とある事件をきっかけに現実の世界「一ノ国」と命のつながりを持つ魔法の世界「二ノ国」に迷い込んだ高校生のユウとハルは、幼馴染のコトナを助けるため、命を選ぶ究極の選択を迫られる――。
本作で声優を務めた宮野真守さん(エスタバニア王国の魔法宰相ヨキ役)、梶裕貴さん(妖精のダンパ役)、津田健次郎さん(エスタバニア王国を襲う黒旗軍の最高指導者ガバラス役)に映画の魅力をインタビュー。見どころや注目ポイントを語っていただいた。
3人の『二ノ国』トークは、なぜか自己分析に発展して……? キャラクターから浮き彫りになる3人の願望とは?
[取材・構成=奥村ひとみ、撮影:小原聡太]
■ユウとハル、どっちの気持ちも分かるから愛おしい
――『二ノ国』の脚本や設定をご覧になったとき、どんなところに心を惹かれましたか?
津田:現実の世界からポーンと別の世界へ跳んでいくのは、ファンタジーの王道でやっぱりワクワクしましたね。
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宮野:そうですね! そんな王道でありつつも、シリアスな側面が強く入っているのも僕は気になりました。
キャッチコピーの「命を選べ」も、けっこうショッキングなフレーズ。でもだからこそ、綺麗ごとではない命の重みが伝わってきます。
――梶さんはゲームの『二ノ国』シリーズもお好きでプレイされているんですよね。
梶:はい。なので、現実である「一ノ国」と別世界の「二ノ国」を行き来するイメージは、すでに出来上がっていたんです。
あの世界観を劇場アニメで表現するのは難しそうだな、と思いつつ、どうなるんだろうととても期待感がありました。
ユウ役の山崎賢人くんが、脚本を読んで「すごく面白かった」と僕に話してくれて。座長がそういう思いを持ってくれていると知って、とても心強かったですね。
賢人とは以前から交流があり、今回はじめて共演が叶ったのも嬉しかったです。
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――作中で主人公のユウとハルは、命を選ぶ選択を迫られます。皆さんはどちらのキャラクターに、より感情移入されたのか教えてください。
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梶:どっちの気持ちも分かるからなぁ~……!
津田:本当に、どっちもだよね。そこがこの作品のよくできているポイントだとも思います。
高校生でまだまだ幼い二人の選択は、どっちも間違っていないし、どっちも何か足りない。
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宮野:きっかけが違っただけだからね。
梶:そう! 思いは同じなはずなんですよ。
親友同士でのぶつかり合いや自分の中での葛藤を経て、本当に最初と最後でまったく違う、成長が感じられる物語だなと感じました。
――皆さんは、本作の製作総指揮で原案・脚本も務める日野晃博さんの作品に過去何度もご出演されていますね。皆さんから見た日野さんの印象を教えてもらえますか?
宮野:いつも思い描くビジョンが明確に見えている方なので、役を作り上げるうえでたくさんの材料をくれます。今回のディレクションでもそうでしたが、最初にキャラクターの目的や願望を提示してくださり、日野さんの描きたい像に合致するまで説明してくれるんです。
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梶:どの世界でも、第一線で活躍されている方は自分のビジョンを明確にお持ちで、日野さんもまさにそういう人物だなと感じています。そして、常に新しいことに挑戦し続けている印象もありますね。
今までになかったものを生み出したり、世代によっては懐かしいテイストを用いたり。ご本人も楽しみながら作られる“プロフェッショナル”だと思いますね。
津田:日野さんは、『二ノ国』みたいな人というか(笑)。
――『ニノ国』みたいな人?
津田:リアルとファンタジーが同居している方だなぁと感じるんですよ。子どものような遊び心にあふれている反面、すごくシビアな考え方も持っていらっしゃる。
どうしたらみんながビックリしてくれるかを常に考えているので、一緒にいると楽しいですね。
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