原作者&監督が語る「ガイコツ書店員 本田さん」誕生秘話とアニメ版の見どころ【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

原作者&監督が語る「ガイコツ書店員 本田さん」誕生秘話とアニメ版の見どころ【インタビュー】

2018年10月7日に放送スタートするTVアニメ『ガイコツ書店員 本田さん』より、原作者・本田先生と轟おうる監督にインタビュー。原作マンガの創作秘話やアニメならではの見どころを訊いた。

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■「反撃できなかったからパンチを食らい続けるしかなかった」書店員時代



――劇中では「砂漠みたいな心で接客をしている」という発言もありましたが、実際にそこまで疲弊していたのですか?

本田
原作に登場したようなパンチが効きすぎているお客さんが来ると、対応に疲れ果ててしまうこともありました。私の場合はそういったことを積み重ねていたので、「たとえパンチを食らっても、こちらの心が砂漠であれば、向こうが拳を埋めただけに過ぎないので、何も感じなくて済む」と思って働いていたのは確かです。

――そこまでパンチのあるお客さんが来るものなんですか?

本田
もちろん、お客さんの8割は目的の本を買ってサーッと帰って行くような穏やかな方だと思うんです。
ただ、ごく稀に“スーパー無頼者”みたいなお客さんが来ることがあるんです。私の中では「来ちゃったら仕方がない」天災のようなものでした。

本当は「書店員だからと言って、そんな扱いをされるのは嫌だ!」と表明できたら良かったんですけど、私は反撃できなかったのでパンチを食らい続けるしかなかった。
そういうお客さんは、さっきまで普通に喋っていたのに、突然豹変するので接客は最後まで気を抜けないんです。
全てのお客さんを疑っていたわけではなく、いつ豹変されても傷跡が最小限ですむようにカラカラの心でいようと。

こういうの本当にあったんだよ~と“あるある語り”をする本田先生

――監督はそういったパンチ力のあるお客さんをアニメではどう描こうと?


シナリオの打ち合わせ段階から先生にはご参加頂いていたんですけど、ネガティブなエピソードに対してすごく気を使っていらっしゃるなと感じました。なので、アニメを観た方が「こんなお客さん来たら嫌だなぁ…」と生々しく感じすぎてしまわないように、コミカルな演出を意識しました。

――そのほか演出面で工夫されたことは?


ギャグ要素に主軸が置かれている作品なので、まずは原作のテンションやテンポ感を損ねないように意識しました。
それと、マンガ独自の表現手法をアニメ向けに変換する必要がありました。本屋さんのお仕事事情解説も面白さの一つでしたから情報量が多いんです。キャラクターのセリフとモノローグ、テロップなどが同時に一つのコマにあるとか。

そのまま忠実に映像化しても、ギャグアニメとしてはテンポが悪くなったり、情報を詰め込むことですごく駆け足になったりすることが危惧されたので、ギャグアニメとして収まりが良くなるように言葉選びや表現を変えました。「すみません、ここは間引いて時系列を整理します!」といった再構成もしています。

本田先生「自分はアニメ制作の素人なので、監督を信頼していた」


私は先生の味のある言葉選びが好きですが、耳で聞くとわかりづらい単語がけっこう出てくるんですよ。その辺りはシナリオ会議の段階で、脚本の岡嶋心さんやプロデューサーから意見をもらった上で、私が実際に絵コンテを切ってみて、「やっぱりここ分かりにくいな」という箇所があったら、同じ意味で分かりやすい言葉に置き換えたりしていました。

■即興でミュージカルが始まるような楽しい職場だった。それが作品を描く原動力になっている



――ここまで書店員時代の大変なエピソードを聞いて来ましたが、楽しかったエピソードはありますか?

本田
楽しかったエピソード?う~ん……(深く考え込む)。基本的に愉快な同僚たちに囲まれていたので、日常は楽しかったです。
あんまりマンガで描けていないんですけど、朝出勤すると、出版社に頼んだ本や新刊が日によってはバックヤードを埋め尽くしていることがあるんです。
レジに立つ人以外は上司・部下関係なく総出で、届いた本を各出版棚担当のスチール棚に振り分けていく作業があるんです。

そこで、あまりに量が多い時には即興ミュージカルが始まります。
「終わらない、ドコまでやっても~♪」というのが聞こえてきて、「いや!手を動かせば大丈夫!」と見えない所から掛け合いが起こる。忙しさが振り切ると、皆の笑いの感度がどんどん上がっていくみたいな現象がありました。

とにかく面白い同僚がいたことが、大いに心を助けられた部分ですね。
マンガを読んだ方に「そんなに笑いながら仕事していたの?」とよく言われますけど、「楽しくやらないとこの地獄は乗り切れなくない?」といったノリだったんです。「行くぞー!」みたいな無茶苦茶なテンションはありました。

制作現場を案内してくれた轟先生。ここで動画コンテ用の音を入れるらしく、映像は見ないでシナリオに忠実に仮で入れるとのこと

声優さんが演じる前に、監督が仮声を吹き込んだ動画資料を渡すらしく、声優陣はその演技力に「面白い!プロとして越えて行かないと!」と燃えたらしい
《乃木章》
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