アニメビジネス初心者も大歓迎 AnimeJapan 2017のビジネス施策を総合プロデューサー・手塚健一に訊く | アニメ!アニメ!

アニメビジネス初心者も大歓迎 AnimeJapan 2017のビジネス施策を総合プロデューサー・手塚健一に訊く

AnimeJapan 2017のビジネスエリアがますます拡充する。今回のテーマや取り組みについて、AnimeJapan 2017総合プロデューサーの手塚健一氏に話をうかがった。

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■AnimeJapan 2017 ビジネスエリアは国内へ向けてさらなる拡充へ

AnimeJapan 2017のビジネスエリアがますます拡充する。2016年に43社46ブースあった出展が、2017年では59社52ブース、新たに参加する企業は16社にものぼる。新しい試みも行われ、海外向けだけではなく、アニメビジネスに新規参入を希望するバイヤーに更なる機会を設ける。AnimeJapanビジネスエリアはどう変わったのか。AnimeJapan 2017総合プロデューサーの手塚健一氏はまず、メインで掲げるテーマをこう語る。

「ビジネスエリアというのは海外の方向けのブース展開をメインに行ってきたのですが、例年のアンケートを見ていると、国内のビジネス来場者がかなりの数に上ることがわかりました。実際、我々実行委員会も国内ビジネスに従事しているので活性化のお手伝いができないものかという思いもあります。特に昨年は『君の名は。』をはじめとしたムーブメントを受けて『新規でアニメビジネスをしたい』という問い合わせの増加が見られました。ならばアニメビジネス初心者の方を拾ってアニメ作品の二次利用を広げていこうというのが今回のテーマとなっています」

AnimeJapan 2016のビジネス来場者は3300人(AnimeJapan発表)。2015年の2500人から800人の純増だ。そういったビジネス来場者の登録増を受けてさらなる拡充を目指す。開催日程の見直しも行った。2016年までは金曜日、土曜日で開かれていたビジネスエリアを2017年から木曜日と金曜日の平日開催へと改めた。これは海外来場者からのヒアリングの結果だという。

「海外来場者は土日に働きたくないという方が多いんです。国内の方もやはりビジネスでの来場は平日がいいだろうと。平日なら朝に直行でビジネスセミナーに参加できますし、午後から商談をしに行くということもできる。仕事の流れに組み込んで予定が立てられます」

3月末のこの時期、開催される海外向けの商談の場ではAnimeJapanが最大規模だ。そのためビジネスエリアにも人は集まってくる。あまりの混雑ぶりに2016年はビジネスエリアの入場規制も考えたという。

「今年はブースの組み方を考え直したりスペースをもう少し整備して、受け入れ体制を整えて行く予定です。出展ブースに関しては中国を中心としたアジアからの出展申し込みが増加していて、昨年はお断りしたところもあったんですが、整備したことでもう少しお招きできるように考えています」

ビジネスエリアの拡充は業界の発展・成長の手助けになると手塚プロデューサーは語る。商談が成立し企業の収益が増えれば新しい作品作りやイベントの企画・開催にもつながるのだ。

「AnimeJapanが、一般ユーザーさん向けに開催するだけではなく、裏側とも言えるビジネス方面でもお手伝いをすることでアニメ業界全体を盛りあげていければ、まさにAnimeJapanが掲げる『アニメのすべてが、ここにある。』というキーワードにもつながっていくと考えています」

当初海外向けに開設したビジネスエリアだったが、国内へも大きく視野を向けたのはなぜだろうか。

「やはり国内来場者が多かったのが1番の理由です。せっかく国内で開いているイベントですから、アニメビジネスをこれから始めようと考えている方に気軽に来ていただきたい」

海外向けにブース出展していた出展者と、ビジネスチャンスを探る国内バイヤーのすれ違いも修正していきたいと考えている。

「出展者側は海外に向けて作品やコンテンツを売りたいと考えています。一方、来場者に国内企業が増えているという現状では、出展者が望むような海外企業とのマッチングは起こらない。このギャップを埋めるために手を打ちたいという思いもあります。つまりこれまでは出展ブースに海外担当者しかいないというケースが多かったのですが、国内ライセンス担当者にもブースにいてほしいという要請を出しました」

