マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの作者である荒木飛呂彦が手掛けた初のパブリックアート「THE FOUNTAIN BOY（噴水小僧）」が、7月29日にJR大阪駅西地区の新駅ビル「イノゲート大阪」（7月31日開業）で開催された発表セレモニー内でお披露目された。「大阪駅西側地区アートプロジェクト『WARP』」の一環として制作されたもので、除幕式に登壇した荒木は依頼を受けた際の感想やその制作過程、作品に込めた思いなどを話した。
「大阪駅西側地区アートプロジェクト『WARP』」は、大阪駅を訪れる多くの人々に日常的なアート体験の場を提供することを目的として、クリエイティブ集団・CEKAIのアートプロデュースのもと大阪駅西側エリアに複数のパブリックアートを展示するもの。大阪の文化やビジネスの発展、イノベーションの創出につながることを見据える。
その一翼を担う荒木の「THE FOUNTAIN BOY（噴水小僧）」は、大阪駅2代目駅舎の時代から103年にわたり展示されていたかつてのシンボルで、現在は京都鉄道博物館にて保管されている「噴水小僧」がテーマだ。歴史を受け継ぎながら、その時代を生き抜く主人公たちを描いた作品を世界に発信し続けている荒木こそ、この「噴水小僧」をテーマとした作品に相応しいとしてプロジェクトへの参加が依頼され、この日に至った。
JR西日本の長谷川一明代表取締役社長とともに除幕を行った荒木は、依頼を受けた際の感想を聞かれると、「噴水小僧」を新しい形で復活させる試みに共感したことを述べたうえで「マンガ家なのにあまりパブリックな仕事もない。貢献できて本当に光栄に思う」と語る。
この日初めてお披露目された「THE FOUNTAIN BOY（噴水小僧）」は、直径2メートルにもなる円形の、迫力あるステンドグラス作品だ。主役である噴水小僧とともに『ジョジョ』の“スタンド”が描かれているのも印象的だが、荒木はその理由について、「（水の）循環」「（水が）蒸発して、天から降ってきて」といった噴水の「自然現象」のイメージを挙げつつ、“スタンド”も「自然の力」であると言及。「見えないパワーを絵にしている」“スタンド”が、噴水を描くうえで絶対に必要であったことを明かした。
そうして描かれた“スタンド”は計7体におよぶが、これは荒木いわく「強い順に選んだ」そうだ。最上部には「噴水」から連想して、連載中の『ジョジョ』最新作である第9部『The JOJOLands』から、雨を降らせる“スタンド”のノーヴェンバー・レインが据えられている。
「強い順」だという“スタンド”は「パワー」とのことで、荒木は「通過する人たちの癒しであり、希望であり、これからの幸運へのパワー」の意であるとコメント。「待ち合わせのときに良いことがおきますように」という願いを口にした荒木に司会が「新たな大阪駅のパワースポットになるかもしれませんね」と応じると、荒木は「お願いいたします」と笑った。
また最後に、制作において一番難しかった点を訊ねられると、荒木は「マンガは四角い紙に描いている。今回は円に、丸い形にしてくれと言われ、構図が難しかった」と答える。自身初のパブリックアートとなった本作だが、配置などに悩んだとのことで「あまり描かない」“円の絵”という点でも新たな挑戦であったことも明かされた。
マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの作者である荒木飛呂彦が手掛けた初のパブリックアート「THE FOUNTAIN BOY（噴水小僧）」は、JR大阪駅西地区の新駅ビル「イノゲート大阪」の開業にあわせて7月31日より一般公開される。
