映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』のDolby Cinema版の公開を記念する舞台挨拶が、2026年3月12日に東京の丸の内ピカデリーにて実施された。会場には音楽を担当した澤野弘之、挿入歌を担当したSennaRinに加え、村瀬修功監督、笠井圭介プロデューサー、そしてMCとしてエグゼクティブプロデューサーの小形尚弘が登壇した。

今回の舞台挨拶は、作品が持つ静けさと迫力のバランスが一層際立つ上映スタイルであるDolby Cinema版にちなみ、本作のこだわりの1つでもある“音と音楽”という観点から作品を掘り下げる内容で行われた。
第1章から続いて音楽を担当した澤野は「また新たに『ハサウェイ』と向き合って音楽を作れたことも嬉しかったですし、何よりも今回は挿入歌が見せ場だったので、SennaRinと[Alexandros]の川上洋平さんと一緒に(楽曲制作を)やれたのもすごく刺激的でした」と喜びを語る。

村瀬監督は「挿入歌の2曲は狙い通りで、何回も何回も楽曲を聴きながら編集をしていたので、ずっと頭の中で鳴り響いていました」と、SennaRinが歌う「CIRCE」と[Alexandros]川上洋平とのデュエット曲「ENDROLL」について印象深さを明かす。
続けて澤野はレコーディング時、川上に「フェイクを切らないでほしい」と言われたことがすごく思い出に残ってるとのこと。監督も「ちょうどそのフェイクの部分と潜水艦の音がどうしても重なっちゃって、音響演出の笠松さんに『両方聞こえるように』とお願いしました。そこをうまくやってくれたので、すごく記憶に残っています」と振り返った。

挿入歌を担当したSennaRinは楽曲制作について、「澤野さんから絵コンテとデモ、メニュー表も共有していただいていて、“ギギが普段どんなことを思っているのか”とか、“ハサウェイとケリアがお互いどういう風に思い合っているのか”を探りながら作詞させていただきました」とコメントする。「特に『ENDROLL』に関しては音数が少ない楽曲なので、どの言葉を選ぼうかたくさん考えた記憶があります」と、丁寧に言葉を紡ぎ制作した過程を明かした。
そんな澤野の音楽について笠井プロデューサーは、若手のころ『機動戦士ガンダムUC』の制作に携わりながら通勤中も仕事中もずっと聞いていたと振り返る。好きな曲を問われると「澤野さんの音楽は『MAD-NUG』が一番好きです」と挟みつつ、“上手く行ったシーン”などについて問われると「『CIRCE』が流れている中でギギが部屋の模様替えをしているシーンは自分の中で粘って色々良くしようとしたシーンなので、本当にいいシーンになってよかったなと思いますし、いい楽曲をありがとうございました」と、澤野とSennaRinに感謝を述べた。

続いて、本作の中で好きなシーンや印象的な場面についてのトークへと移る。澤野は「ケリアが坊主にするシーンは衝撃的でした」とコメントし、MCを務めるエグゼクティブプロデューサーの小形も「今回ケリアをしっかり描いたのは映画として良かったんじゃないかなと思います」と語った。
村瀬監督は「小説ではケリアはすぐいなくなる人になってしまっていて、どう映像の中に収めるかを悩みました。回想シーンをいくつか作った上で、これは『ENDROLL』のシーンでまとめてしまおう、というのは、 本当に最後に決めた感じですね」とコメントし、小説版を映像化するにあたっての工夫を明かした。

さらに本タイトルの制作にあたって、原作の富野由悠季からとある2本の映画を見るよう勧められたという。これに、小形は「ぶっちゃけ全然関係ない映画ではあるんですよ」とこぼす。
村瀬監督は「これを見てくれと言われたのでぼくも結構真面目に受け取ったんですが、1ヶ月くらい考えた結果“直接は関係ないな”となったんです。でもそこからイメージすることが多くて、ケリアとハサウェイの出会いはその映画のワンシーンにわりと近いシチュエーションで作っていたり、富野さんから“青春を描いてくれ”という話はずっと耳に残っていたので、そういう意味では富野さんに言われたことがかなり影響を受けています」と振り返った。

