユーロ(1700円)という作品はかなり多くみかけた。
 一方で人気の高い作品の値下げ率は大きくない。結果として本来は同じ様な水準で発売されているDVDにも関わらず、小売単価に大きな違いが生まれている。DVDの売上は人気次第という側面がかなり強い。

【小売店の商品と業績は一致しない?】
 では、アニメDVD全体の売上は好調なのだろうか。これは確かなところは分からなかった。関係者などからは、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『時をかける少女』などを発売するKAZE ANIMATIONに勢いがあるとの声が聞かれたが、小売店の店頭に占める割合は小さかった。
 逆に店頭で数多くの商品をみかけたIDPは、今年になってアニメDVD事業から撤退している。大手の一角であるbeezの商品も小売店ではあまりみかけなかった。店頭流通と、企業の業績は一致していないようだ。
 これは最初の小売店の少なさとも関係しているようだ。アニメDVDの消費の多くがインターネット、フランス各地で開催されるアニメイベントで行われているためである。

【ヨーロッパでの違法配信問題は?】
 北米や東南アジアの一部で大きな問題になっている違法配信問題については、どうなのだろうか。実際にある会社で担当者に聞くと、売上高に大きな影響を与えている深刻な問題とのことだった。
 一方でフランス人は物をコレクションすることにこだわる傾向があるため、実際に大きな影響を受けていないのではないかとの見方もあり、その真偽は不明であった。

 しかし、ジャパン・エキスポの会場ではDVD流通会社よりもマンガ出版社に勢いを感じた。先のKAZEやベルギー資本のDybexが存在感を発揮していたが、全体にはマンガやゲーム関連の派手な企業ブースが注目を浴びていた。
 フランスのアニメ流通会社は、KAZE、DybexのほかDECLIC、バンダイナムコ系で唯一日本資本であるbeez、それにMABELLあたりまでが大手企業と言える。しかし、各社の決算は、年ごとの業績が大きく変動する傾向があり、ここ数年は赤字決算の会社も少なくない。
 少なくともアニメDVDが成長分野といった環境ではないように窺える。映像コンテンツビジネスの抱える問題は、フランスでも同様のようだ。
[数土直志]

beez /http://www.beez.fr/
Declic Images /http://www.declic-images.com/
Dybex /http://www.dybex.com/index2.cfm
Kaze Animation /http://www.kaze.fr/
Mabell /http://www.mabell.fr/
《animeanime》
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