下野紘 演じるオゴタイは「孤独なのかも」 ドレゲネとの複雑な夫婦関係も「無理に変えようとはしない」TVアニメ「天幕のジャードゥーガル」インタビュー(5) | アニメ!アニメ!

下野紘 演じるオゴタイは「孤独なのかも」 ドレゲネとの複雑な夫婦関係も「無理に変えようとはしない」TVアニメ「天幕のジャードゥーガル」インタビュー(5)

13世紀モンゴルを舞台にしたアニメ「天幕のジャードゥーガル」で、オゴタイ役の下野紘が演じたキャラクターについてインタビューした内容。オゴタイは優しさと貫禄を兼ね備え、人々との共存を目指す理想主義者。演じる中で当初の印象から大きく変わり、孤独さと深さを感じたという。女性キャラクター同士の会話の奥深さも見どころ。

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下野紘 演じるオゴタイは「孤独なのかも」 ドレゲネとの複雑な夫婦関係も「無理に変えようとはしない」TVアニメ「天幕のジャードゥーガル」インタビュー(5)
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  • 『天幕のジャードゥーガル』メインビジュアル
  • 『天幕のジャードゥーガル』オゴタイ
  • 『天幕のジャードゥーガル』
  • 『天幕のジャードゥーガル』場面写真第3話
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数々の漫画賞を受賞した話題の歴史マンガ『天幕のジャードゥーガル』のTVアニメが、テレビ朝日系全国24局ネットの“IMAnimation”枠およびBS朝日ほかにて放送中だ。トマトスープによる原作マンガ(秋田書店「Souffle(スーフル)」連載)をもとに、13世紀のモンゴルを舞台にした、元奴隷の少女・シタラが帝国を揺るがす物語が描かれている。

そんな本作で、モンゴル帝国皇帝チンギス・カンの第三皇子・オゴタイ役の下野紘にインタビュー。柔らかな人柄の裏に大国を背負う覚悟や理想を秘めたオゴタイという人物について、演じながら感じた印象を語ってもらったほか、ドレゲネとの夫婦関係やキャラクター同士の駆け引き、作品に描かれる人間ドラマの魅力についても話を聞いた。

[撮影:You Ishii]

◆優しさと貫禄の両立する、下野紘が作り上げた“オゴタイ像”

――本作の物語に最初に触れた際の印象を教えてください。

下野紘(以下、下野) 最初に原作を見せていただいたときは、すごくかわいらしいキャラクターだったり、等身が小さめの絵柄だったりしたので、勝手に「モンゴルを舞台にした異国の日常系作品なのかな」と思ったんです。でも実際に読んでみたら全然違っていて。まさかモンゴル帝国の歴史が描かれている作品で、その中でシタラが“復讐”という大きな思いを抱えて生きていく物語だとは思っていなかったので、かなり驚きました。最初に受けた印象とのギャップがすごく大きかったですね。意外性のある作品だなと思いました。

――史実を題材にしながらも、人間ドラマが濃密に描かれている作品です。その複雑な人間関係については、どのように感じられましたか?

下野 最初はもう少し学問的というか、歴史や文化を知っていくような作品なのかな、と思っていたんです。でも実際は、突然侵攻が始まって、シタラが捕虜としてモンゴル帝国で生きていくことになる。その展開の急さに、最初はすごく驚きました。

ですが同時に、歴史って実際こういうことの積み重ねなんだろうなとも思ったんです。モンゴル帝国に限らず、歴史の中では侵攻や支配ってたくさん繰り返されてきたはずで。歴史としては「この国が侵攻されて、別の国になった」という結果だけが残ることが多いじゃないですか。でも、その中で生きていた人たちの感情って、あまり語られないですよね。例えば急に「今日からあなたはモンゴルの人です」と言われても、「いや、自分は今まで違う国で生きてきたんだけど……」ってなると思うんです。

この作品って、そういう歴史の裏側にあった人たちの思いを見せてくれている気がしていて。国の成り立ちって、そんなに簡単なものじゃないし、その中にはいろんな思惑や考え方、思想があるんだなと感じました。

『天幕のジャードゥーガル』

――下野さん演じるオゴタイは、モンゴル帝国を背負う立場にありながら、人間らしい弱さや迷いも見せるキャラクターです。彼の印象はいかがでしたか?

