坂本真綾 30周年ライブ「M30~Your Best~」の模様をレポート “声優×アーティスト”として歩んだ30年の軌跡 | アニメ!アニメ!

坂本真綾 30周年ライブ「M30~Your Best~」の模様をレポート “声優×アーティスト”として歩んだ30年の軌跡

坂本真綾がデビュー30周年を記念し、4月18日・19日に東京・有明アリーナで開催した「M30~Your Best~」の模様をレポート。異なるバンドマスターと編成で臨んだ2日間のライブは、ファン投票で選ばれた人気曲を中心に構成。声優、アーティストとして30年歩んだ彼女の軌跡を音楽で辿る特別な公演となった。

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撮影:羽田 誠
  • 撮影:羽田 誠
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声優として、そしてアーティストとして――。デビュー30周年を迎えた坂本真綾が、自身の歩みを音楽で辿るアニバーサリーライブ「30周年記念LIVE “M30~Your Best~”」を4月18日・19日の2日間、東京・有明アリーナで開催。

数々のアニメソングや舞台、声の演技を通して世代を超えて愛されてきた彼女。その活動の集大成ともいえる本公演は、ファン投票で選ばれた人気曲を中心に構成され、初日は北川勝利、2日目は河野伸をバンドマスターに迎えた“2つの物語”として織りなされた。

声で、歌で、言葉で――坂本真綾という表現者の30年を感じられる特別な2日間のライブレポートが到着した。

撮影:羽田 誠

Text :上野三樹

坂本真綾の「30周年記念LIVE“ M30~Your Best~”」が4月18日と19日の2日間、東京・有明アリーナにて開催された。このアニバーサリーライブは北川勝利(Bandmaster&Guitar)をバンドマスターとする初日を「Route A」、河野 伸(Bandmaster&Keyboards)をバンドマスターとする2日目を「Route B」とし、バンドメンバーもセットリストもほぼ異なる内容。昨年、彼女が歌手デビューしてからの30年間にレコーディングされた255曲の中からファンによる人気投票が行われ、上位15曲が10月にリリースされたベストアルバム『M30~Your Best~』に収録されたが、今回の周年ライブでもその上位曲を中心にセットリストが組まれた。集まったファンがそれぞれに好きな曲を楽しみ、思い出を振り返りながら坂本真綾のこれまでの歩みを辿るような2日間となった。両日のレポートをお届けする。

Route A ― 祝祭の幕開け、30年の歩みを刻む音楽旅

撮影:羽田 誠

初日の「Route A」公演はまず、「M30」の文字が踊るようなグラフィック映像に、北川勝利のアレンジによる「約束はいらない」「プラチナ」のメロディをモチーフにしたファンタジックなテーマ曲が添えられたOPENING S.E.の後に、ツアーバスが走る映像からスタートした。これは2011年に開催された全国ツアー「坂本真綾LIVE TOUR 2011“You can’t catch me”」のオマージュだ。あのバスが2026年の有明アリーナに到着するという演出で当時と同じように1曲目の「eternal return」が輝かしく鳴り響き、北川が手を振り上げたのを合図に観客が一斉に立ち上がった。ステージ真ん中から坂本真綾がせり上がって登場すると、30周年の祝祭空間が華々しく幕を開ける。北川バンドを象徴する、明るく晴れやかで軽快なバンドサウンドに、坂本の力強い歌声が乗って、エモーショナルなオープニングだった。

撮影:羽田 誠

最初のMCでは「こんなにいっぱいの人の前で歌うとか、どうかしてる~!」と笑顔で率直な言葉を口にし、集まった観客みんなを笑顔にした。そして「ずっと前から私のことを応援してくださっている方も、今日初めて私のことを知ってくれた人も置いてけぼりにしない優しいライブにしたいと思います!」と宣誓。オープニングで着用していたアイボリーのジャケットからブルー系の美しいドレスに衣装チェンジすると、パープルの薄いベールに包まれたような照明の中で「紅茶」をしっとりと、でも清涼感たっぷりに歌い上げた。バンドのカオティックなセッションも見事だったのは「birds」で、狂おしくヒリヒリとした感情を伸びやかに歌い上げる姿が圧巻だった。有明アリーナの大きな会場で1曲ごとに異なるドラマを生み出していく様は、やはり30年というキャリアの成せる技。「声出してくれるかな?」と会場にマイクを向けた「Drops」ではみんなが心の叫びを歌に乗せ、この日だけの音楽が完成した。

MCでは「歌手としてデビューした当時から人前に出るのがとにかく苦手で。菅野よう子さんからよく『自信がないならもっと努力しなさい』というようなことを言われていました。当時の私は子供でしたし、『もう頑張っているのに、どう努力したらいいのかわからない!』なんて思っていました。菅野さんの手を離れてから随分経った今でも、何かあるたびに思い出す、最初の9年間です。菅野さんの元を巣立ってからが坂本真綾の本当の始まりだったなと思います」と、しみじみと語った。

