「おっさんずラブ」胸キュン必至な物語はどうつくられたのか? 脚本・徳尾浩司インタビュー | アニメ!アニメ!

「おっさんずラブ」胸キュン必至な物語はどうつくられたのか? 脚本・徳尾浩司インタビュー

インタビュー

C)テレビ朝日 土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」
  • C)テレビ朝日 土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」
  • C)テレビ朝日 土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」
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おっさん同士の純愛を描いたドラマ『おっさんずラブ』が6月2日、最終第7話の放送を迎える。
モテない独身男・“はるたん”こと春田創一(田中圭)を、ピュアな乙女心を持つ上司・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と、仕事だけでなく家事・料理も万能なイケメン後輩・牧凌太(林遣都)が奪い合うという“全員男”の大胆なストーリーと、各役者陣の熱演で話題を集めている。

おっさん同士の三角関係など、ストーリーや設定だけ聞くとイロモノやコントのように捉えられかねない本作。だが、王道恋愛ドラマを彷彿とさせる単純明快なストーリーや、少女マンガのように毎話繰り出される“胸キュン”シーンなどから幅広い視聴者のハートを掴んでいる。

今回、脚本を手がける徳尾浩司氏にインタビューを敢行。視聴者をキュンキュンとさせる物語やシチュエーション、セリフはどのように生まれたのか? 創作の裏をうかがった。
【取材・構成=沖本茂義】

おっさんずラブ



最終第7話、6月7日(土)23時15分~にて放送
www.tv-asahi.co.jp/ossanslove/

■少女マンガ的な表現を“おっさん”が全力でやる面白さ



――最終回を目前に『おっさんずラブ』の盛り上がりは最高潮を迎えつつあります。SNSなどでファンの反応はご覧になりますか?

徳尾 
ええ。僕も好きなドラマをTwitterを眺めながら見たりしますが、この作品はとくに流れが早いので、毎度びっくりしています。

――とくにファンからは「キュンキュンする」といった声が多く見られます。

徳尾
なんででしょう……つくっているのも、撮っているのも、おっさんですからね(笑)。僕と監督が同じアラフォーおっさん世代で、逆にプロデューサー陣が女性なので、そのバランスがいいのかもしれません。

――男性陣や女性陣で恋愛観の違いはありますか?

徳尾
打ち合わせをしているとその違いがよくわかります。男性陣は直接的で、好きだったら好きとストレートに言うし、付き合うまでのドキドキ感やキュンキュンする感情というよりは、付き合った瞬間のほうが楽しかったり、達成感がある。
逆に女性は、「過程」を重視して、付き合うまでのドキドキ感を大切にしている印象ですね。その恋愛観が混ざった形が、映し出されていると思います。

――おっさん同士の恋愛を描くうえで意識していることは何ですか?

徳尾
「男性同士で恋愛するときにこういうシチュエーションが萌えるんじゃないか?」というよりは、男女の恋愛と同じく“恋愛ドラマを真っ直ぐに描く”ということが出発点でした。少女マンガ的な表現を“おっさん”が全力でやっているというところに、面白さを感じてもらえているのかなと。

――少女マンガやボーイズラブ作品など、何か参考にされているものがあったりするのでしょうか?

徳尾
僕や監督、プロデューサー陣も、BL(ボーイズラブ)に詳しいわけではないんです。自分たちの恋愛だったらどうするか? と突き詰めていて考えています。
逆に僕らがBLに詳しくて「こういうのが好きなんでしょ?」と狙ってつくっていたら、あざとくなって嫌われていたかもしれません。知らないがゆえに「よしよし、許してやろう」とファンの皆さんが温かく受け止めてくれているのかなと(笑)。

『おっさんずラブ』は夢やファンタジーが過剰に詰まっていないし、どちらかというとリアル寄りなので、BLというジャンルのなかでは、黎明期のクラシックな作品に近いのかなと想像しています。

――キュンとさせるようなシチュエーションやセリフは、どのように考えていますか?

