森久保祥太郎の声優としてのターニングポイントとは― ヒューマンアカデミー特別講義にてキャリアを振り返る | アニメ!アニメ!

森久保祥太郎の声優としてのターニングポイントとは― ヒューマンアカデミー特別講義にてキャリアを振り返る

2022年7月2日、総合学園ヒューマンアカデミー新宿校にて声優の森久保祥太郎さんをゲストに迎えて、特別講義『森久保祥太郎の3つのTurning Point』を開催。声優を志す若い人に向けて、自身のキャリアを振り返った。

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(左から)増田里紅さん、森久保祥太郎さん
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2022年7月2日、総合学園ヒューマンアカデミー新宿校にて声優の森久保祥太郎さんをゲストに迎えて、特別講義『森久保祥太郎の3つのTurning Point』を開催。声優を志す若い人に向けて、自身のキャリアを振り返った。

同アカデミーでは声優志望者向けにさまざまなイベントを開催しており、今回は長年業界の第一戦で活躍している森久保さんにキャリアの積み方や声優として大切なことなど貴重な話を聞いた。今回はその内容をレポートする。

[取材・文・撮影=杉本穂高]

■舞台の表現と異なる「声優」の世界


司会進行役は、同アカデミー出身の声優、増田里紅さんが務めた。講義は年表に沿って進められ、森久保さんのキャリアの変遷の中で重要な3つのターニングポイントを中心に語られた。

(左から)増田里紅さん、森久保祥太郎さん

森久保さんの演技歴はかなり長い。1992年に自身の劇団「おにぎりスキッパーズ」を結成したが、小学校2年の頃から英語に親しむことを目的にした英語演劇の習い事をしていたそうだ。そこの先輩たちと一緒に劇団を立ち上げたとのこと。

そんな森久保さんは舞台役者の道を志し下積みを積んでいたが、一般的な芸能プロに5年ほど所属することになる。その事務所が偶然、声優事務所であるシグマ・セブンと提携していたことが縁となり、アニメのアフレコに参加することになったそうだ。

森久保祥太郎さん年表(1)

声優デビュー作は『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』のミニ四ファイター役。これが最初のターニングポイントになったとのことだが、アフレコ自体が初めての体験だったので、今まで培った芝居のセオリーが通用しないことが多々あったという。例えば、舞台の役者は全身を使って表現するが、そのやり方でアフレコに望んだら手に持っている台本の音がうるさくてNGを出してしまったそうだ。

そんなすべてが新しい体験という中、毎週「冷や汗と恥をかきに行っていた」状態だったそうだが、そのときの経験は貴重なものだったようだ。さらに、声優の先輩方から学んだものは非常に大きく、かわいがってもらったことが財産になっているという。

イベントの様子

1997年、子ども向けバラエティ番組「おはスタ」のナレーションからMCを代打で務め、翌年には怪人ゾナー役も演じることになる。この頃に、正式に声優事務所シグマ・セブンに所属することになり、『スプリガン』と『魔術士オーフェン』で初の主役を演じ、順調に声優としてステップアップしていく。

2000年には「モスキートミルク」としてバンドデビューを飾るが、森久保さんは元々劇団活動と平行してアマチュアバンドをやっていた。そこから『ロックマンX5』の主題歌を歌わないかと誘われたのがきっかけだったそうだ。

そして、2001年にはラジオDJの仕事もするようになり、さらにはカプコン セルピューターレーベルからソロデビューを果たす。この年が2つ目のターニングポイントだそうだ。まったく体験したことのないラジオDJをやることになった経緯も、偶然シグマ・セブンの先輩であり、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』でも共演していた渕崎ゆり子さんから紹介を受けたことがきっかけだったそうだ。

イベントの様子

森久保さんは、「やってみるか」と言われると首を縦にふってしまうのだという。このラジオDJの経験は、役者においても人生においてもすごく大きな影響を受けたとのこと。生放送ではさまざまなことが起きるが、最後に帳尻をあわせればなんとかなる、少しのズレがあったくらいなら、そのほうがライブ感もあってかえって面白くなることを学んだそうだ。

