アニメ『四畳半タイムマシンブルース』が2022年9月17日、西日本最大規模の漫画・アニメの総合見本市である「京まふ」こと「京都国際マンガ・アニメフェア 2022」内でスペシャルステージを開催した。会場には「私」役の浅沼晋太郎と樋口師匠役の中井和哉が登壇。京都らしく着物姿で登場した二人を、集まった観客が大きな拍手で迎えた。
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まずは12年ぶりに「私」を演じることについて、浅沼は「12 年ぶりに演じることがすごく嬉しかった反面、不安でしたし、緊張しました」と心境を吐露する。浅沼はさらに「『私』自身がちょっと成長しているなと。『四畳半神話大系』の頃はもっとどうしようもなかった(笑)。今回は、割と『私』が引っ張っていて、意外とまともに見えたんです。でも、成長を感じると同時に少し寂しくなる部分もありましたね。僕は、成長しない、どうしようもないダメ大学生の『私』が好きだったので」と、「私」の演者ならではの目線を語った。
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続いて、完成した作品を観た感想について、中井は「めっちゃ面白かった」ときっぱり。「自分が出ている作品を観返すのは自分の演技について考えてしまい苦手なのですが、本作はとにかく面白くて夢中になれる作品でした」と絶賛すると、浅沼はこれを「嬉しい」と心から喜んでいた。
また、TVアニメ『四畳半神話大系』から12年振りの『四畳半』シリーズの新作となった本作について、浅沼は「今回は続編というよりは、ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシン・ブルース』を『四畳半神話大系』のキャラクターたちが演じているイメージです。テレビシリーズをご覧の皆さんがご存知のあの関係が振り出しに戻っています。本作を観て『四畳半神話大系』を観返してもらえるとさらに楽しめます」とレクチャーする。
さらに、本作でもナレーションを担当している浅沼は「今回はSFに対する解説や状況説明を含むので、『四畳半神話大系』より丁寧なナレーションになっています」と言い、『四畳半神話大系』では「有益な情報は特にないので、BGM のように右から左に流れていくナレーションでいいと言われていた」とナレーションにまつわる秘話も披露。「そのおかげで僕は舌が取れそうになりました(笑)」とオチをつけ、「人間に息継ぎって大事なんだなと実感しました」と、早口が特徴的なナレーションだからこその苦労を述べた。
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そして、中井が樋口師匠について「『四畳半』シリーズに仲間入りできたことが楽しかったです。僕は『夜は短し歩けよ乙女』から樋口師匠を演じさせてもらいましたが、その時はすごく悩みました。(それまで樋口師匠を演じていた)藤原啓治さんの凄さも十二分に知っていたので」と演じる上での苦悩を話すと、浅沼が「僕は中井さんが樋口師匠役を継いでくださって嬉しかったです」と感謝する。中井は初めて樋口師匠を演じた際は「緊張でガチガチだった」からこそ、「今回、再び樋口師匠を演じることができて素直に嬉しかった」との心境を語った。
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このほか、アフレコについては、浅沼が「12 年前の自分を超えなきゃいけないとプレッシャーを感じていて、夏目(真悟)監督が求めるスピードよりも早口になっていたんです。でも、ゆっくりにしたら『四畳半』ファンにガッカリされるんじゃないかと思っていて」と不安を感じていたことを明かす。すると中井が「声優さんだったらこれぐらいの早さで読めますよねという前例を作るのはやめてくれ」と懇願する場面もあった。
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最後に、中井は「本当に面白い作品です。くすっと笑えて温かい気持ちになって、夏が過ぎ去ってしまう寂しさと、季節が少し進んだ清々しさを同時に味わえるような作品です」とあいさつ。浅沼は「悪魔的融合という言葉がキャッチフレーズに使われていますが、SF とラブコメディと群像劇、いろんな要素が融合されていて、幕の内弁当みたいな作品です。2022 年の夏の思い出にしていただければ嬉しいです」と作品について話し、イベントは大盛況で幕を閉じた。
■日時 9 月 17 日(土)16:00~16:40
■場所 京都市勧業館「みやこめっせ」(〒606-8343 京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9−1)
■登壇 浅沼晋太郎(「私」役)、中井和哉(樋口師匠役)
『四畳半タイムマシンブルース』
9月 30 日(金)より3週間限定全国ロードショー
配給:KADOKAWA/アスミック・エース
(C)2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会