「僕のヒーローアカデミア」山下大輝×岡本信彦インタビュー|研ぎ澄まされてきたデクとかっちゃんの関係性 | アニメ!アニメ!

「僕のヒーローアカデミア」山下大輝×岡本信彦インタビュー|研ぎ澄まされてきたデクとかっちゃんの関係性

TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期「全面戦争編」より、緑谷出久(デク)役の山下大輝、爆豪勝己役の岡本信彦の対談インタビューをお届け。

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山下大輝×岡本信彦
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  • (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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原作が終章に突入し、ますますの盛り上がりを見せる『僕のヒーローアカデミア』。10月より放送スタートしたTVアニメ第6期「全面戦争編」も、圧倒的な熱量と一瞬も気が抜けないストーリー展開というかつてない“プルスウルトラ”な内容で、ファンを虜にしている。

アニメ!アニメ!では、緑谷出久(デク)役の山下大輝、爆豪勝己役の岡本信彦の対談インタビューをお届け。収録の裏側や、キャラクターの心情分析を語っていただいた。

[取材・文:SYO 撮影:吉野庫之介]



「死と隣り合わせ」という緊張感が加わってくるのが「全面戦争編」


――アニメ第6期は「全面戦争編」の名の通り、衝撃展開の連続です。山下さん・岡本さんはどのように受け止められましたか?

山下:みんなが主人公のような感じですよね。見どころしかないというか、毎回クライマックスのような感じで息つく暇もない戦いだらけ。しかもそれが終わりまで続いていく。シーンとしては今回はこのキャラが戦って、そして今回は……といったように所は変われど、ヒーローも敵(ヴィラン)もみんながフルスロットルで戦っているのは共通して最後まで変わらないと思います。

岡本:4期の「死穢八斎會」くらいから「キャラクターが死ぬ」という描写が入るようになり、今回の「全面戦争編」は本当に誰が死んでもおかしくない緊張感がずっとあります。『僕のヒーローアカデミア』は「これは僕(緑谷出久)が最高のヒーローになるまでの物語」だから、少なくとも主人公はそれを言う直前までは死なないはず、という予測は立てられるのですが、他の人たちはそうじゃない。爆豪がいつ死んでもおかしくないなと思いながら収録に臨んでいます。

実際、「週刊少年ジャンプ」本誌で読んでいるときも「A組の誰か死ぬかもな……」と思いながら読んでいましたし、それくらい厳しい戦いだと感じています。





――となると、収録の際のテンションもまた変わってくるといいますか。

山下:ヒロアカは基本プルスウルトラ精神で臨んでいるので大きくは変わらないのですが、緊迫感・緊張感がどんどん上がってきているようには感じます。いまノブさん(岡本)が言ったように誰が死んでもおかしくない状況――それは大人も子どもも関係なくピンチが訪れるということなので、そういった現場はやはり毎回緊張感があります。収録は出演者がグループに分かれて行われているのですが、恐らくどのグループも同じような緊張感のなかでやっていたからこそ、できあがったものを観てハラハラできるんだと思います。

岡本:ヒロアカの収録スタジオは、都内でもトップクラスに広い会場。(感染対策のため)分散収録ではありますが、他のスタジオと違ってより多くの人数で同時に収録できる環境なんです。基本的に(出演者が)みんないるので、同じ気持ちを持ちながら収録できるのはすごくありたいです。

緊迫感はヒロアカにはもともと備わっていたものだと思いますが、そこに「死と隣り合わせ」という緊張感が加わってくるのが「全面戦争編」。物語全体を通して、山場感はあります。





――「全面戦争編」でデクには今まで以上に絶望感が、しかも何回も畳みかけます。山下さんは演じていていかがでしたか?

