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2004年から毎年春に開催されている同イベントは、日本各地で開催される『東方』同人誌即売会の中でも最大級。同日は様々な二次創作作品を頒布する各サークル、コスプレ参加者、痛車展示など、日本中から集まった同作品のファンで大きな盛り上がりを見せました。
2018年の例大祭では参加者は延べ5万2千人にも上り、年々規模を拡大しています。これだけの人気を集める同イベントの魅力は何なのか、サークル参加したカメラマンのうひ丸さんとコスプレイヤーの翠葉木さんに訊きました。
■カメラマン・うひ丸さんにとっての例大祭
――今回の例大祭はいかがでしたか?
うひ丸
『東方』は海外にもファンが多く、近年は海外から例大祭に参加する人も増えていています。今回の例大祭のブースを回る人、戦利品(購入した同人誌やグッズなどを指す)をその場で楽しむ人を見て、「国際的なイベントになっているな」と感じました。
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――参加したい理由と魅力は何でしょうか?
うひ丸
恐らく、多くの『東方』同人作家にとって一番の大舞台が例大祭です。音楽、イラスト、写真、グッズなどの製作物が全て同じ『東方』ジャンルで製作されているわけです。出展サークルは、各々の好きという気持ちと、『東方』の世界に対する解釈を、頒布物としてぶつけています。
原作の長い歴史で培われた世界観と想いは、東方のサークルにも反映されており、独特の熱気があります。また、親子で参加されるケースも増え、古参の参加者が親世代になり、親から子へ作品を伝えられる、という事も魅力では無いでしょうか。
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――いわゆる“東方レイヤー”は、コスプレにおいて何か特徴があるのでしょうか?
うひ丸
“東方レイヤー”の大きな特徴としては、2次創作に寛容な文化があるため、原作衣装がアレンジされている事が多いです。衣装に個性や多様性があるので、見る人や撮る人も楽しめるのでは無いでしょうか。
コスプレイヤーさんや衣装師さんの思想と技術で、同じキャラでも同一のデザインというものが余りありません。
――ご自身も“東方レイヤー”を撮影されていますが、どこを魅力的に感じていますか?
うひ丸
例大祭に参加されるコスプレイヤーさんに感じる事は、『東方』を好きである事を自分なりの形にしていることです。自身の『東方』キャラに対する解釈が、メイクや衣装、ポージングに反映されていると考えています。撮る側としては見ているだけで楽しいですね。
また、仮にこれが例大祭の外の作品作りになると、撮影場所の文化、季節、地形やカメラマンの撮り方でメイク、衣装の素材やデザイン、ポージングまで変えてくるコスプレイヤーさんが一定数います。これは撮る側にとって一番衝撃を受けるところだと考えています。
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コスプレイヤーの本質的な部分が問われるところが、例大祭、『東方』というジャンルの良さではないでしょうか。
■コスプレイヤー・翠葉木さんにとっての例大祭
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――例大祭に参加した理由と感じている魅力を教えてください。
翠葉木
私はサークル参加をしていますが、「もっと面白い事」を求めて毎回参加しています。非常に貪欲です。
日本における『東方』の同人は、音楽やゲーム、グッズ、コスプレなど裾野が広く、表現の可能性が幅広いです。原作ありきの二次創作の世界ですが、例大祭は、「好き」を共有できる場である以上に、頒布物を作ったり、コスプレをしたりして参加する事で、新しい価値を様々な人に向けて投げ込める機会だと思っています。
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――“東方レイヤー”はどのような考えでコスプレをしているのでしょうか?
翠葉木
今回、久々にコスプレ撮影エリアに行きましたが、「皆さん、思い思いだなぁ」と感じました。『東方』のコスプレは衣装をアレンジする文化が浸透しています。しかし、その思想は実に様々です。私自身の場合は、原作のキャラを表現するにあたって、自分の感覚にしっくりさせるためにアレンジを必要とします。
その一方で、「私はこういうのが可愛いと思うの!」と言う「エモさ」を推したやり方が最近は流行っているようにも思います。どれが正しいといったことではなく、せっかくの面白いジャンルなので、各々の手法を極めていけたら楽しいのではないでしょうか。
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うひ丸さんが翠葉木さんを撮影した写真は、どれも『東方』の世界観を感じさせる幻想的なものばかり。こちらもぜひご覧ください。
提供画像:うひ丸、翠葉木
例大祭撮影:追风少年淡