また、第2章と第1章で変えてみた点を問われた澤野は「同じテーマを使うときも、シンセサイザーの音色を1章の時とはちょっと違うものに今こういう音を鳴らしたいな”という考えで組んできました」と語る。続けて小形から「オーストラリアが舞台の作品なので、第3章はオーストラリアでの録音は考えないんですか?」と切り出されると、澤野は「僕の話ですか? いやいや、それはSennaRinさんに行ってもらって」と会場に笑い声が上がる中、ロケハンにも話が及ぶ。
第2章はコロナ禍の影響でロケハンが思うようにできず、航空機の操縦を地上で体験できるフライトシミュレーターも活用したという。笠井プロデューサーからは「監督は1ヶ月以上パイロットをしていて中々帰ってこなかったです。毎回着陸の操縦もミスってましたよね」と裏話を披露し会場を笑わせた。さらに、第 3 章に向けたロケハンが計画中であることも明かされた。
そして現在上映中の Dolby Cinema版で観る『キルケーの魔女』について、村瀬監督は「後半の戦闘シーンの爆発音は第1章よりも音の広がりがあるんじゃないかなと思います。音楽と音響のバランスもうまくいっていて、音楽がより際立つ仕上がりなった感覚があります。見終わった後に、音楽が耳に残ると思います」と語り、ここでしか味わうことのできない映画体験の見どころを明かした。
さらに、本日3月13日より上映が始まる4DXも一足先に体験したそうで、村瀬監督は「前回よりも揺れる感じですね。ぼくも、ちょっと油断していて、最後はしがみついていました」と躍動感あふれる体験をしたと話す。笠井プロデューサーは「後ろからエアーが出るんですけど、村瀬さんが椅子からずり落ちすぎて頭の上でエアーが出ていたくらい、“こういうシーンだったらこう揺れるだろうな”というところがしっかり迫力があったので、楽しかったです」と魅力を語った。
さらに、一人称のコックピット視点が多い本編を踏まえて「本当に自分がコクピットの中にいるみたいな感じですし、後半の戦闘シーンとかは、本当にその中に巻き込まれているような感じになるくらい揺れていたので、アトラクションとして見ていただく感覚で行くとすごい楽しいと思うので、ぜひ行ってほしいです」と、本作ならではの4DXの楽しみ方も語られた。

イベントの最後には、サプライズでSennaRinが劇中挿入歌「ENDROLL」の生歌唱を行った。1音1音を振り絞るように歌い上げる、深みのあるハスキーボイスと透明感のある表現力が会場を包み込み、歌唱後には、映画鑑賞後そのまま生歌唱を聴ける豪華なサプライズに、会場は大きな拍手で包まれた。

SennaRinは「映画をご覧いただいた後に、『ENDROLL』を歌うのも新鮮でしたし、映画館で歌うこともなかなかないのですごく楽しかったです」とコメントする。澤野は「今日は衣装も用意してもらったので、川上さんの代わりにAメロを歌わなきゃいけないのかと思いました(笑)」と冗談を飛ばし、会場の笑いを誘った。村瀬監督は「この曲を聴くと、ずっと編集していた頃を思い出します」と感慨深げにこぼすと、笠井プロデューサーも「本編制作時を思い出して泣きそうになりました」と感想を述べた。
トーク終盤には、澤野が締めの言葉に入る前、観客に向けて「第1章でハウンゼンがハイジャックされるシーンで、ギギの『やっちゃいなよ!そんな偽物なんか!』の前に、ハサウェイの頭に響く『やっちゃいなよ!』の声がクェスの声だと知ってましたか?」と観客に問いかけ、「ぼく知らなくて、第3章はクビになってるかもしれません(笑)」と笑いを誘う場面もあった。これには監督から「ギギの声も入っています」とのフォローがあり、澤野は安堵した様子を見せた。
そして最後に、村瀬監督が「そろそろ第3章の制作に入ります」と語ると、会場からは驚きとともに大きな拍手が巻き起こる。「その前に、もう少し第2章を味わっていただけるとありがたいです」と締めくくり、盛大な拍手に包まれる中、舞台挨拶は幕を閉じた。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
Dolby Cinema版公開記念舞台挨拶
【日時】2026年3月12日(木) 18:30 の回(上映後舞台挨拶)
【場所】丸の内ピカデリー Dolby Cinema
■登壇者(敬称略):
澤野弘之(音楽)、SennaRin(アーティスト)、村瀬修功(監督)、笠井圭介(プロデューサー)
■MC(敬称略): 小形尚弘(エグゼクティブプロデューサー)
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
1月30日(金)全国公開
配給:バンダイナムコフィルムワークス/松竹
(C)創通・サンライズ











