「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」トム・ムーア監督が東京藝術大学で特別講座 時代を超えたアニメになった理由とは | アニメ!アニメ!

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」トム・ムーア監督が東京藝術大学で特別講座 時代を超えたアニメになった理由とは

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「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」トム・ムーア監督が東京藝術大学で特別講座 時代を超えたアニメになった理由とは
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アイルランドの民話をもとにした兄妹を描いた『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のトム・ムーア監督を招いた公開記念特別講座が横浜市の万国橋校舎で開催された。講座は東京藝術大学大学大学院映像研究科アニメーション専攻 教授 山村浩二のもと実現。アニメーションの世界を志す学生らが聴講した。

同作は第87回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされ、第28回ヨーロピアン・フィルム・アワードにて長編アニメ賞を受賞。幻想的で美しい映像で綴られる冒険は各国で高い評価を得ている。

講座はムーア監督がどのような手法で制作したか、モチーフの由来は何なのかなど、作品制作の根源に迫る内容。世界的ヒット作の裏側に学生たちの熱い視線が注がれた。

ムーア監督は、2人の子供と魔法の馬を描いたアイルランド映画『Into the West』の精神性、『となりのトトロ』にある郷愁や静けさ、アイルランド民話の語り部エディ・レニハンなどを『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の構想に取り入れたという。

ベンはムーア監督の息子ベンをモデルにデザインされた。シアーシャは「アザラシに変身するのは黒髪の女性」という民話をそのまま反映。その他のキャラクターデザインについても日本のキャラクターデザインの方向性を取り入れたことを明かした。
当初は120ページあったシナリオは「ダイエットするため」に何度も練り直され、それに伴いキャラクターデザインも幾度となく変化していった。
また「声もキャラクターを発展させるのに大切」と監督。ベンの声は4歳と10歳の2つの時期があるが、4歳のベンは監督の姪が演じたことで「より個人的な響きのあるキャラクターになった」と振り返る。

このように、作品のさまざまな部分で監督自身の愛する人々がベースになっている。シアーシャの誕生日のシーンは監督が10歳の誕生日に写した妹たちの写真をモデルにし、昔飼っていた犬のクーを登場させることは「作業に対してフラストレーションを解消するための、自分へのトリック」と話した。

制作段階でミュージシャンを密接に取り入れたのも特徴だ。絵コンテや脚本の段階で演奏を行うことで、アニメーターは録音した仮音源をガイドとして使用。

「大切だったのはスタッフを西アイルランドに連れていって、私がインスピレーションを得た景色を見せたこと」。

湿った芝生や湿気が自分の靴下にまとわりつく感覚を覚えてもらい、本来ならここでスケッチをするところだが、多くは風景を眺めながら酒を飲みしおしゃべりする時間に。「山のてっぺんで美しい風景を見ながらウイスキーを飲み交わせば、しつこいリテイクもやってくれるかもしれないからね」と監督は笑った。

作品では写真よりも絵画やイラストの手法を取り入れることを重視。背景は基本的に水彩などを使った手描き。地上の風景はガッシュを用い、Photoshopで調整したあとコンポジットで両方を組み合わせた。
もう一つ大きな役割を果たしたのはベルギーのスタッフが独自開発したソフト。水彩の良さを残しつつ濃淡を自在に調整することで、コンピュータを使ってなお手描きの質感を全面に出し雲や光に個別の動きを与えたアニメーションを可能にしたという。

「低予算で制作するため手法は制限されたが、最終的にそれが作品のテーマに響くような作り方につながりました。最新の技法と従来のやり方をミックスすることで時代を超える作品になったと思う」と締めくくった。

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』
8月20日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開
(c) Cartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm, Superprod, Norlum
《川俣綾加》
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