山下:やっぱり誰も死なせたくないし、ケガもさせたくない、傷つかせたくないのがデクだと思うのですが、そんなことを言ってられない状況になっているじゃないですか。しかも自分の身の回りの近しい存在が次から次へと倒れていくのを間近で見てしまったとき、自分が何もできない悔しさで心がズタズタになっていってるなとは感じました。台本を読んでいても、気持ちは先にいっているけど、身体が追いつかない悔しさが伝わってきましたね。

デクの考え方って冷静にみるとちょっと狂気じみているし、度が過ぎているんですよね。ただ、彼の異常なまでの正義感がワン・フォー・オールの中の人(歴代継承者)にとっては力になるし、だからこそ引き出せるパワーがある。でも、僕としては妙な気持ちになってしまうんです。それって本当にいいことなのかな?といつも心配でしょうがないんですよね……。自分を置いてけぼりにして人を救ってしまう、心配な動きをするキャラクターなのですが、今回はさらに拍車をかけていました。

グラントリノをはじめ傷ついて倒れてしまう仲間たちを見て、自分のふがいなさで憤ってしまい、それを煽ってくる死柄木、オール・フォー・ワンがいて……。感情としてはぐちゃぐちゃですし、(五代目継承者に「重要なのは怒りを制すること」と教わったにもかかわらず)ただただ怒りで動いてしまっている自分も情けなくて、でもそこに頼るしかない自分もいて……色々な気持ちが入り混じっていて、演じるのはすごく大変でした。



――これまでのデクとはまるで違う雰囲気での「取り消せ」という一言もありましたね。

山下:それ以外の感情はないくらい、怒り一色でした。デクはいつも、自分より仲間を侮辱されたときに怒るんです。そういうところも危なっかしくて、心配になっちゃいます。

――本当に、カロリーを使うタフなシーンが続きますよね……。

山下:6期の前半休ませていただいたぶん、頑張りました(笑)。前半はプロヒーローや1-Aの他のみんなが活躍していて、後半になるとこちらにスポットが当たって、戦いが熾烈を極めていく流れだったので、そこからは休む暇はなかったですね。そもそも、あんなにスマッシュを打ったことがないですから。

――確かに!

山下:そこはもうアドレナリンで乗り切りました。でもこの「身体がボロボロになっても諦めない」というのは、割と初期のデクの考え方なんですよね。でもそうしないと止められないのも事実。かっちゃんにあんなにブチ切れたこともなかったですし(笑)、改めてギリギリの戦いでした。





――対する爆豪は物語が進むにつれてどんどん新たな面が出てくるキャラクターかと思いますが、6期でも新たな成長が観られますね。

岡本:ただ、爆豪がどういった部分で成長しているのかって実は難しいところだとも思うんです。自分で「俺はもっと先に行ってるぞ」と言うけど、それは言うことで自分のハードルを上げるためですし、明確に成長を実感できるのはどちらかというとデクだと思います。一つひとつ新たな“個性”が顕現して、それをコントロールして肉体も気持ちも強くなっていく。強敵を倒すという成功体験もありますしね。それを僕らも観られるから、成長していることがわかりやすい。

ただ他のキャラクターについては、描かれていない部分が多いぶん、それぞれの役者が想像の範囲で頑張って成長ぶりを考えていく必要性があるかなと思います。それでいうと、爆豪が自分を鼓舞するということはきっと、並々ならぬ努力をしてきたんだと思いますし、彼における「成長」ってコントロールのほうだと感じています。元々“才能マン”なので何でもこなせちゃいますし、その中で「周囲を巻き込んでしまうかもしれない「爆破」の“個性”とどう向き合うか」を“考える”ことがある意味での成長につながっている気がしています。

かっちゃんがストッパーになってくれている


――デクと爆豪でいうと、対等な関係になったことが今期の展開にも大きく寄与していますよね。ふたりの関係の変遷について、山下さん・岡本さんは改めてどうご覧になっていますか?

