木村 たとえば人に「好きだ」と伝える場合、英語だったら「I like you」か「I love you」くらいですが、日本語にはものすごいパターンがありますよね。平安時代の和歌や恋文の頃からあるような、どれだけ遠まわしに伝えられるかの美学が、日本語にはあると思うんです。それはラップにも通じるところがあって、表に出たワードと根っこにある本当の意味の違いにカッコ良さ、おしゃれさがあります。名前を出すと、チプルソという日本人ラッパーのリリックはまるで詩人のような言い回しで、ああいうのは日本語ラップならではなのかなと思います。 ――特に影響を受けた日本人ラッパーはいますか?
木村 影響を受けたというより単純に好きなグループという答えになりますが、学生の頃によく聴いていたのはKICK THE CAN CREWやケツメイシ、RIP SLYME、SOUL'd OUT。そこから探究心のままに応用編に入ると、キングギドラ(現在はKGDR)のような、いわゆる親とは一緒に聞けない系ラップにハマっていきました(笑)。あとは、ベタですけどKREVAさんはシンプルに「超カッケー!」です! 最近、KICK THE CAN CREWがグループ活動を再始動してアルバムを発売したんですけど、このムーブメントには周りのラッパーに対するいろんなメッセージも感じ取れて、かなりシビれました!