4. 自分を呂布だと思い込んでいる赤兎馬
汎人類史側のサーヴァントとして途中で召喚された赤兎馬は衝撃的でした。赤兎馬は『三国志演義』において一日千里を駆けると言われた名馬。この時代、最強の武人と呼ばれる呂布の愛馬でした。

伝説的な名馬なので英霊として召喚されることには驚きませんが、『FGO』劇中では、まさかの人語をしゃべれる二足歩行の武人の出で立ちでした。しかも、自分のことを呂布だと言い張ります。どう見ても馬だと呂布に仕えた軍師・陳宮がツッコむやりとりはユーモアたっぷりでした。中国歴史上、一、二を争う武勇の持ち主である項羽に対抗するために呂布が召喚されるはずだったのが何かの間違いで…?
ちなみに『三国志演義』では呂布の死後、曹操によって同じく最強候補に名を連ねる関羽に引き渡されました。
5.韓信が軍略マニアに!?


「国士無双」と謳われた韓信は、劉邦に仕えた武将でした。彼が居たからこそ劉邦は皇帝になれたとも言われています。始皇帝が存命で戦乱が起きる前は、軍略家としての才能を持ちながらも家が貧乏で本人も品行が良くないので要職に就くことができず、つまらない仕事は嫌だと働かないので怠け者だと見られていました。しかし、始皇帝の死後に戦乱の世になったことでようやく才能を発揮します。
最初は打倒・秦のために兵を挙げた項羽に仕えますが重用されなかったので、劉邦に仕えました。そこで劉邦が絶大の信頼を寄せる政治家の蕭何に才能を見出され、蕭何の強い推薦があって全軍を指揮する大将軍に抜擢されます。韓信はここから遺憾なく才能を発揮し、劉邦の天下取りを助けます。
「国士無双」のイメージが強い韓信ですが、『FGO』劇中では一見するとオタクのような出で立ちで登場します。しかし、平和の時代であったなら歴史の表舞台に出ることが無かったのでしょうから、ここはアレンジと言うよりも、美化された韓信像ではなく本来の素顔に忠実に再現したのだと思います。

韓信も「ああ、本当にいい帝だった。こんなクズのことを最後まできにかけてくださるなんて」と言っていましたし。
6.イケメンの蘭陵王

『FGO』劇中でも一、二を争うのではないかというキラキラ美少年・蘭陵王。クリプターである芥ヒナコのサーヴァントとして最後まで忠誠を尽くしました。本名は高長恭で、中国の『三国志』時代後である南北朝時代の北斉の皇族であり、名将でした。北周との戦いで数々の武功を挙げたといいます。

『北斉書』や『北史』には、容姿端麗で美声だったと書かれており、品行方正で欲がなく、部下思いだったというエピソードが伝わっています。『FGO』劇中の宝具「蘭陵王入陣曲」は、北斉の城が北周軍に包囲された際に厳しい包囲網を突破して救援に駆け付けた蘭陵王に由来しています。最初、籠城する者たちは救援だと思わず城門を開けなかったため、蘭陵王は兜を脱いで素顔を見せたことで味方だと知って開門しました。

しかし、あまりにも武勇が優れたたために、猜疑心の塊である北斉の皇帝に妬まれてしまい、何とか疑いを晴らそうと努めるのですが、最後には毒を飲んで死ぬように命じられて従うのでした。

第2部第3章は、TYPE-MOONとの共同プロジェクト『Fate/Zero』を執筆した虚淵玄氏が脚本を担当しました。これまでの異聞帯とは打って変わり、敵側のノリの良さ、どんなに追い詰められても余裕を感じさせる空気が漂いました。

それもこれも、始皇帝を本当に魅力的なキャラクターとして描いたこそでしょう。キャラクターに興味を持つことで、史実を調べたり、理解しやすくなったりするのも『FGO』の魅力だと思います。
『Fate/Grand Order』は好評配信中。基本プレイ無料のアイテム課金制です。
(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT