世界最高峰の映画の祭典が3月11日(現地時間3月10日)に米国ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞を受賞した(※崎はたつさき)。名誉あるオスカー像の獲得だ。
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アカデミー賞公式X(旧Twitter)では「Congratulations, Hayao Miyazaki and Toshio Suzuki!」の言葉を添えて、宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーに賛辞を送っている。宮崎監督は『千と千尋の神隠し』以来となる、21年ぶりの同賞受賞だ。
宮崎監督の10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』は、北米では『THE BOY AND THE HERON』のタイトルで公開。2023年11月にニューヨークとロサンゼルスの4館で先行上映後、12月からアメリカとカナダの2205館で公開。公開初日から3日間のオープニング興収(先行上映含む)は約1297万ドル(約18.8億円)を記録し、日本映画オリジナル作品として初の北米週末興行収入ランキング第1位を獲得している。
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アカデミー賞の前哨戦とも呼ばれる「第81回ゴールデン・グローブ賞」ではアニメーション映画賞をスタジオジブリ作品で初受賞し、オスカー像の獲得も期待されていた。
宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーは授賞式を欠席している。代わりに現地入りしていたスタジオジブリの中島清文副社長が2名の不在を「年齢も高いので許してあげて」と前置きし、授賞式後にコメントを代読した。
鈴木敏夫プロデューサーのコメント
長編アニメ映画賞をいただいたこと、大変光栄に思います。アカデミーに感謝申し上げます。そして、この作品の製作に携わった 方々、世界で配給をしてくれた関係の皆様に感謝申し上げます。
この作品は宮崎駿監督の引退の撤回から始まりました。そして製作に7年もの歳月を費やしてしまいました。
前作『風立ちぬ』からは、10年ぶりで、映画を取り巻く環境もすっかり変わってしまいました。本当に難産でした。そうしたことを乗り越えて生まれた作品が、世界中の多くの皆さんに観ていただけたこと、そしてこのように評価をいただけたことをとても嬉しく思います。
宮崎も私も随分と年を重ねてしまいました。この年齢でこのような栄誉に浴せることに感謝申し上げるとともに、『もっと働け』とい うメッセージだと受け止めて、これからも精進してまいりたいと思います。本当にありがとうございました。
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また、鈴木プロデューサーの娘で、スタジオジブリが1995年に公開した映画『耳をすませば』の主題歌「カントリー・ロード」の作詞を担当した鈴木麻美子は「取ったー!! パパ、おめでとう」と投稿。泣き顔の絵文字も添えて、快挙をたたえている。
『風の谷のナウシカ』公開40年周年記念日に受賞
授賞式の3月11日は、宮崎監督の『風の谷のナウシカ』の公開日1984年3月11日からちょうど40年後だった。スタジオジブリの長編作品を北米で配給するGKIDS Filmsも現地時間3月11日にそのことに触れた投稿をした。