徳尾
6話でいきなり牧が春田にキスするシーンがありますが、その後のセリフも「こういうことを言ったほうがいいんじゃないか」と、シーンによって都度考えています。
もともと僕のルーツは少女マンガなんです。もちろん「週刊少年ジャンプ」もありますが、「りぼん」も読んでいたし、『ママレード・ボーイ』のアニメも見ていたぐらいで(笑)。
4話の春田がちずに言う「今出なくてもよくね?」というセリフが典型的ですけれど、「少女マンガだったら、ここでこういうセリフが入るな」と、いろいろと少女マンガ体験を掘り起こしながら書いていきました。

■脚本以上に膨らませてくれる、役者陣の熱演



――吉田鋼太郎さんや田中圭さんをはじめ、役者陣の熱演も大きな魅力のひとつです。脚本の段階ではどの程度意識して書いていますか?

徳尾
僕もメインの役者陣も、単発版(2016年12月30日放送『年の瀬 変愛ドラマ第3夜』)からの引き続きなので、お互いやりやすかったですね。とくに田中圭さんは、僕が書いたものに対して、それ以上に役を膨らませてくれるので。

今回、春田は“ダメダメな男”として描かれていますけど、単発版では今思い返せば、そこまでダメダメじゃなかったなと。

――連続ドラマとしてシリーズ化するときにそちらのほうが向いていると?

徳尾
これは田中圭さんの嗅覚だと思います。ご本人もおっしゃってますけど、黒澤部長と牧というまったくタイプの異なる男性ふたりから本気で惚れられないといけない。「どうしたら好きになってもらえるんだろう?」と熟考して、台本に書いてないことをチャレンジしていくなかで、あの絶妙に母性本能をくすぐる春田ができあがったんだと思います。
春田はソファに横たわって、体を捻りながら悶える姿が可愛らしいですが、あれも台本に支持しているわけではなく、田中さんが膨らませてくれているんです。

――それに加えて、田中さん、吉田さん、林さんの掛け合いも絶妙で、相乗効果を生み出しています。

徳尾
本当にそうですよね。今回、役者さんの力がとても大きいと感じています。
第1話を見て「何で面白いんだろう?」と考えたんですけれど、「演技がうまいからなんだ!」と気づきました。
吉田さんもこちらの意図をしっかりと受け止めて演じてくださっていて。シェイクスピア劇を演じている人が全身全霊で「好きでえぇぇすっ!!」と言うから真剣さが画面から伝わってきて本当に面白い(笑)。

■最終回はとあるセリフに注目



――男性同士の恋愛を描いた本作ということで、昨今のLGBT問題などデリケートな面もあったかと思います。そのあたり配慮などありましたか?

徳尾
あくまで純粋に“恋愛”を描きたかったというのがスタート。でも、同性同士の恋愛を描く際に、LGBTの悩みや葛藤の中にコメディを入れることで、意図せず見ている方を傷つけてしまう可能性があるので、それはしたくないと。
なので、人と人が真っ直ぐ恋愛に向き合うことを主眼に置きました。そういう意味では逆に、たとえおっさん同士であっても、“恋に一生懸命”すぎて笑えるものがあってもいいのかなと。

最初のほうは「これをやったらマズイかな?」と悩んだこともありましたが、あるときから「同性同士だから面白い…とかでは全くなく、少女漫画的な表現に“おっさん”が真摯に取り組んでいるところが面白いんだ!」と気づきました。
3話の黒澤の「会いたくて会いたくて…震えちゃった♪」と言うセリフも、あのセリフを吉田鋼太郎さんが言っているから面白いんですよね。

――いよいよ6月2日に最終回を迎えます。春田や牧、黒澤ら恋模様の行く末に熱視線が注がれていますが、そんなファンの皆さんにメッセージをお願いします

徳尾
最終回では、実は1カ所だけすごく悩んだセリフがあります。
もともと全7話構成と決まっていたし、僕も今回で物語を完結させるつもりでしたが、もし今後続編があった場合に、「このセリフを入れてしまうと本当に終わってしまうから、『続きがあるかも…』と含みを持たせたほうがいいんじゃないかと。そこで貴島プロデューサーに相談したら、「続きなんてつくろうと思えばいくらでもつくれるんだから、物語としてきちんと完結させましょう!」って。すごくカッコいいですよね(笑)。
それで僕は安心してそのセリフを書きました。最終話をご覧になられたら「あ、このセリフだな」とわかると思います。ぜひ楽しみにご覧ください
《沖本茂義》
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