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バンダイナムコエンターテインメントより好評配信中のiOS/Androidスマートフォンアプリ『スーパーロボット大戦DD』。
本作は、様々なアニメーションやゲームソフトに登場したロボット達が作品の垣根を越えて集まるシミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズのスマートフォン向け最新作です。配信開始当初から話題沸騰中の本アプリですが、皆さんはいかがプレイされていますでしょうか?
スマホ向けとしては、『X-Ω』に続く作品ですが、今作ではよりコンシューマー版の『スパロボ』に近い戦闘システムが採用。従来のスパロボファンにも馴染みやすい作りでありながら、ワールドの選択制など新規要素も取り入れられた意欲作となっています。
また今作では、「デビルマン」や「革命機ヴァルヴレイヴ」、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」といった作品がシリーズ初登場。近年の『スパロボ』らしいラインナップで参戦作品を盛り上げてくれています。
そんな今作ですが、さらなるゲストロボットが参戦することがアプリ配信前より告知されていました。そう、皆さんご存知の「アルトアイゼン」です。
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アルトアイゼンは、新コンテンツ「制圧戦」の報酬としてパイロットの「キョウスケ・ナンブ」とともに配布されたユニットで、戦闘アニメも完全新規描き下ろし。TVアニメ「スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター」登場時のバトルシーンを思わせる演出で、「OG」ファンの心を鷲掴みにしました。
というわけで、本稿ではスパロボオリジナルのメカに迫る特集企画、その第4弾としてアルトアイゼンをピックアップ。その歴史を振り返ってみたいと思います。
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初登場は『COMPACT2』
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『スパロボDD』から遡ること約20年前……アルトアイゼンは、ワンダースワンソフトとして発売された『スーパーロボット大戦COMPACT2』にてシリーズ初登場を果たしました。本作は3部作で構成された長編スパロボであり、後にPS2ソフト『スーパーロボット大戦IMPACT』としてリメイク。そちらでの姿が印象深いという方も多いかもしれません。
当初、アルトアイゼンはゲシュペンストMk-IIIの試作1号機(PTX-003-001)である、という設定が与えられた程度で、あまりその存在を深堀りされてはいませんでした。しかし、マッシブな下半身や後ろに張り出した両耳、腕の3連マシンキャノンなどゲシュペンストのイメージを色濃く残すデザインは、その背景を想像させるに十分足りえるものでした。
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その後、『スーパーロボット大戦α』にてパーソナルトルーパー関連の設定に肉付けがされていくと同時にアルトアイゼンもその流れに組み込まれ「ATX計画で開発されたゲシュペンスト3号機の改造機(PTX-003C)である」という設定に改められました。また、ドラマCD「スーパーロボット大戦α ORIGINAL STORY」へ登場する際にパイロットであるキョウスケにも声優が設定。『IMPACT』での細部の描写やその他ディテールを含む現在のキャラクター像は、このときに固まったものと言えるかもしれません。
現在の人気の礎を築いた『ORIGINAL GENERATION』
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「α ORIGINAL STORY」を元としてゲーム化されたゲームボーイアドバンスソフト『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』でも、もちろんアルトアイゼンは登場。そればかりか、選択制主人公の搭乗する主役機の座まで射止め、名実ともに「スパロボオリジナルの顔」にまで一気に上り詰めます。
『OG』における、いわゆるキョウスケルートでは「α ORIGINAL STORY」では語られなかったシーンも含め、アルトアイゼン及び僚機「ヴァイスリッター」の開発に携わったスタッフや、そのバックボーンなどが事細かに描かれました。
続編であるゲームボーイアドバンスソフト『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2』では、ついにシングルで主役に抜擢。後継主人公機「アルトアイゼン・リーゼ」も相まって、その人気は不動の地位を築いていきました。
絶対的な火力で正面突破する機体
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ヒートホーン、パイルバンカー、散弾地雷にマシンキャノンと、アルトアイゼンは見た目通りの近接格闘戦に全振りの超攻勢パーソナルトルーパーです。絶対的な火力をもって正面突破を可能とする機体を目指して開発されており、敵の射程外から一気に加速して距離を詰め懐に飛び込み必殺の一撃を与え離脱する、というエゲツない攻撃方法を基本戦術としていました。言ってしまえば有人式の鉄砲玉PT。
このかなり前時代的なコンセプトは技術的にも垣間見ることが出来、その採用テクノロジーの全てが信頼性を重視した旧来のモノという徹底ぶり。しかしこれでも開発主任曰く、「アルトアイゼンは次期主力量産機を念頭に試作された試作機」とされていたのだから、なかなかの酔狂っぷりが窺えます。頭おかしい。
そんな偏りに偏ったロマン機体。通常ならば一生涯日の目を見ることはなさそうですが、これまたロマン溢れる伊達や酔狂みたいなパイロット、キョウスケ・ナンブとの出会いによりその運命は動き出します。単なる鉄砲玉は、ISA戦術の機動部隊における隊長機として、その役目を「一点突破」に置き換えて、地球圏の幾多の戦乱を勝利に導くのでした。
ゲーム外の商品展開
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その後もアルトアイゼンの人気はとどまることを知りませんでした。度重なるプラモデル化、フィギュア化、超合金化など、その立体化は枚挙に暇がないほど。カラバリ「アルトアイゼン・ナハト」や、改造機「アルトアイゼン・リーゼ」を含め、現在展開中のOGメカの中で最も商品化の機会に恵まれたロボットであると言えるでしょう。
とは言え、実は当初から立体化など全く想定されていなかったというアルトアイゼン。実際、肩周りなどどう考えてもアクションに適さないデザインをしており、立体アイテムの設計者にとっては実に挑戦しがいのある機体の一つとなっているのだとか。関節構造やプラモデル/アクションフィギュアでの解釈の違いなど、細かに観察してみるのも面白いですよ。
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アルトアイゼンが、これほどまでにいまだ多くのファンから愛される理由は、なんといってもそこに込められた「ワンダーとロマン」に他なりません。
軍用機に無茶苦茶な開発コンセプトをねじ込んだマリオン博士と、それを実現せしめたキョウスケ中尉。「絶対的火力」、「試作機」」、「一点突破」、「一撃必殺」、「赤い」、「角つき」、「パイルバンカー」……などなど、男の子心をくすぐるロボット物のお約束に溢れたこのロマン。そして、それを輝かせる物語のワンダーこそ、その人気の秘訣と言えるのではないでしょうか。
アルトとキョウスケの次なる戦いの幕が上がるのは、果たして。
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