■重要トピックは「年の差百合」
2018年のアニメ百合を語るうえで最も重要なトピックは、「年の差百合」なのだ。
7月クールに放映された『ハッピーシュガーライフ』(高校1年生と8歳児のエクストリームにヤバいサスペンス百合)、10月クールに放映された『うちのメイドがウザすぎる!』(小学2年生に28歳が惜しみなく愛を注いでウザがられるデンジャラスな百合。最後は泣けた)という快作(怪作?)が2本も下半期のTVアニメから飛び出し、映画では『若おかみは小学生!』でグローリー・水領さまとおっこちゃんの心洗われるような関係性が描かれたわけである。
『ハッピーシュガーライフ』キービジュアル(C)鍵空とみやき/SQUARE ENIX・ハッピーシュガーライフ製作委員会
「年の差百合」の何がそんなにいいのだろう?
ちょっと考えてみるが、これまた、冒頭の問いと同じく、明確な答えは出ない。そもそも「なぜ私たちは百合に心奪われるのか」という問いかけすら、難題なのである。
いわんや「年の差百合」をや。年上キャラの庇護欲に対して視聴者の中にシンクロするものがあるのかもしれないし、はたまた、ダメな自分を年下の少女になんらかの形で肯定してもらいたいのかもしれない。
昨今、コミック方面でブームだという「社会人百合」の、あくまで対等な中で描かれる関係性とは正反対のところにある、ある種の非対称的な関係性に、何かグッとくるものがあるのかもしれない。
ともあれ、このブームは現在進行形。2019年1月クールにも『私に天使が舞い降りた!』が放映中である。
これはダメな年上キャラひとりにマルチ幼女ヒロイン体制という、さらなる「年の差百合」の盛り上がりを感じさせる作品(実妹ヒロインのひなたちゃんが好きです)。
『私に天使が舞い降りた!』(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会
そんなブームの熱気に翻弄されながら、今後も「年の差百合」概念の探求を続けることとしたい。その中間報告として、今回は執筆させていただいた次第でございます。もっと見よう、語ろう、百合!!
[前田 久(まえだ・ひさし]
1982年生。ライター。通称「前Q」。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。
1982年生。ライター。通称「前Q」。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。