『薬屋のひとりごと』“文字から学びが広がる”原作展レポート&日向夏先生インタビュー「自由研究のように読んでほしい」 | アニメ!アニメ!

『薬屋のひとりごと』“文字から学びが広がる”原作展レポート&日向夏先生インタビュー「自由研究のように読んでほしい」

2025年12月5日から12月25日まで、東京ソラマチ(R)スペース634にて「小説『薬屋のひとりごと』原作展 毒と薬、科学とミステリー」が開催中。ヒーロー文庫版の原作小説刊行11周年を記念した、特別展示会です。作品の世界に浸れるだけでなく、物語の鍵を握った品々にも焦点を当てた、『薬屋のひとりごと』(以下、薬屋)ならでは展示を味わえます。

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『薬屋のひとりごと』原作展
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2025年12月5日から12月25日まで、東京ソラマチ(R)スペース634にて「小説『薬屋のひとりごと』原作展 毒と薬、科学とミステリー」が開催中。ヒーロー文庫版の原作小説刊行11周年を記念した、特別展示会です。作品の世界に浸れるだけでなく、物語の鍵を握った品々にも焦点を当てた、『薬屋のひとりごと』(以下、薬屋)ならでは展示を味わえます。

アニメ!アニメ!編集部では、12月4日に実施されたメディア向け内覧会に潜入! 原作者の日向夏先生へのインタビューとともに、展示会場の様子をたっぷりお伝えします。

■“巨大な文庫本”再現も! 「小説」ならではの展示方法が楽しい!

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

まず目を引かれたのは入り口の看板。横から見ると、巨大な文庫本のようになっています。

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

背表紙もしっかり再現。原作展らしい工夫に心が躍ります。

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

回廊には原作小説の本文がびっしり。お気に入りのページや文章を探しながら進むのもおもしろいです。

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

挿絵と本文で作られた「のれん」がおしゃれ! のれんをくぐるたびに、『薬屋』の世界に深く潜っていくような感覚になります。

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

回廊の先に待ち受けていたのは、「薬屋のひとりごと大解剖」コーナー。作中のエピソードや、事件に登場したアイテムを振り返ります。

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ
『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

猫猫の人生を大きく変えた「おしろい(白粉)」や子翠の虫かごのように、印象深い品々も。なかには科学的な背景が解説されているものもあり、事件が起きた原因をあらためて学べます。

■「毒と薬」の正体がわかる! 科学への興味がわく展示

『薬屋のひとりごと』原作展©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

壁面展示の『薬屋の事件簿』は、原作展の肝ともいえるコーナー。作中で起きた事件と、ミステリーのタネが紹介されています。解説の参考にした文献も明記。興味がわいたアイテムをさらに調べるときの手がかりになります。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

植物などの形を見ることで、物語への理解がさらに深まるはず。何巻の何話に登場したのかも書かれているので、帰宅後におさらいしやすいです。もちろん夾竹桃(キョウチクトウ)などの毒のある植物はレプリカが展示されているので、安心して見学してください。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

描写のこだわりが伝わってくる、日向夏先生のコメントも要チェックです!

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

日向夏先生を深掘りする「作家 日向夏をひもとく」も必見。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

パソコンの周りに置かれたおやつやドリンク、参考文献などから、執筆中の雰囲気が伝わってきました。本棚にはお気に入りの書籍も収納されており、先生の創作の原点に触れられます。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

『薬屋』の裏話が垣間見える「ひとりごと」の数々もお見逃しなく!

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

「登場人物紹介」コーナーには、人物相関図とキャラクターデザインの資料が。人間関係をおさらいしたり、多彩なキャラクターの魅力を実感したりできます。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

さらに会場内を進むと、「薬屋の調合書」コーナーが登場。『薬屋のひとりごと』をイメージしたレシピを作りたい人にはたまらない展示です。レシピサイトのQRコードも展示されているので、ぜひ家で試してみてください!

