「なぜ編集者の道を選んだのか」、劇場版「SHIROBAKO」でその答えを確かめる【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】 | アニメ!アニメ!

「なぜ編集者の道を選んだのか」、劇場版「SHIROBAKO」でその答えを確かめる【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】

私がアニメ業界に転職するきっかけとなった作品『SHIROBAKO』。2020年はその劇場版が公開され、再び大切なことを教えてもらいました。

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『SHIROBAKO』新ビジュアル(C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
  • 『SHIROBAKO』新ビジュアル(C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
  • 劇場版『SHIROBAKO』キービジュアル (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
  • 平岡大輔 (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
2020年ももう間もなく終了。

年明けから新型コロナウイルス感染症の影響により放送延期や、イベントの中止などアニメ業界にとっても波乱が起きた年でした。そんな中でも、かつて放送された名作の再放送なども行われ、新しい作品の魅力だけでなく、過去作品の魅力も再発見できたのでは…。

そこでアニメ!アニメ!では、2020年を振り返り「2020年1番○○なアニメ」をピックアップ! 編集部が選ぶイチオシの作品を連載形式で紹介していきます。

劇場版『SHIROBAKO』


私がアニメ業界に転職するきっかけとなったTVアニメ『SHIROBAKO』。仕事で上手くいかなかったときは、今でも1話から見直して、気持ちを奮い立たせています。そんなバイブルとも呼べる作品の劇場版が、2020年2月29日に公開。私は、この劇場版でも大切なことを教えてもらいました。

劇場版『SHIROBAKO』キービジュアル (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
劇場版『SHIROBAKO』キービジュアル (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会

概要・ストーリー


シロバコとは映像業界で使われる白い箱に入ったビデオテープの事であり、ひとつの作品が完成した際に制作者が最初に手にする事ができる成果物である。

清濁あわせのむアニメーション業界の日常、実情、実態を時に柔らかく時に厳しく、赤裸々に描いたテレビアニメーション作品『SHIROBAKO』。

クリエイティブな仕事ゆえに起こる葛藤や挫折、集団で作るからこそ起こる結束や衝突。生み出す苦しみ、万策尽きたスケジュール、その先にある何ものにも代え難い解放と充足、からの突きつけられる理想と現実のギャップに傷ついたり、絶望したり……。しかし自分たちの想い描く夢を実現するため、そして昨日の自分よりも少しでも前に進むために、アニメーション制作に真正面から向き合う魅力的なキャラクターたちの姿、そしてそのキャラクターたちが織り成す群像劇は、老若男女、世代を超えて多くの人たちの共感を呼び話題となった。変な話、業界内でも。

そしてついに、続編を望む多くの声に応え舞台をスクリーンに移して、待望の新作・劇場版『SHIROBAKO』の幕があがる!

オススメポイント


どれだけ情熱を持っていようとも、一度心が折れてしまうと、再び立ち直るのは容易なことではないと思います。実際、私も一度……ならず何度か、毎日のように何かが起きる「編集」という仕事に絶望し、日々を「こなす」だけになっていた時期がありました。そんな中で出会ったのが『SHIROBAKO』。日々起きる困難に翻弄されながらも、「アニメーションが好きだから」という気持ちを根底に持つ主人公の宮森あおいの姿と言葉に胸打たれ、再び心に火を灯すことができました。
(詳しくは、超!アニメディア掲載「宮森あおいの言葉でアニメ関連媒体の編集者になった人間が『SHIROBAKO』の魅力を自身の経験と併せて語る」に書いております。)
劇場版『SHIROBAKO』でも、アニメ制作へ情熱を注いでいたものの、とあることがきっかけで、心が折れてしまったキャラクターがいます。人間関係や仕事内容、将来について悩み、葛藤し、立ち向かっている人物も多数登場します。

そんな彼ら、彼女たちの悩みは、アニメ業界に関わる人たちだけが共感できる特別なものではありません。むしろ、誰でも抱えうる悩みであると思います。

だからこそ、彼ら、彼女たちの言葉や、状況を打破しようとする行動が救いになる。TVシリーズでも、様々な金言が残されてきましたが、劇場版にも誰かを後押ししてくれるであろう言葉・行動がいくつも存在します。

印象的だった言葉や行動を挙げていくとキリがないのですが、中でも胸打たれたのは、平岡大輔の言葉ひとつひとつと、変化そのもの。一度はアニメ業界に絶望しかけた彼が、元同僚の宮森にかける言葉や、夢に向かって進んでいる姿は、希望とも言えます。TVシリーズから気になる存在でしたが、より彼の未来がみたいと思えるようになりました。

平岡大輔 (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
平岡大輔 (C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
2020年は、誰もが予想していなかった一年になったと思います。エンタメ業界も大きく影響され、打撃を受けたコンテンツも少なくありません。それでも、前を向いて今できることをやっている人が大勢いることを、取材などを通じて知りました。

私たちの仕事は、そんな方々の想いを伝えること。それが、私のやりたかった「編集」という仕事でもあります。仕事で上手くいかないことなんて、たくさんあります。思い描いていた通りにいかなかったことも、少なくありません。それでも、一度は絶望した平岡が夢に向かって頑張っていると思うと、私だって再び折れるわけにはいかない。エンタメには、誰かの歩みを後押しする、支える力がある。エンタメに関わる者として、エンタメによって人生が変わった一人の人間として、そう信じています。

「2020年1番エンタメへの情熱を加速させてくれたアニメ」。それが、劇場版『SHIROBAKO』です。

(C)2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会
《超!アニメディア編集長》
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