山下:言わないけど、お互い意識しあっていますよね。デクからすると、かっちゃんは何でもできるしすぐ吸収して自分の技術にするから、分析対象であると同時に自分の気持ちを本気でぶつけられる相手だと思います。同じ秘密を共有している唯一の仲間ですごく信頼していて、心の安定をくれる存在。共有者になったことでデクも自分の意見をはっきりと言うようになったし、真正面からぶつかれるようになった。かっちゃんがストッパーになってくれていると、最近特に思います。

岡本:目指している先がNo.1ヒーローのオールマイトだ、というところで共通していますし、爆豪は何でもできたからこそ、これまではそんなに分析をしてこなかった人だと思います。でも雄英に入ってデクを見て、自分がさらに上に行くためには分析をしなければならないと思うようになったし、お互いに補い合っているイメージがあります。「才能だけでは努力に負ける」とデクに教えてもらって、でもそこで終わらないのが爆豪。努力する天才なのが、彼の魅力だと思います。





――デクと爆豪の対等性を象徴しているシーンとして、今回は映画第2弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』を除くと、つまりTVシリーズでは初めてといってもいい両者の本格共闘が描かれます。

山下:僕は、5期の「インターン編」が結構重要だと思っています。描かれていないだけで、エンデヴァーのもとで嫌というほどコンビネーションを特訓させられたんじゃないかと考えていて。きっとそこで「お前のよくないのはそういうところだぞ」と散々言われていて(笑)、だからこそデクもかっちゃんも瞬時に自分の役割を判断し、全うできる。インターンがあったからこそ、いちいちすり合わせなくても咄嗟に「自分がやるところ・相手がやるべきところ」を計算・理解して動けるまでに成長したんだなと思います。

エンデヴァーを見てきたからこそ動きのズレもなくなり正確になってきたし、デクとかっちゃんがワン・フォー・オールの秘密の共有者になったことで関係が強化され、もう一個上のレベルの行動ができる。元々腐れ縁の仲ですが、より研ぎ澄まされてきた感覚があります。

――全面戦争編と直接的に繋がるエピソードとしては、やはり3期の神野の戦いがあるかと思います。それを受けた「デクvsかっちゃん2」の収録では、おふたりがオールマイトVSオール・フォー・ワンを意識しすぎてしまい、調整していったと伺いました。今回はいかがでしたか?

岡本:話し合って調整というようなことはなかったです。あるとしたら、疲弊に負けないことくらいかな。みんな疲れて息も絶え絶えだけど、ヒーロー側の勝利に向かって立ち向かって挑んでいこう!というディレクションはありました。「あ、そういうことだったんだ! 用意してきたものと全然違ったぞ」ということはなかったです。

山下:ミルコをはじめ、みんな「負けちゃいけない」という気持ちがありましたよね。みんな同じ気持ちで戦っている。

岡本:だからこそ、声優としてすごくやりがいがありました。キャラクターがなぜ声を出すのかは、勝利に向かって、相手に向かって「絶対倒すんだ」という気持ちを声で表現できることは、声優冥利に尽きます。きっとここは漫画だとなかなかわからない部分で、ヒーローも敵(ヴィラン)も「絶対にあいつを倒す」という気持ちで声を出し合っている。ただ声を張るんじゃなくて、それぞれに怨念や助けたい気持ちがあったうえでそれが声に表れる、表せられるのが面白いです。



TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期

読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネットにて毎週土曜日17:30~(一部地域を除く)

■スタッフ
原作:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
総監督:長崎健司
監督:向井雅浩
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦・小田嶋瞳
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ

■キャスト
緑谷出久:山下大輝
死柄木弔:内山昂輝
爆豪勝己:岡本信彦
轟焦凍:梶裕貴
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
相澤消太:諏訪部順一
エンデヴァー:稲田徹
ホークス:中村悠一
荼毘:下野紘
トガヒミコ:福圓美里
トゥワイス:遠藤大智
Mr.コンプレス:最上嗣生
スピナー:岩崎了
リ・デストロ:平田弘明


(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
《SYO》
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