アニメライターの仕事術-第12回「見積もり」はとっていますか? | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第12回「見積もり」はとっていますか?

渡辺由美子さんの連載「アニメライターの仕事術」第12回目。今回はいままでのクリアしてきた内容をふまえて、さらなる課題へ進みます。連載は第2・第4火曜日に更新中。

連載
注目記事
■『アニメライターの仕事術』でこれまでクリアしてきた課題
さて、今までの『アニメライターの仕事術』を整理するために、これまでのあらすじを書いてみますね。

★アニメライターの私は、「大量の原稿を長期間かけてコツコツ仕上げる」ことが苦手でした。子どもの頃は、夏休みの宿題を8月31日までため込んでいました。【第1回】

★おまけに、その日の「気分」によってできる作業が極端に増えたり減ったりする「テンション型」人間。【第2回】

★GTDを導入して、作業を小分けにすることで「いつ終わるのかわからない不安」を解消して、達成感を得ることができました。【第3回】【第4回】

★記録をつけてみたら無駄な時間がいっぱい!【第5回】

★一日の軸となる「時間割」を作ってみました。【第7回】

★仕事をしていく上で壁となるのが「脳の疲れ」と「やる気が出ない」こと。リフレッシュの方法を書きました。【第6回】【第8回】【第9回】

★相変わらず「大量の原稿を長期間かけて仕上げる」ことは苦手のまま。
その原因は「時間の把握ができていない」ことだと考えました。【第10回】

★「ロジカルシンキング」思考法を見て、私は、まず全体を把握するトップダウン思考の人ではなくて、まず細部が気になるボトムアップ思考が強いのだと気がつきました。【第11回】←イマココ!


/

■正しく焦る方法は?
では、今回のお話を始めます!
私が、〆切日が遠かったりゆるかったりする原稿が早く上がらないのは、「まず全体量を把握した上で、作業を分割して割り振っていく」というトップダウン思考ができていないからだと思いました。

よかったのは、《思考法は訓練でどうにかなる》ところでした。自分の思考の癖をつかんでからは、仕事が来たときに「まず最初に! 全体量がどれだけあるかをチェックしてみよう」と検討する習慣ができました。

余談ですが、「テンション型」のように《感情に起因するものは訓練しようがない》という気がします……。私は気分が落ち込むと仕事の手が止まってしまう。それはどうしても直らなかったので、テンションを上げるとか、落ち込んだときにもう一度立ち直るとかの手段として「環境作り」を頑張っています。これは連載の後半でやりますね。

それにしても課題なのは、「〆切日まで、あとこれだけしか時間が残ってないよ」という脳内カウンターが働かないことでした。
仕事の〆切直前になって焦る私は、まるで「徒競走のゴールのテープが直前まで見えない近眼の人」みたいな状態。これがF1のレースなら、あと何周とか、現時点でのタイムや残りの作業分量のボードが出てくれるのになあと思います。

時間を把握して、〆切に対して《正しく焦る》人になりたい!
知人に相談したら、カレンダーに線を引いていく「ガントチャート」を勧められました。

【参照】
『SILAND.JP』より「ガントチャート」の項
http://siland.jp/sche-tem/ 

私の場合は、紙のカレンダーに、◯日から◯日までの線を引き、毎日こなすべき作業内容を書き込んだ『月間進行表』を作りました。

ガントチャートは便利でした! 〆切が同じ日に幾つも重なっている時は特に。
AとBとCの仕事が同じ〆切日だったら、カレンダーに線を引っぱって、先にAをやろう、その期間にも夕方からはCの作業をやろう、その後にBを一気に仕上げよう……というふうに、今もちゃんと使っています。

でも、〆切日が延びる原稿は、作業がどんどん遅れていってしまうのは変わらずでした……。数字や棒線を見て、「〆切がこの日だから、今この瞬間この作業を急いで仕上げなくては」という《正しい焦り》が持てませんでした。

■予定と結果の間には「見積もり」が必要
悩んでいたある日、仕事術の勉強会で私と一緒に発表することになった某電機メーカーのMさんが言いました。
「渡辺さん、《見積もり》は取ってますか?」

「見積もり」がどんなものかは知っていました。
私がバイブルにしている名著『残業ゼロの1日1箱仕事術』を読んだら、「仕事について『何分でどれだけの量こなせるのか』を見積もって、箱を積むように1日でできる作業量を積んでいこう」ということが書いてありました。

【参照】『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』(佐々木 正悟/中経出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/480613287X

とても納得したのですが、この本で書かれているのは「1日単位」だったので、長期作業の見積もりの仕方がわからず、そのまま挫折してしまったのでした。

その話をMさんにしたら、
「渡辺さんがやっている『月間進行表』と『週の作業記録表』の間には、『見積もり表』が要りますよ」
と、おっしゃるではありませんか。

進行表は「これからの予定」。
記録表は「これまでの結果」。
でも、予定と結果の間には、「この期間にこれだけの作業ができる」という「目安」が入らないと、実行可能かどうかがわからないのだそうです。
その「目安」が「見積もり」という言葉なのですね。

《進行表を作る→作業の見積もりをする→実際の作業をする→結果を記録する》
というのが基本パターン。

見積もりした作業について、時間が足りなかったり余ったりしたときは、次回の見積もりのときに反映する。
作業に必要な時間を細かく割り出すことで、長期の仕事でも〆切(納期)までの誤差を減らしていくということでした。とても納得しました。

■自分に合った見積もり方を考える
そもそも、私はどうして見積もり表の作成に挫折してしまったのか? 原因をもう一度考えてみました。『残業ゼロの1日1箱仕事術』には、PC用の時間管理ソフト「タスクシュート」の紹介が載っていたのですが、私はPC上のものやデジタルの数字に実感が持てないために、そのまま放置になっていたのでした。

【参照】PC用の時間管理ソフト「TaskChute」
http://taskchute.net/

1日の見積もり時間が可視化される「タスクシュート」。デジタル数字に親しんでいる夫はとても興味を持っていました。
けれども私は、デジタルの数字に実感が持てない。
数字の表示だけだと「時間の量」がピンと来ない。
時計は「あと何分!」がわかるアナログ時計愛用派です。

「PC上で見るデジタル数字」って、どんだけバーチャルの上にバーチャルを重ねているのか……。さっぱりピンとこない私は、自分なりの「見積もりツール」を作ることにしました。

PCではなく「紙」! と思った私はまずノートを広げました。
次回につづく!
《渡辺由美子》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集