ヒラリーの最大スポンサー ハイム・サバンの軌跡-2- グレンダイザーの主題歌がミリオンセラーに | アニメ!アニメ!

ヒラリーの最大スポンサー ハイム・サバンの軌跡-2- グレンダイザーの主題歌がミリオンセラーに

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ヒラリーの最大スポンサー ハイム・サバンの軌跡-2- グレンダイザーの主題歌がミリオンセラーに
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豊永真美
[昭和女子大現代ビジネス研究所研究員]

[グレンダイザーの主題歌がミリオンセラーに-日本アニメとのかかわりが始まる]

■ 「ゴルドラック」の主題歌プロデュース

サバンは1978年に「ゴルドラック(UFOロボ グレンダイザー)」の主題歌をノアムに歌ってほしいという依頼を受けた。既に「ゴルドラック」はフランスで大ヒットしていたアニメであり、当初は日本の主題歌にフランス語の歌詞をつけたものが使われていた。主題歌を入れ替えたのは、その旋律が暴力的だという非難があったためとも、権利処理が面倒だったからともいわれている。権利処理が面倒なのは、フランスでは何度も再放送を行うためだ。そのたびに音楽の権利料を払っていると、非常にコストがかかる。権利処理が簡単な音楽があればテレビ局としては助かる。
サバンは「ゴルドラック」人気に目をつけ、自分でレコードレーベルを立ち上げた。サバン・レコードと命名されたレコード会社から発売されたノアムの「ゴルドラック」はシングル版だけで153万枚を売り上げた。フランスの人口が日本の半分であることを考えると大変なヒット曲だ。
続けてサバンは「ユリシーズ31(日本名:宇宙伝説ユリシーズ31)」、「謎の黄金都市(日本名:太陽の子エステバン)」の主題歌も手がける。この二つのアニメは日仏合作アニメであり、フランスサイドの主題歌を手掛けたのだ。ここでサバンはまた二つの教訓を得る。
一つは、フランスでヒットするものと、日本でヒットするものというのはテイストが違うことも多いということだ。

この二つのアニメはフランスでは大ヒットしたのだが、日本の評判は今一つだった。特に「ユリシーズ31」はフランスでは1981年にテレビ放送が始まったのだが、日本で放送されたのはなんと1988年で、名古屋テレビの17時台「機甲戦記ドラグナー」と「鎧伝サムライトルーパー」の間、しかも全26話のうち12話しか放送されていない。その後、フランスでのヒットを知ってか、NHKのBS2で1991年に放送されたようだが、日本で知る人はほとんどいないアニメだろう。ところが、フランスでは、サバンが作曲した「ユリシーズ31」の主題歌は115万枚を売り上げるヒットとなっている。アニメは今世紀に入っても繰り返し再放送がされている。
「太陽の子エステバン」はNHKで放送されていたアニメのため、記憶にある日本人も多いかもしれないが、大ヒットアニメという扱いではない。一方、フランスでは人気のアニメで、最初にフランスで放送されてから30年後の2012年には続編が放送された。

もう一つ、サバンが学んだのは、「日本のアニメだから乱暴」と非難されるとは限らないということだ。「ゴルドラック」は暴力的と非難されたが、同じく戦闘ものの「ユリシーズ31」は芸術的と評価を受けたのだ。欧米人が感じる暴力性を排除すれば、非常に高い人気を得ることができ、かつ非難もされないことを学んだことは大きい。

その一方で日本との協業で挫折もしている。1982年には「ルパン三世」の子孫を主人公とした「ルパン八世」の共同製作を進めたが、途中で頓挫した。失敗にはさまざまな経緯があるのであろうが、根本的には「ルパン八世」を製作するに際し、日本サイドが日本でのヒットを前提とした作りを求め、フランスサイドが欧米でヒットするものを求めた結果と考えられる。

なお、サバンは「ダラス」など米国人気ドラマのフランス語版の主題歌製作も行っていた。米国企業はサバンの力量を高く買っていた。サバンの強みはフランスに確固とした地盤をもっていることであり、そのことを米国企業は評価していた。

サバンは1983年に米国にも拠点作るが、フランスで学んだことをまとめると以下のとおりだろう。
1) 日本は確かに実在する国である。その一方で排他的なところもある。
2) 日本のコンテンツの弱点の一つは権利処理であり、権利処理を容易にすると流通が高まる。
3) 欧米との合作は欧米ではヒットする。かつ欧米と日本の合作により暴力的との非難をかわすこともできる。

このような知識を生かし、サバンはいよいよ米国でパワーレンジャーを展開していくこととなる。
《animeanime》
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