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

「編集部収蔵庫大公開」も情報量が多い! 歴代の広告やイベント用のキャラクターパネル、封入特典などを閲覧できます。なかには「これ持ってる!」「見たことある!」と、思い出がよみがえる品もあるのではないでしょうか。どれも貴重なものばかりなので、じっくり眺めてみてください。

日向夏先生に代わりフォトセッションに登場した「うりりん」も展示に興味津々 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

ほかにも会場に来た人だけが目撃できる「【???】」コーナーや「イラストレーターしのとうこ画回廊」、入場特典小説の冒頭が展示された「書き下ろし小説を読む」、猫の毛毛と遊びながら楽しめるスタンプラリーなど見どころが盛りだくさん。原作小説を掘り下げる展示らしく、全体的に読み応えたっぷりに仕上がっていました。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ
『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

グッズ売り場では、原作展を記念したオリジナルグッズを販売。茶杯やミニグラス、刺繍入り巾着など普段使いしやすいものも多いです。展示の思い出とともに、お土産も持ち帰ってみてはいかがでしょうか。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

ちなみに今回の展示は、すでにアニメ化された小説4巻までの内容がメイン。そのためアニメをきっかけに『薬屋』に入門した、原作未読の方でも安心して楽しめます。原作展を機に、文章やイラストで描かれる『薬屋』の魅力にもぜひ触れてみてください!

■「いちばんの強みは、科学の素人であること」『薬屋』が広く愛された理由

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

ここからは原作者・日向夏先生のインタビューをお届けします。

――『薬屋のひとりごと』は当初、それほど長い作品にすることを想定していなかったそうですね。毎巻の物語は、どのように考えているのでしょうか。

『薬屋』はもともと小説投稿サイトの「小説家になろう」で1ヶ月半ほど連載した作品です。それから2年ほど経ちヒーロー文庫さんで発売するにあたって、休ませていた物語を復活させて続きを書き始めました。お話を書くときはまず各巻のエンディングを決め、「こういう流れにするとおもしろいだろう」と考えながら、ゴールに向かって歩いています。

もしかすると「1巻のほうがよかった」、「あの巻がいちばんおもしろかった」と思っている読者の方もいるかもしれません。それでもただの惰性にならないよう、「たしかにその巻もおもしろいけれど、こっちの話もおもしろいよ」と提案するような形で、続きを書いてきました。

ほかには緩急をつけることも意識しています。「初期のように日常的な謎を解いていこうかな」と思って書くこともありますが、一方で「小さな謎ばかりではおもしろくないから、そろそろ長めの話を書いてみよう」とバランスをとっているんです。

あとは毎巻物語の区切りを作りたいと思っています。何巻で作品が終わっても大丈夫なように(笑)。

――展示のタイトルにもある「毒と薬、科学とミステリー」は『薬屋』の魅力でもあります。こうした要素を描くときにこだわっていることを教えてください。

現実の科学で実現できるかどうか、にこだわっています。『薬屋』の世界には魔法がありませんので、登場させる薬物は基本的に実在するものをもとにしています。本作はエンタメ色を強めにしているので実際の歴史とは異なる部分もありますが、あまりにも近代的すぎるものは出していません。科学や歴史に詳しい方から見れば「この時代にこれはなかったぞ」と思うかもしれませんが、そこはあくまでエンタメとして楽しんでいただければ(笑)。

――科学に詳しくなくてもスッと入り込めるストーリーや文章も魅力的です。

私の一番の強みは、科学の素人であること。プロが書くと「これが当たり前だろう」と思う基本のレベルが高いので、どうしても難しい描写になることがあるんです。私の場合は前提となるレベルが低いので、その分読みやすくなっているかもしれません。
私も毎回勉強しながら書いているので、読者の方も気になる毒や薬などが出てきたら調べてもらえるとうれしいです。今回の原作展には毒や薬などに関する書籍もたくさん置いているので、少しでも興味を持っていただければと思います。

『薬屋のひとりごと』原作展 ©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

――日向夏先生が感じた、展示会場内の見どころを教えてください。

作中の事件に使われた薬物などの紹介をしているコーナーはぜひ見てほしいです。植物や薬物の見た目、どのような原因で人に影響を及ぼしたのかなどがわかるのでおもしろいと思います。

――『薬屋』ファンに、原作展をどのように楽しんでほしいですか?

文字ばかりの展示ですが、楽しんでいただけたら。「本当にこういう薬効や毒性があるんだな」と、ちょっとした科学の知識に興味を持ち、そちらの分野への扉も開いていただけたら大変うれしいです。夏休みの自由研究のような気持ちで読んでいただけたらいいな、と思います。

(C)日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ


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