2002年には、『NARUTO -ナルト-』の奈良シカマル役、2005年『メジャー』の茂野吾郎役など、長期シリーズの人気キャラクターを演じ順調にキャリアを伸ばす中、2007年には、『クリミナル・マインド』で外国語の吹き替えでも長期シリーズに関わっている。

2008年には、ランティスでアーティスト活動を開始し、アーティストとしてもメジャー進出を果たしている。声優としては『薄桜鬼』で沖田総司役を務め人気を博す。

森久保祥太郎さん年表(2)

その後、2010年代でも、『弱虫ペダル』巻島裕介役や『うたの☆プリンスさまっ♪』寿嶺二役など人気キャラクターを演じ、アニメ、ラジオ、アーティスト活動と多岐にわたる活躍を続ける中、事務所をヴィムスに移籍。自身が移籍したことでできた事務所だったため、後輩が入ってきてもなかなか活躍の場を拡げられないことに最初は責任を感じていたという。だが、後輩の八代拓さんらがアニメの主役を掴み、その後も後輩が育ってきてヴィムスが一定の認知を得て「ひとつの役目を終えた」と感じ、次の目標を立てようと思ったのだそうだ。

これが3つ目のターニングポイントとなり、2018年に独立し、株式会社アドナインスを設立し代表取締役に就任する。森久保さんが役者になろうと思ったのは、自分には会社員務めはできないだろうと感じていたからなのに、社長になることに自分でも驚いたそうだ。しかし、これから自分がやりたいことに挑戦するには、自分の会社がベースにあったほうがいいと思ったのだとか。森久保さんは自身の経営方針について、会社を大きくしたいわけではなく小回りの利く会社で夢を広げていける、自分なりのやり方でやっているようだ。今後は、若手を育てるような仕事を積極的にしていきたいという。

イベントの様子

2020年には第14回声優アワードでパーソナリティ賞を受賞、2021年には人気アニメ『東京リベンジャーズ』の稀咲鉄太役など、社長業をやりながら、現在でも第一線で活躍を続けている。

森久保さんは、コロナ禍でのアフレコ方法の大幅な変更について、自身は現場で先輩から多くのことを学んだ経験が大きかったと語り、コロナ禍でデビューした人たちには、何らかの形で学びの機会を補ってあげる必要を感じているようだ。

■声優は「想いを伝える」仕事


講義の後半は、参加者からの質問に答える形となった。全国のヒューマンアカデミーからリモートで質問が寄せられた。

イベントの様子

森久保さんは、質問に答える形で「下積み時代が一番楽しかった」や、「NGを出さないことが良い芝居ではない、良い意味でNGを怖がらないでほしい、若いうちに失敗の前借りをしておくべき」など、役者としての成長に必要な言葉を多々、若い受講者に向けて発していた。

また、声優を目指すために親を説得するときに大切なことを聞かれ、「声優はカッコいい声を出すのが仕事ではなく、芝居によって想いを伝えるのが仕事。両親を説得できないということは、自分の想いを伝えきれていない」ということだと答え、まずは最も身近な家族を自分の表現によって説得できないことには、役者や声優としても厳しいと伝えた。

さらに、「今、新人声優に何を求めるか」という質問には、「遠慮せず、堂々と自分の時代を作るという気持ちを持ってほしい」とエールを送った。

今の夢を聞かれた森久保さんは、「これまでやらせてもらったことを次世代に向けて繋げていくこと」だと語った。時代が変わり声優を巡る状況が大きく変化しつつあるが、森久保さんは若い人たちの新しいセンスに大きな期待を寄せ、次世代を育てていくことを目標に掲げている。向上心を持ち続けて活動する森久保さんの姿勢に、声優志望者たちも大いに触発されたようだ。

★総合学園ヒューマンアカデミー イベント情報


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