『ARIA』主題歌「エスペーロ」リリース! 声優・牧野由依インタビュー「主題歌を歌えるのは、奇跡のようなお話」 | アニメ!アニメ!

『ARIA』主題歌「エスペーロ」リリース! 声優・牧野由依インタビュー「主題歌を歌えるのは、奇跡のようなお話」

シングル「エスペーロ」をリリースする牧野由依にインタビュー。

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 アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2022年1月号には、シングル「エスペーロ」をリリースする牧野由依が登場。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

――『ARIA』シリーズの主題歌は2008年の「スピラーレ」以来ですが『BENEDIZIONE』の主題歌を担当することが決まった感想を教えてください。
「蒼のカーテンコール」シリーズは、前2作を劇場で観客として見ていたので、今回『BENEDIZIONE』で主題歌を歌えるというのは、私にとって奇跡のようなお話でした。素直にうれしかったです。お話をうかがってから見た2作目の『CREPUSCOLO』では、作品の空気感がいい意味で変わらないところもあれば、逆に変わって素敵になったところもたくさんあり、主題歌も作品にピッタリと寄り添っていたので、次は私が歌わせてもらうけれど大丈夫かなと感じました。あまりにも素敵すぎて、これは私もがんばらなきゃいけないなと……。そんな「うれしい」のひと言だけでは言い表せないような気持ちもありました。

――「エスペーロ」は数々の『ARIA』主題歌を担当してきた窪田ミナさんが作曲・編曲を担当しています。最初に曲を聞いたときの印象は?
 
すぐに「『ARIA』の曲だ~!」と思いました。「これを私が歌ってもいいんですか?」って。窪田さんと作詞の松浦有希さんが作り上げた世界観のなかに、どう飛び込むのかを具体的に考えたとき、越えなきゃいけない山がたくさんあるなと、課題も見えてきました。この作品では訴えかけるような歌い方ではなく、やさしさや空気感を大切にしながら寄り添っていくのがいいと思ったんです。そうした部分でのテクニカル的なことやアプローチの仕方は、自分のなかで細かく組み立てていきました。

――レコーディングではスタッフの方と、どんなやりとりをしましたか?
 その組み立てていったものが基本的には外れていなかったので、レコーディングで大きく修正されるということはありませんでした。ただ、歌声にもうちょっと余韻があると、曲や作品のイメージに合うかなという話になりましたね。言葉尻まで大切にして歌うのはいつものことですけど、今回は“その先の空気感”まで意識することを心がけました。

――個人的に「エスペーロ」で注目してほしいポイントは?
 
自分のなかにあるフレーズを意識して歌うなど、曲によっていろいろなアプローチがあるのですが、今回は歌詞のひと言ひと言に集中して意志を持って繊細に表現したつもりです。それが、みなさんの心のなかにスッと溶け込むように届いたらいいなと思いました。歌詞カードを読みながら聞いてもらうのもいいのですが、今回はまず何も見ない状態で、音だけに集中して聞いてもらえるとうれしいです。

――エンディングテーマは『ARIA』1stシリーズのオープニングテーマ「ウンディーネ」の16年ぶりの新バージョンです。
 自分的には「そんなに経っていたんだ!?」という驚きがありました。16年経っているからこそアプローチに深みが出せたらいいなと思いつつ、当時歌わせてもらった「ウンディーネ」の大事な雰囲気はなくさずにいたいなと、そのバランスが難しかったです。私は、その「大事な雰囲気」をいまでも持ち続けているのだろうかと思ったりもして。最終的には、ただ気持ちよく歌うことを大切にしようと思いました。オケも新たにレコーディングしました。エスペーロも同じですが、窪田さんのアレンジに加えて、演奏でChoro Clubの笹子重治さんと沢田譲治さんにも参加していただけたんです。まさに『ARIA』の集大成のような、温かみのある素敵な演奏に身を委ねて歌わせていただき、幸せでした。

――自分が年齢を重ねたからこその、新たな気づきなどはありましたか?
 当時歌っていたときは、なんとなく「こうありたい」というような自分の希望を、歌詞で描かれる景色に重ねていた部分があったかもしれません。でも今回は、自分が年齢を重ねたからなのか、包み込むような母性に近い感覚で歌っていたところもあるのかなと思いました。『BENEDIZIONE』ではテレビシリーズで主人公だった水無灯里ちゃんたちが先輩になって、後輩に対するやさしさや思いやる気持ちが描かれていて、そういう感覚と曲がリンクできているような気もしたので、自分のイメージは間違っていなかったのかなと思いました。

――YUI盤限定で収録された「きみの鳥は歌える」はどんな楽曲ですか?
「きみの鳥は歌える」では、ピアノも私自身が演奏をしました。作詞の岩里祐穂さんとは、はじめましてだったのですが、歌詞をお願いするとき「テーマとして『再会』も加えてほしい」と相談をしたんです。今回のシングルをトータルで見ると、まず私が『ARIA』と再会した「エスペーロ」という曲があり、次の「ウンディーネ」は曲自体が久しぶりに再会した曲なので、「再会」はひとつのキーワードになるなと思い、そこをエッセンスとして入れてもらえたらと思いました。

――実際に上がってきた曲を聞いてみての感想を教えてください。
 すごく異国情緒感があるというか、カラッとした爽やかな空気が漂っているところが好きです。ピアノのアレンジは川田瑠夏さんにお願いしたんですが、異国情緒のなかにジャズっぽい響きが一瞬だけ入ってくるところも好きで、その響き自体を楽しみながらピアノを弾きました。自分にとっては、新しい扉を開いた1曲といえるかな。歌詞に関しても、いままでにない新しい扉が開かれているので、どうアプローチして歌おうかと思いつつ、芯のある大人の女性を表現できたらいいなとイメージして、気持ちよく歌うことができました。