下野 最初は「ふわっとした人だな」という印象でした。将来的にモンゴル帝国を背負っていく立場になる人物なのに「この人、大丈夫なのかな?」と思っちゃいましたね(笑)。ずっとニコニコしていて、穏やかな印象が強いので。でも演じていく中で、オゴタイは意外と先のことをちゃんと見ている人なんだなと感じました。

――物語と同じく、オゴタイにもギャップを感じられたんですね。

下野 そうですね。最初に持っていた印象と、実際に演じ終えたあとの印象はかなり違うかもしれないです。ただ、どちらにも共通していたのは「人でなしではない」ということ。むしろ、人のことをすごく考えている人なんじゃないかなって。人を中心に考えて、国をどう作っていくか、どう進んでいくべきかを考えている人物なんだと思います。

――印象が変化することで、下野さんが作っていたオゴタイの芝居にも変化はありましたか?

下野 オゴタイは将来的にモンゴル帝国を背負っていく立場の人物だという説明を受けていたので、僕の中ではまず「優しさ」や「器の大きさ」みたいなものは意識していました。ただ、それだけじゃなくて、モンゴルという大きな国を率いていかなければいけない人物でもあるので、そこに“貫禄”みたいなものも欲しいというディレクションをいただいたんです。でも難しいのが「貫禄は必要だけれど、オゴタイの持つ優しさや柔らかい雰囲気はなくしたくない」と言われて。そのときに「最初に考えていたより、かなり難しいことをやらなきゃいけないぞ」と思いましたね(笑)。

――オゴタイの考え方や価値観の中で、下野さん自身が共感した部分はありましたか?

下野 オゴタイは、ただ侵攻してモンゴル帝国を大きくしていきたいわけではないんです。ゆくゆくは他国とも関係を築いて、みんなが豊かになれる形を目指している人なんですよね。言い方はあれですけど、“みんながwin-winの関係になる”ことを考えているというか。僕はその考え方が結構好きなんです。

もちろん、現実的に考えるとすごく難しいことだと思います。同じ日本人同士でも、みんなが仲良く同じ方向を向くのは簡単じゃないですし、「理想論だ」と言われることもあるかもしれない。でも、それでも「どうしたらみんながより豊かになれるのか」を考えているところが、オゴタイらしいなと思います。

いろんな人がいるからこそ、相手の考え方を知っていかないと、本当の意味で協力関係なんて築けないと思うんです。そうやって繋がることで、より豊かになれる部分もあるはずで。もちろん、モンゴルの人たちや家族、兄弟をないがしろにするわけでもなく、とにかくより多くの人たちと一緒に豊かになっていきたいと考えていて、無謀だったり、甘いと言われるかもしれないですけど、それでもみんなが幸せになれる方向を考えているオゴタイには、僕自身かなり共感していますね。

◆「笑顔の裏でそんなこと思ってたの!?」女性たちが繰り広げる静かな駆け引きに注目!

――オゴタイとドレゲネの夫婦の関係性も見どころのひとつです。下野さんから見た2人の夫婦関係について、どのように捉えていらっしゃいますか?

下野 オゴタイ自身がそういう考え方に至った背景には、ドレゲネとの出会いがすごく大きいと思うんです。もちろんドレゲネだけじゃなく、ほかの妃たちとの出会いもそうなんですけど。モンゴルが今までやってきたことがあったからこそ、こういう出会いが生まれて、その中でオゴタイ自身もいろいろ感じた部分があるんじゃないかなって。だからこそ「もっとみんなで共に歩んでいける世界を作りたい」という考え方に繋がっているんだと思います。

ただ、残念ながら、それはドレゲネ側には簡単には伝わらないんですよね。ドレゲネもそうですし、シタラたち侵攻された側からしたら、モンゴルはあくまで侵略者なわけなので。そのことをオゴタイ自身も分かっているからこそ、無理に相手を変えようとはしていない気がします。自分の考えを押し付けるのではなく、相手が少しずつ変わっていくのを待とうとしているのかなと、僕は感じます。

――ドレゲネ役の小清水亜美さんにインタビューした際、「下野さんの演じるオゴタイが本当に人たらしで、ドレゲネの心が揺らぐ気持ちがわかる」と言っていました。下野さんは、小清水さんとの掛け合いを通じて何か感じるものはありましたか?

下野 これに関しても、僕自身とオゴタイの近しい部分があるのかもしれないです。たとえ相手から警戒されたり、壁を作られたりしたとしても「なんでそんな態度をとるんだ!」とはあまりならないタイプなんですよね。M気質……じゃなくて、打たれ強いタイプなのかなって(笑)。オゴタイも「まだ心を開いてくれないんだな」くらいに思っていたんじゃないでしょうか。どうしたら笑ってくれるだろうとか、何を話したら距離が縮まるんだろうと考えてはいると思うんですけど、でも無理に変えようとはしていない気がしていて。笑ってくれないのは残念だけど「まあ仕方ないよな」と受け止めている感じに、少し共通した何かを感じました(笑)。

――また小清水さんは、ドレゲネについて“強さと脆さを併せ持つ女性”と表現されていました。下野さんはドレゲネのどんな部分を魅力だと感じますか?

