「スタジオジブリ」作品の世界観を表現した公園「ジブリパーク」が、2022年11月1日に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内に開園する。今回、開園に先駆け内覧会が開催。アニメ!アニメ!では園内の様子をレポートする。
■ジブリパークについて
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「ジブリパーク」は、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」内に森と相談しながらつくられている、「スタジオジブリ」の世界を表現した公園だ。大きなアトラクションや乗り物はなく、森や道を自分の足で歩いて、風を感じながら秘密を発見する場所となる。2022年11月1日、第1期にオープンするのは「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリアで、ジブリの秘密がいっぱいの大倉庫と、映画に登場した建物の世界が楽しめる。まさにジブリの大博覧会とも言うべき「ジブリの大倉庫」は、1つの巨大な施設の中に映像展示室をはじめ、3つの企画展示室、ショップやカフェなどがぎゅっと詰め込まれた。
■雫と聖司に思いを馳せる…「青春の丘」
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メインゲートを抜けてまず現れたのはエレベーター塔。高さ約30mで、既存のエレベーター施設を改装したものだ。『天空のラピュタ』や『ハウルの動く城』に代表される19世紀末の空想科学的な世界観をもとにしたデザインに目が引かれる。エレベーターは2つ稼働しているが、脇には迂回ルートも。園内に設置されているベンチにはジブリ作品のオブジェが置かれているため、ゆっくり回り道をするのもいいだろう。
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公園北口付近の「青春の丘」エリアは、このエレベーター塔と『耳をすませば』の舞台のひとつ「地球屋」、『猫の恩返し』に登場する「猫の事務所」の3つの建物から構成されるエリア。
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地球屋は、主人公・月島雫が辿り着いたアンティーク家具や時計の修理・販売を行うお店。入口の2階にはアンティークの家具や機械仕掛けのからくり時計、木馬などが飾られており、1階には思わず天沢聖司の姿が浮かぶバイオリン制作の工房がある。1階・2階にはそれぞれテラスもあり、愛・地球博記念公園の景色を眺めることができる。
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このほか室内には、雫とおじいさんが一緒に鍋焼きうどんを食べているシーンが印象的だった暖炉があったり、店前にはジャケットがかけてある自転車が置かれていたりなど、映画のワンシーンをありありと思い出せる再現度の高さ。また、地球屋でははがきや切手を販売しており、ロータリー広場の郵便ポストから手紙を出すことができる。
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ロータリーに並ぶこじんまりした建物は「猫の事務所」。窓から室内をのぞくと、しっかりと作り込まれたミニチュアサイズの家具や小物が見える。そのなかでくつろぐバロンやムタにも注目だ。
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■映画の中へ入り込んだような色鮮やかな街並み
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さらに園内を進んでいくと、大きな広場、スケート場、そしてジブリの大倉庫が見えてくる。ジブリの大倉庫は、作品展示や子どもたちが遊べる部屋、映像展示室、カフェ・ショップなど盛りだくさんのエリア。中へ入ると、いらっしゃいませの文字が目に映り、まるでジブリ作品に迷い込んだようなカラフルな街が広がる。タイル装飾が散りばめられた色鮮やかな「中央階段」、その上を見上げると『天空の城ラピュタ』冒頭に登場する全長約7mの「空飛ぶ巨大な船」がゆっくり飛んでいる。
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また、階段下にひっそりと灯りが灯る「哲学研究会」を発見。この会は、『コクリコ坂から』に登場する文化部室が集まる洋館「カルチェラタン」の一角にある部室。学生たちの熱量を感じさせるさまざまな書物や雑貨がいたるところに置かれている。
なお、「ジブリの大倉庫」内の装飾にはススワタリが隠れているため、ぜひ見つけて楽しみたい。
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「大倉庫見学路」では、三鷹の森ジブリ美術館の企画展示や、国内外で展示した制作物が保管されている。見覚えがあるキャラクターや造形物がひっそり佇む姿が、見ていておもしろい。大倉庫内は薄暗く、ちょっぴりホラーな制作物もあるため小さな子どもはびっくりしてしまうかも?
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■宮崎吾朗監督が語る「ジブリパーク」のきっかけは?
