アニメライターの仕事術-第4回 仕事が終わらない苦痛は「制限」で解消!(後編) | アニメ!アニメ!

アニメライターの仕事術-第4回 仕事が終わらない苦痛は「制限」で解消!(後編)

渡辺由美子さんの連載「アニメライターの仕事術」第4回目。GTDを使ってどう解決していったのか、そして解決できなかった事とは…。第2・第4火曜日に更新中。

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さて、「〆切が延ばせてしまう」Web媒体の原稿を書き始めた頃、いつまでも終わる気がしない気持ちを抱えて、(何もできてないのに)へとへとになってしまった私。
人間には「ここで終わり」というゴールや達成感が必要なんだと思い、多くの仕事術で多く利用されているGTD(TODOリスト)を始めました。  

やり方は
やる事を項目としてリストアップして→「今日」「今週」「来週以降」に分けて→優先順位を決める。
目標を、「他のやらなきゃいけない作業のことは考えないようにして、今この瞬間の作業だけに集中しよう!」というところに設定しました。


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■エンドレスな気持ちから解放された

GTDを導入して、よかったことがたくさんありました。

★「やる事を忘れてしまうかも」という心配から解放された
リスト化することで、今自分がやる事が明確になりました。人間の不安は、かなりの部分「わからない」ことから来ているという話がありますが、まさにそれ。
リスト化されていれば、仕事の全体の把握ができるようになります。

★多すぎる「やる事」を交通整理して、優先順位がつけられた
作業別に優先順位をつけたことで、「これが終わったから、次はあれをやろう」と考えられるようになりました。

★「やる事」がいっぱいあるという不安から解放された
「あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ」とパニックになってしまうと、脳をフル回転させることができなくなります。不安をかかえることは、モチベーション的にかなりのマイナスです。「やることはいつもひとつ!」と、コナン君的に唱えようと思いました(笑)。

★長期間に渡る仕事には「作業の細分化」が効いた
私の場合、期間、文章量ともにロングランな原稿に悩まされていたのですが、GTDで作業工程を細分化することで、「全体としてどれくらいの作業量があるのか」と「次の作業は何か」が一目でわかるようになりました。
これによって、この原稿は永遠に終わらないんじゃないかという不安が減り、仕事を始めるときに、「何から初めるのかわからなくて足がすくむ」ということが減りました。

■細かい作業でも、達成感は得られると気づく
GTDのキモは、「他をあえて忘れる」ところにありました。
該当時間以外は、「その事」を考えない。
できないという不安を断つ最大の方法は、目の前の対象に集中することなのですね……!

私が気づいたことは、もう2つ。
作業工程を細分化して、ひとつひとつにちゃんと「ゴール」を設けることで、「この作業は終わった~!」と思えるようになりました。
小さなタスクでも「達成感を得る」は大事!

私はそれまで、仕事というのは「成果物」だけが大事なのと思っていました。私のように「結果にしか意味がない」と思う性分の人は、作業の「過程」が苦しくて無駄なことだと思いがちです。
徒競走で、短距離走向きとマラソン向きがあるとすれば、圧倒的に短距離向き。ゴールのテープが見えないと、めげてしまうんです。

でも、GTDで細かくゴールを設けて達成感を得られるようになると、だんだん「小さな作業の積み重ねがゴールに繋がっているんだ」と、目の前の小さな作業にも意味を見出して、時々は楽しくできるようになってきました。
テンションが上がらないと着手できない私の場合、作業自体が楽しいと思えることが、集中力を上げるポイントなんだろうなと思いました。

……でも、GTDで解決できなかったことも、たくさんありました。
目の前のことに集中しようとしても、集中モードになかなか入れない時が多いのです。
午前中は気力を振り絞って原稿をなんとか進めても、午後になると次のスイッチが入らない。まあ朝は頑張ったしな~と、謎の安心感とともに、腰を落ち着けちゃうのです。

〆切が遠いものは、自分で重い腰を上げることがとても難しい!

ここから、さらなる工夫にチャレンジしていこうと思いました。

GTDをやってみて、発見したことがあります。それは「タスクは平等」だということ。
やる事を全部同じ大きさの文字で並べて見ると、自分にとって頑張らなきゃ! と気負うような重要な原稿でも、洗濯物をたたむみたいな日常業務でも、「必ずやらなければならない作業」という意味では平等なんです。

そして、気持ち的に重みのある仕事でも、軽い単純作業でも、所要時間としては同じだったりします。
このことに気付いてから、「時間割」を作ってみようと思いました。

■ 渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
アニメを専門にするカルチャーライター。インタビュー記事、評論、エッセイなどの原稿を書いたり、誌面を構成したり。web媒体『ASCII.jp』で「誰がためにアニメは生まれる」を、隔月刊『Febri』で「妄想!ふ女子ワールド」等を連載中。単行本『ワタシの夫は理系クン』(NTT出版)など。渡辺由美子ブログはこちら。
イラスト・宮原美香
《渡辺由美子》
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