撮影:羽田 誠

バンマスの北川からのリクエストでセットリストに入ったという「バイク」では坂本の衣装チェンジ中、ビジョンでメンバー紹介も入りながら扇谷研人(Keyboards)の繊細な音色や奥田健介(Guitar)のギターソロ、佐野康夫(Drums)と毛利泰士(Percussion)が繰り広げた壮絶な打楽器バトルなどで沸かせ、熱気溢れる演奏を繰り広げた。坂本が白いドレスでステージに再登場すると「躍動」と「時計」を挟み、終盤はリクエストのTop5を続けて披露していく。「光あれ」「約束はいらない」「Be mine!」「tune the rainbow」「プラチナ」と、ファンに長く愛され続けてきた曲たちばかり。「どの曲も誰かにとっての大切な曲」と彼女が語っていたが、それらを丁寧に大切に歌っていく。今回のライブは、2つの異なるバンドで開催されることもトピックだが、それ以上に主役は楽曲たちなのだと感じた。「みんなが聴きたい曲を届ける」というごくシンプルでありながら坂本真綾のファンへの、そして周りの人たちへの愛と感謝がふんだんに感じ取れた。

撮影:羽田 誠

そして「この30周年は、一人でも多くの方に笑顔になってくれたらと思って活動をしてきました。31年目からは再び私は私のためだけに歌い続けたいと思います。色んな人生の局面で私の側にいてくれた皆さん、本当にありがとうございます!」と挨拶。終盤では1996年にリリースされたデビューシングル「約束はいらない」のC/W曲「ともだち」を久しぶりに披露し、「Get No Satisfaction!」では北川バンドならではの一体感のあるバンドサウンドと盛り上がりを見せた。最後は坂本が鍵盤ハーモニカを手にし、観客はそれぞれに旗を振り上げながら大合唱した「ポケットを空にして」。曲の終わりでは花道へと歩み、会場の隅々まで見渡して、みんなの大きな歌声を聴いていた。「また会う時まで、お元気で!」という挨拶でステージを去るまで、温かく優しく希望に満ちた光景が心に刻まれた。

Route B ― 積み重ねた時間、その先へと続く歌声

撮影:羽田 誠

2日目「Route B」は、前日と同じOPENING S.E.に続き、宇宙空間に次々とメンバーの名前が浮かび上がっていき、最後は地球が青と赤のリボンで結ばれ「Gift」と表示された。これは2010年、坂本真綾の30歳の誕生日に開催された「15周年記念LIVE “Gift”at日本武道館」のオマージュ。そのまま1曲目の「Gift」のイントロが奏でられると、上品な音の層の重なりが安定感抜群のサウンドで、昨日とはまた違った音楽世界に魅了されながら観客がハンズクラップを添える。坂本が舞台中央からポップアップで登場すると、滑らかな歌声を響かせながら笑顔で会場を見渡した。2日目も感動的なオープニングとなった。

撮影:羽田 誠

事前のインタビューでも「ふたつのバンドとの相性を考えてセットリストを振り分けていきたい」と語っていた通り、「CLEAR」や「blind summer fish」など2日目も序盤から河野バンドならではの選曲が光る。そして「Remedy」を披露した後、「この曲は東日本大震災の時にツアーを中断せざるを得なくなって、再開した名古屋公演で急遽、歌いたくてセットリストに追加したんです。リハーサルでサウンドチェックをしながら涙で歌えなかったことを今でも覚えています」と泣きそうになりながら話してくれた。この2日間での公演では、坂本真綾の数々のライブを共に作ってきたミュージシャンやスタッフがたくさん参加していることもあり、彼女もこれまでの歩みを思い出しながら1曲1曲を披露していることが強く伝わってくるMCだった。ちなみに15周年記念の日本武道館公演では石成正人(Guitar)にギターを教わって披露したのに「その後全然弾いてなくてすみません!」と謝る場面も微笑ましかった。

撮影:羽田 誠

2日目中盤、水面のような映像と松明の演出の中で披露されたのは「奇跡の海」。坂本の透明感のある歌声にハルナとENAのコーラスが加わって聴き応え抜群のハイライトだった。更に「everywhere」は、この曲のアレンジャーでもある河野の鍵盤と、トレジョワイユの金原千恵子(Violin)と笠原あやの(Cello)、そして榎戸崇浩(Viola)のストリングスによって壮大に鳴り響き、彼女の豊かで柔らかなボーカルが際立った。坂本真綾が初めて作詞・作曲を手がけて2010年にリリースされた1曲だが、こうして30周年という節目に華やかに届けられた。それはまさに、彼女自身が自ら切り拓いて育ててきた音楽世界が確かにここにあることを証明し、祝福するような時間だったと思う。