――「YUI盤」はミニアルバム的な印象もありますね。
 
せっかく「YUI盤」という名前を付けてもらったので「きみの鳥は歌える」は自分自身を体現できる1曲にできたらいいなと思いました。あと、今回は曲間にもこだわりを持っていて、「エスペーロ」から「ウンディーネ」への流れは『ARIA』の世界観に入ったまま聞いてもらいたいという希望があったので、通常よりもちょっとだけ短く詰めています。3曲目の「きみの鳥は歌える」は『ARIA』からまた別の世界に行くので、そこは浸る余韻と、ひと呼吸置く“間”があるといいかなと。そうやって1枚のなかにストーリーというか、場面の移り変わりがあるような感じにしたいなと思いました。

――ジャケット写真など、ビジュアル面でこだわったところはありますか?
 
基本的には、まず全体のプランニングを組み立ててもらい、細かいところで自分の希望もところどころ入れさせてもらった感じでした。ベースは青っぽいトーンですが、今回のお話は赤がイメージカラーの姫屋中心で、キービジュアルではバラの花も印象的だったので、赤も少し取り入れた素敵な色合いになったなと思います。写真撮影では実際に船の上に立ったんですけど、ウンディーネさんたちって本当にすごいなと初めて思いました。私は固定されたところに立っているだけですけど、波があって揺れるなかで船を漕ぐって、すごいことだなと(笑)。まさかこんなところで登場人物たちを尊敬することになるとは……という感じでしたね。

――改めて『ARIA』という作品の魅力は、どんなところにあると思われますか?
 
今回のレコーディングの前に、テレビシリーズを久しぶりに見たのですが、放映当時よりも言葉が胸に突き刺さるところが結構ありました。当たり前の日常のなかに奇跡があるとか、振り返ってみると「そうだよね」って思えることがたくさん詰まっていて、身の回りにある幸せに気づかせてくれる。しかもスッと入ってくる。そういうところがこの作品の魅力で、とってもやさしい気持ちになれますよね。

――自分のキャリアのなかで『ARIA』シリーズは、どういった存在ですか?
『ARIA』シリーズの主題歌や挿入歌は、自分自身のコンサートでも本当にたくさん歌ってきたので、曲と共に歩んできたんだなと感じています。今回、久しぶりに作品と関わる機会をもらって振り返ってみると、アーティスト・牧野由依としての活動のなかに『ARIA』はずっといてくれたんだなと改めて思いました。こんなに幸せなことはないですよね。

――完成した『BENEDIZIONE』の本編を見ての感想を教えてください。
 
試写会で拝見したんですが、私がその場で歌うわけじゃないのに、見る前はちょっとした緊張感がありました。「なんだろう、このドキドキは?」って(笑)。本編では「エスペーロ」をすごくフィーチャーして使ってもらいましたね。ネオ・ヴェネツィアの素敵な景色やなじみのあるキャラクターたちの日常風景にも「エスペーロ」を流れていたので、もうそれだけで感動しちゃって。上映後に総監督の佐藤順一さんとお会いしたのですが、「エスペーロ」はイントロから使いたかったからいろいろやりくりしたというエピソードを聞いて、すごくうれしかったです。ちょっと泣きそうになっちゃいました。

――牧野さんが思う『BENEDIZIONE』の見どころは?
 見どころは全部です。『ARIA』のテレビシリーズも「蒼のカーテンコール」シリーズの『AVVENIRE』も『CREPUSCOLO』も見て、最終章となる『BENEDIZIONE』を見るのは正直イヤでした。だって、終わっちゃうじゃないですか(笑)。そんなふうにさびしさを感じている方は、おそらく私以外にもいらっしゃると思います。今回も素敵な作品で、すごくやさしい気持ちになれたし、いい意味で本当にいつもの『ARIA』でした。自分がいつも大切にしてきた場所だと感じられること自体が、この作品の見どころだと思います。

――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
『ARIA』シリーズで久しぶりに主題歌を歌えたことは、自分にとって世界が変わったともいえるくらいうれしい出来事だったので、その気持ちも曲に込めました。自分自身を投影しつつ、改めて自分に真正面から向き合って作り上げた曲ばかりなので、たっぷり聞いてもらえたらうれしいです。

取材・文/株田馨(アイプランニング)

Profile
牧野由依
【まきの・ゆい】1月19日生まれ。アミューズ所属。2005年に声優デビュー。歌手としては、2005年8月に「アムリタ」で本格的に始動。これまでにシングル15枚、アルバム4枚などをリリースしている。

「エスペーロ」リリース情報
表題曲は、『ARIA』のテレビアニメ放映10周年記念プロジェクト「蒼のカーテンコール」シリーズ3部作の最終章で、12月3日から全国劇場にて上映中の『ARIA The BENEDIZIONE』のオープニングテーマ。同エンディングテーマの「ウンディーネ~2021 edizione~」のほか、ARIA盤には「エスペーロ~cinema ver.~」を、YUI盤には「きみの鳥は歌える」をそれぞれ収録。

発売日:発売中
レーベル:フライングドッグ
価格:ARIA盤1,320円(税込)、YUI盤1,540円(税込)

(C)2021 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー

「『ARIA』はずっといてくれたんだな」ーー「エスペーロ」をリリースする声優・アーティストの牧野由依インタビュー

《M.TOKU》

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