アニメ映画『音楽』で知られる岩井澤健治監督によるアニメ『ひな』のパイロット・フィルムが、「カンヌ国際映画祭」のアヌシー・アニメーションショーケースにて上映されることが決定した。長編アニメ映画化を目指して制作パートナーを募集しており、岩井澤監督よりコメントも到着した。
岩井澤監督は、7年半の歳月をかけ4万枚超を手描きしたアニメ映画『音楽』を2019年に完成させた。世界60か国以上に販売され、上映された同作は「アヌシー国際アニメーション映画祭」や「オタワ国際映画祭」などで受賞し、高い評価を得た。その後、オンライン・ストリーミングなどでも配信され、世界中でファンを魅了し続けている。
そんな岩井澤監督が、次に作りたいアニメ映画の企画として取り上げた題材が、『愛しのアイリーン』、『宮本から君へ』、『ザ・ワールド・イズ・マイン』などを手掛けたマンガ家・新井英樹による「『8月の光』『ひな』その他の短編」より、魔性の女を巡る男3人の血みどろバトルを描く『ひな』だ。その繊細かつダイナミックなドラマを、アニメーションで表現したいと考えている。
そんなアニメ『ひな』のパイロット・フィルムがこのたび、2023年5月にフランス・カンヌで開催される「第76回カンヌ国際映画祭」のアヌシー・アニメーションショーケースで上映されることが決定した。
約3分の『ひな』パイロット・フィルムは、岩井澤監督の才能に惹かれた著名なスタッフが参加している。長編化に向けた脚本は、カンヌ国際映画祭、ロサンゼルス映画批評家協会賞で脚本賞を受賞し、米国アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』 の脚本を濱口竜介監督とともに手掛けた大江崇允が務める。
アニメーション作画監督とキャラクター・デザインは、『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などの作画監督を担当し、『映像研には手を出すな!』、『おそ松さん』、『うる星やつら』など人気TVシリーズ作品のキャラクター・デザインを手掛けるアニメーター・浅野直之が担当した。
パイロット・フィルムが完成した『ひな』は現在、その映像をもって企画・提案をしながら制作パートナーも募集している。制作費を集め、最終的には80分～90分の長編アニメ映画化を目指す構えだ。
＜以下、コメント全文掲載＞
監督：岩井澤健治
2020年5月に『ひな』の劇場アニメーション映画企画を立ち上げてから3年、多くのスタッフ、キャストの方々にご協力いただき、ようやく3分ほどのパイロットフィルムを作ることができました。
新井英樹さんが描くキャラクターの躍動感、感情表現、物語の疾走感など、アニメーションととても相性が良いのではないかとずっと感じていたので、この数年間は新井漫画を何度も読み返しながら映像化のイメージを膨らませてきました。
まずはそのほんの一部を映像にしましたが、本編制作に至るまではまだまだ長い道のりなので気長に待っていただければ幸いです。
1981年生まれ、東京都出身。 高校卒業後、実写映画のスタッフとして石井輝男監督に師事。 その傍ら独学でアニメーション制作を始め、２０08年に短篇『福来町、トンネル路地の男』を発表。 長篇第1作となる『音楽』は脚本・絵コンテ・キャラタクターデザイン・作画監督・美術監督・編集を務め、自主制作体制で7年半の歳月をかけて完成後、2020年1月11日より劇場公開され、約9ヶ月に渡ってロングラン上映された。
2023年現在、新井英樹氏原作の『ひな』（英題：『Hina is Beautiful』）を企画。
完成した約３分のパイロット・フィルムを元に企画・提案、資金調達と長編アニメーション映画化を目指しています。
■ 岩井澤 健治監督作品 アニメーション映画『音楽』主な受賞歴
第43回オタワ国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門グランプリ
アヌシー国際アニメーション映画祭20２0 長編部門 最優秀オリジナル音楽賞
第75回毎日映画コンクール 大藤信郎賞受賞
第24回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門大賞受賞 ほか