今後は国内ライセンシーとの交渉の場としても有効活用していただきたいと語った。

■アニメビジネス大学を初めとした新たな試み

ビジネスエリアの進化はブース出展だけではない。まずは昨年開催された施策「プレミアムコラボレーション」を発展させた形で行われる展示企画の「アニメコラボレーション10選」だ。2016年に展開されたコラボレーションの事例から注目度の高い物をピックアップした。実際に関係者のコメントとともに紹介していく展示企画だ。

「2016年にアニメツーリズム協会も発足し、本格的に聖地巡礼が盛り上がっていこうという時期に来ていますからね。個人的に注目しているのは『沼津×ラブライブ!サンシャイン!!』です。沼津ではどういう形で盛り上がっているのかを見てもらえると思います」

2017年、新しく設置された施策で注目が集まるのは、国内のアニメビジネス新規参入希望者に向けた入門セミナー「アニメビジネス大学」だ。

「アニメビジネスのエキスパートたちが、成功例や実数、課題などを示しながら、実践的に理解していただければという目的の施策です。講座には、<アニメビジネスとは?>、<商品化とは?>、<アニメ作品を使った広告・販促とは?>、<地域活性化に向けて>という4つのカテゴリーがあり、基本的なことを分かりやすく把握できる場になっていると思います」

契約を取り交わすということや、ロイヤリティー(ライセンス使用料など)についてなど、普段なかなか触れることのない物事を知ることもできそうだ。

「今、さまざまな会社さんで新規参入へ向けた”アニメビジネスの部署”が立ち上がっていると聞きます。ただ、立ち上がったはいいけどじゃあどうすればいいの? という方に、アニメビジネス大学を活用していただきたいですね。講座が終わったら名刺交換の場を設けますので、その後、ブースへ回ってもらって相談や商談へのきっかけにしていただければと思います」

登壇するライセンサーにとっても活動をPRする場ともなり、作品を一緒に盛りあげるパートナーを募ることができる。登壇者、聴講者どちらにとっても魅力的な場になるはずと手塚プロデューサーは語った。

また、ライセンサーへダイレクトに繋ぐことができる「アニメ紹介パネル」も今回新しい試みだ。

「アニメ作品には多くのキャラクターがいますが、製作委員会方式をとっている作品だとライセンスホルダーがどの会社だかわからないケースもあるじゃないですか。ビジネスエリアの入口にある『アニメ紹介パネル』には、各キャラクターの窓口が示してあるんです。商談の時に迷うことがなくなると思います」

ブースに行く時間がなくても、パネルの横にある箱に希望のキャラクターと自分の名刺を入れることで、その後折り返しの連絡が行く、という形を取れるようにも考えているとのこと。これは相談窓口として2016年から開設されている「アニメビジネスコンシェルジュ」の発展系だという。コンシェルジュは今年も設置されるが多くの要望が集まるコンシェルジュは引く手あまたでなかなか空きが訪れない。また、コンシェルジュに相談するほどでもないちょっとした相談などは紹介パネルを利用した方がよさそうだ。

ビジネスエリアを活用し、ビジネス参入への不安を減らす。またアニメビジネスの実体がわかれば作品自体を盛りあげることにも繋がる。強力で有名なコンテンツのビジネスパートナーとなることや、独自に魅力を感じる作品を応援することなど、少しでも興味があるなら、実際に参加し話を聞いてみることでいろいろと見えてくるだろう。
最後に手塚プロデューサーは笑顔でこう締めくくった。

「普段アニメを楽しんでいる方だけではなく、アニメをうまく活用したビジネスで、見るだけではない盛り上がりを創出できればと思っています。特に2016年に『君の名は。』をはじめとした大きなブームが来たことで、アニメに対するハードルが下がっていると感じます。アニメビジネスに対するノウハウがない方たちに向けた施策をかなり用意しました。きっかけ作りに気軽に来ていただければと思います」

AnimeJapan 2017 ビジネスエリアは東京ビッグサイト 会議棟1F レセプションホールにて、3月23日(木)11:00~18:00、24日(金)10:00~17:00の平日2日開催だ。
《細川洋平》
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