29日には森本晃司監督とCGI監督の草木孝幸さんによって森本監督の『次元爆弾』についての詳しい解説が行われた。ファン待望の森本監督の新作は、およそ20分の作品に3年をかけた力作である。
本作で森本監督が目指したのは「マンガの空間」を作ることである。絵が持つ「描くことで平面が空間になる」という面白さを追求した。そのため、従来のアニメでは見られないほどの徹底した空間設計が行われたという。
たとえば、草木さんに指示を出すときに「ある地点からある点まで、何kmあるか」と考えさせ、具体的に空間を作っていく。画面設計であるレイアウトは緻密に鉛筆やマーカーで描かれ、トークの最中には直筆のレイアウト用紙も披露された。
そうした圧倒的な「リアリティ」を要求するのは、高い技術を使って楽しみたいという気持ちからである。そのため、目指すところは決して現実をそのままトレースする「リアル」ではない。マンガという記号性が「リアリティ」を引き立てるのであるという。
草木さんは今回「裏方」になるよう心がけたという。それは手描きの絵の持つ記号性を活かすためである。例えばCGで絵に陰や光を加えることで、リアリティを補完する貢献の仕方だ。
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作品の物語は監督が今まで照れていて描けなかった青春ものであるようだ。
キャラクターに声を当てるのは、音楽家・菅野よう子さんである。もちろん声優初挑戦となる。監督は、彼女の芝居について作中に出てくる「冬と夏が半分ずつ存在する空間」のように、異なるタイプのキャラクターを上手く演じ分けてくれたと評する。
監督はトーク中に「マンガ」という言葉を繰り返し使うように、絵を描く楽しさを改めて発見したようで「これを見て、自由な創造ができる可能性をアニメーションに見つけたり、アニメーションを作り始めてくれれば嬉しい」と語った。
『次元爆弾』を含む5編からなるオムニバス映画『Genius Party beyond』は夏頃公開の予定となっている。
Genius Party Beyond 公式サイト /http://www.genius-party.jp/
東京国際アニメフェア2008 /http://www.tokyoanime.jp/ja/index.php
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