下野 確かに、強さと脆さを併せ持っている人だなとは思います。同時に、すごく情熱的な人なんだろうなとも感じます。もともと暮らしていた国や家族への思いがあるからこそ、モンゴルに対して抱いている恨みの気持ちも消えていないのではないかと。普通だったら時間が経つにつれて少しずつ薄れていくものもあると思うんですけど、それでもずっと抱え続けているというのは、それだけ強い思いや深い情があるからなんじゃないかなって。一見クールに見えるけれど、実はすごく情熱的なところが魅力に感じます。

――その他のキャラクターたちも、さまざまな思惑が垣間見えるやり取りを繰り広げています。印象に残っているシーンはありますか?

下野 それで言うと、男性陣よりも女性同士のやり取りですね。シタラはもちろん、ドレゲネやソルコクタニ、ボラクチンなど、女性陣の会話は表面上のセリフだけ聞くと普通に会話しているように見えるのですが、その裏にはいろんな思惑が隠れているんです。柔らかい言い方をしているのに、「きっつ!」「結構やばいこと言ってるよね!?」みたいなことが何度もあって(笑)。そういう女性陣のやり取りは、聞いていてちょっと心苦しくなる瞬間がありますね。「笑顔の裏でそんなひどいこと思ってたんだ?」って(笑)。

『天幕のジャードゥーガル』場面写真第3話

――兄弟たちとの会話はいかがでしょう?

下野 兄弟との会話は普通に楽しかったですね(笑)。やり取り自体も自然ですし、本当に兄弟同士で会話しているような空気感がありました。

その一方で、オゴタイが見ているモンゴルの未来と、ほかの兄弟たちが見ている未来は少し違う気がしていて。楽しく会話している中にも、どこか切なさや寂しさみたいなものはありましたね。「ちゃんと分かってもらえたら、きっと協力してくれるんだろうな」と思う反面、そこまで辿り着くのは難しいのかな、みたいな。少し諦めに近い感情も、瞬間的にあったのかなと思ったりして。そういう部分を見ていると、オゴタイって結構孤独な人なのかもしれないなと思いました。

『天幕のジャードゥーガル』オゴタイ

――ありがとうございます。最後に、本作を楽しんでいる視聴者の皆さまにメッセージをお願いできますか?

下野 本作は、シタラを中心に、彼女の周りにいる女性たちの静かな戦いが描かれていく作品です。それぞれがいろんな思いや考えを抱えていて、そのぶつかり合いが今後さらに描かれていくと思います。その中でオゴタイは、実はあまり多くを語るタイプではないんですよね。自分の気持ちを全部言葉にする人物ではないので「もしかしたらこう考えているのかな」と想像しながら見ていただけると、より楽しめるんじゃないかなと思います。また、メインではないキャラクターたちのやり取りも、実はすごく面白いんですよ。僕は結構そういうシーンが好きで、何気ない会話の中にも細かな面白さがたくさんあるので、ぜひ注目していただきたいです。

さらに、モンゴルの風習や文化も細かく描かれていて、実際にアフレコでも「この仕草には意味があります」と教えていただくこともありました。例えば、兄弟同士が抱き合うシーン。あれはただ抱きしめているわけではなく、お互いの匂いを確かめるモンゴルの風習なんですって。そういう歴史や文化の部分も丁寧に作られている作品なので、ぜひ細かなところまで楽しんでいただけたらうれしいです。

■TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』
テレビ朝日系全国24局ネット"IMAnimation"枠・BS朝日ほかにて好評放送中!


【スタッフ】
原作:トマトスープ『天幕のジャードゥーガル』(秋田書店「Souffle」連載)
総監督:山田尚子
監督:Abel Gongora
シリーズ構成:加藤還一
キャラクターデザイン・作画チーフ:吉田健一
演出チーフ:藤倉拓也
美術監督:樺澤侑里
色彩設計:今野成美
撮影監督:高橋直希
編集:廣瀬清志
音楽:日野浩志郎
音響監督:小沼則義
アニメーション制作:サイエンス SARU

【キャスト】
シタラ:関根明良
ドレゲネ:小清水亜美
ファーティマ:桑島法子
ムハンマド:齋藤 潤
オゴタイ:下野 紘
トルイ:鈴木崚汰
シラ:入野自由
チャガタイ:浪川大輔
ジュチ:野島健児
ソルコクタニ:久野美咲
モゲ:朝井彩加
キルギスタニ:新谷真弓
ボラクチン:????

●オープニングテーマ:SEKAI NO OWARI「Stella」
●エンディングテーマ:女王蜂「星」

(C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会

《米田果織》
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