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内覧会当日、映像展示室オリヲン座では大村秀章知事と宮崎吾朗監督によるトークイベントが行われた。大村知事は、約5年をかけて作り上げたパークのオープンを喜ぶとともに、多くの人に楽しんでもらいたいとメッセージ。宮崎吾朗監督はジブリパーク建設は宮崎駿監督の引退がきっかけだったことを明かし、「ところが、宮崎駿は今長編映画を作っておりまして…(笑)」とコメント。
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なお、通常のオリオン座では『めいとこねこバス』『くじらとり』『星をかった日』といった「三鷹の森ジブリ美術館」で上映されている全10作品を順番に上映する予定だ。
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企画展示エリアでは、スタジオジブリ“入門編”となる3種類の企画展を展示する。まず「ジブリのなりきり名場面展」は、ジブリ作品の登場人物になりきれる体験型の展示。『千と千尋の神隠し』のカオナシと電車に乗るシーンや、『天空の城ラピュタ』でシータが落ちてくるシーンなどなど、ファンには堪らない名シーンを再現することができる。
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「食べるを描く。」は、2017~18年に三鷹の森ジブリ美術館で開催された展示の増補改訂版となり、ジブリ作品のおいしそうな食べ物の秘密を紐解いていく企画だ。展示には新たに『千と千尋の神隠し』『コクリコ坂から』『アーヤと魔女』の3作品を追加。『千と千尋の神隠し』の世界に迷い込んだような屋台や、今にもコクリコ荘の住民たちが起きてきそうな『コクリコ坂から』の朝食風景が再現されている。
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「ジブリがいっぱい展」では、世界中から集めたジブリ作品のポスター、書籍などを一堂に展示。スタジオジブリの打ち合わせスペースを再現したという「トトロ・バー」には、大きなトトロがカウンターにかわいく佇んでいる。実際に座れる大きなトトロとネコバスのイスなども飾られている。
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■画面から飛び出した巨人兵、湯婆婆、トトロたち
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「ジブリの大倉庫」内には、さまざまな作品が展示されている。にせの館長室と書かれた建物には、『千と千尋の神隠し』の湯婆婆と緑の3つの頭たちの姿が。湯婆婆は来園者にも気づかず、仕事に没頭している様子だ。また、脇に立つ柱には“饒速水琥珀主”の文字と、ぐるぐると巻き付いたような竜の姿をしたハクが描かれている。
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「ネコバスルーム」は『となりのトトロ』の世界を表現した子どもたち向けの遊び場。ボタンの目をつけたぬいぐるみのような姿のネコバスや、メイと出会ったときのようにお昼寝しているトトロたちに会うことができる。
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このほか、「子どもの街」も子ども向けのエリアとして作られたもの。スタジオジブリがある東京・小金井の昔の街並みや乗り物をモチーフした遊び場となっている。
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子どもたちを待つ際は、昔の映画館のロビーのような場所で待つほか、大人が懐かしい気分になれる「南街」エリアを楽しみたい。「南街」はスタジオジブリの書籍を取り扱う「熱風書店」、模型を集めた「大空模型」、「駄菓子 猫かぶり姫」が並ぶ商店街だ。中でも、実際に買い物することができる「大空模型」では『風の谷のナウシカ』『未来少年コナン』といった宮崎駿監督作品の模型が揃うほか、宮崎吾朗監督おすすめの商品が並ぶ。
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■トトロ、天沢聖司、オクサレ様まで…ファンの心をくすぐるアイテムが勢ぞろい!
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「ジブリの大倉庫ショップ 冒険飛行団」では、ジブリ作品に関連するグッズに加え、ジブリパークのオリジナル商品が取り揃えられた。トトロ、頭などのキャラクターぬいぐるみや、海原電鉄デザインのTシャツ、天沢聖司のエプロンといったアパレルアイテム、手帳やノート、紙の人型ふせんなどのステーショナリーアイテムも充実。
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「ジブリパーク ラングドシャ」、『アーヤと魔女』に登場するミミズの形をした「ぐねぐねミミズグミ」、「ススワタリの金平糖」、「耳をすませばビジュー缶」などのお菓子のお土産も、手を取ってしまいたくなるかわいさと見た目だ。
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「冒険飛行団」の脇には、「ミルクスタンド シベリあん」が店舗をかまえる。愛知県産の牛乳をオリジナルデザインの瓶で提供しており、おやつにぴったりなカステラであんこを挟んだシベリアも食べられる。
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もう1つの飲食スポットは、サンドイッチやピザを提供する「カフェ 大陸横断飛行」。長距離飛行のパイロットが操縦しながら片手でとる食事をイメージしているという。サンドイッチには、宮崎駿監督が描いたオリジナルイラストの旗がポイントに。
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■トトロに会えるかな? どんどこ森まで大散歩!
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公園内の奥へ進み稲楼門を抜けると、どんぐりが転がる森の中へ。少し足取りに疲れを感じたところで休憩所「どんどこ処」に辿り着く。ラムネやあめなどほっと一息つくのにちょうどいいメニューのほか、傘や帽子、手ぬぐいなどの季節にあわせた商品も揃う。
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どんどこ森のメインとなる「サツキとメイの家」は、『となりのトトロ』の主人公姉妹が暮らす民家。この家は2005年に開かれた愛・地球博(愛知万博)のパビリオンとして建てられたもの。宮崎吾朗監督が制作を担当しており、劇中の設定にあわせて昭和10年代の建築様式や昭和30年代の生活様式を再現している。
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台所や五右衛門風呂、外の井戸、さらに箪笥の中まで見ることができ、キャラクターがそこで暮らしていた雰囲気を感じられる。
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家の裏山を登り山頂に到着すると、トトロの形をした高さ約5mの木製遊具「どんどこ堂」が出迎える。愛知県産の杉やヒノキを使用したもので、小学生以下の子どもは中に入って遊べる。そばにある「どんどこ売店」では、おみくじやキーホルダー、御朱印帳などスタジオジブリのキャラクターが描かれたオリジナルグッズを購入できる。
ふもとに戻る際は、スロープカー「どんどこ号」を利用するといいだろう(※ベビーカーや車いすの方が優先)。
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ジブリパークは2022年11月1日オープン。パークは日時指定の予約制で、エリアごとに予約・チケット購入が必要となる。
また、公園北口にある物販・飲食施設「ロタンダ風ヶ丘」、「どんどこ売店」、「どんどこ処」はどなたでも立ち寄れる施設でスタジオジブリグッズも多数取り揃えている。
ジブリパークは、2023年秋には「もののけの里」、2024年3月に「魔女の谷」のエリアも開園予定だ。
・ 第1期開園日 :2022年11月1日
・ 所在地 :愛知県長久手市茨ケ廻間乙1533-1 愛・地球博記念公園内
(専用駐車場はありません。公共交通機関でお越しください)
(C) Studio Ghibli