撮影:羽田 誠

その後もバンドのメンバー紹介をビジョンに映し出しながらの「DIVE」のインストでは今堀恒雄(Guitar)が爪弾く旋律にみんなで酔いしれた。ファイヤーボールとレーザーのド派手な演出と共に披露された「トライアングラー」と「ヘミソフィア」を挟み、イントロから音源の世界観に忠実で鳥肌ものだった「時計」など、一瞬一瞬がハイライト。終盤のTop5のコーナーでは華やかにエレガントに披露した「約束はいらない」、多くの人に愛されて曲自体も成長を遂げているように感じた「tune the rainbow」、そしてラストの「プラチナ」では坂本が心から嬉しそうな表情で歌っていた。眩しい光に包まれて、みんなの手拍子が溢れて、辿り着いた30周年という幸せの境地。歌い終わり「本当にみんな、この曲たちが好きなんだという気持ちが伝わってきました。とても温かな空気感です。こんなにも長く、曲が愛されて歌い続けられていることを、嬉しく幸せだなと思います」と語った。「Route A」では「誓い」に付けられていた30年間を振り返る過去映像が「Route B」では「これから」と共に流され、観客の感動も最高潮に。歌い終わると、「出会ってくれてありがとう」と客席を見渡しながらあらためて感謝を告げた。そして「こうしてライブに来てくださった皆さんは私にとって、かけがえのない……知人です。友達とか言えるタイプじゃなくてすみません!」と笑わせた。言うまでもなくこの正直さが彼女の愛される所以だ。

撮影:羽田 誠

最後の「シンガーソングライター」では花道で歌い、アリーナの真ん中で旗を振りながら〈楽しいばかりじゃないから楽しい 生きることは音楽〉と堂々と歌い上げた。そして最後、ステージ上の佐野(Drums)にアイコンタクトを送ると、息ぴったりにバンドは曲を締め括った。目に映る全ての光景と音が幸せに満ちていて、まるでドキュメント映画を観ているような美しさだった。その主人公である坂本真綾は客席を見渡して優しい笑顔を見せ、何度もお辞儀をして「また会いましょう!」とステージを去った。

有明アリーナに2日間で延べ23,000人を動員した「坂本真綾30周年記念LIVE“ M30~Your Best~”」。彼女のアーティストとしての歩みを振り返りながら「あなたが好きな曲」にひとつひとつ素敵なリボンをかけられて手渡されるような嬉しさがあった。ファンにとって日常に寄り添い続けた楽曲たちが、また幸せな思い出を更新した2日間だっただろう。「同じ譜面(世界)の中に生きていれば、また同じ音楽を奏でられる日が来る」と彼女は言った。これは人生において30年という長い時間を音楽と向き合ってきたからこそ、みんなに伝えられる言葉だ。坂本真綾自身も、私たちも異なる人生を歩みながら、こうしてひとつの音楽を奏でる日を励みにこれからも毎日を生きていく。


【Route A 〈北川勝利バンド〉Set List】

撮影:羽田 誠

北川勝利(Band Master、Guitar)、奥田健介(Guitar)、千ヶ崎学(Bass)、扇谷研人(Keyboards)佐野康夫(Drums)、金原千恵子(Violin)、笠原あやの(Cello)、稲泉りん(Chorus)、高橋あず美(Chorus)、毛利泰士(Percussion&Manipulator)
01. eternal return
02. マジックナンバー
03. ループ
04. 紅茶
05. ユッカ
06. 指輪-single ver.-
07. Rule~色褪せない日々
08. birds
09. Drops
10. 誓い
11. バイク
12. 躍動
13. 時計
14. 光あれ
15. 約束はいらない
16. Be mine!
17. tune the rainbow
18. プラチナ
19. ともだち
20. Get No Satisfaction!
21. ポケットを空にして

【Route B <河野伸バンド>Set List】

撮影:羽田 誠

河野 伸(Band Master、Keyboards)、今堀恒雄(Guitar)、石成正人(Guitar)、大神田智彦(Bass)、佐野康夫(Drums)、金原千恵子(Violin)、笠原あやの(Cello)、榎戸崇浩(Viola)、ハルナ(Chorus)、ENA(Chorus)
01. Gift
02. マメシバ
03. CLEAR
04. blind summer fish
05. Remedy
06. カザミドリ
07. プラリネ
08. 奇跡の海
09. Drops
10. everywhere
11. DIVE
12. 風が吹く日
13. トライアングラー
14. ヘミソフィア
15. 時計
16. 光あれ
17. 約束はいらない
18. Be mine!
19. tune the rainbow
20. プラチナ
21. これから
22. シンガーソングライター

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