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前田真宏監督が語る「日本アニメ(ーター)見本市とアニメの可能性」前編:『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』

「日本アニメ(ーター)見本市」はスタジオカラーとドワンゴが協力して、制作、届ける短編映像シリーズだ。第6話『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』の監督を務めた前田真宏氏に企画や制作について伺った。

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■ トップアニメーターたちの技

――もうひとつ、たぶん皆さん気になっているところだと思いますが、女の子が裸というのはなぜですか?

前田
日本アニメ(ーター)見本市の伝統として、吉崎監督による「ME!ME!ME!」の盛り上がりもあり、裸というのは今最も重要な要素になっていますから。「とりあえず脱がしました。」、というのは全くの嘘です。(笑)
別に横を気にしながらでなくて、自然とそうなったんです。目覚めたら小さくなっていたとしたら、服が対比物としていいかなと思いました。自分が着ていたものの中にいるというのが一番、「あ、ちっちゃくなった」と感じさせる。出発はその辺ですね。
本田君としては、素の人間の描きやすさがあったと思います。キャラクターもシンプルですから。エロ要素というよりは自由奔放に肉体が躍動したり、動くところを描きたいということです。

――走る、飛ぶ、跳ねるが、すごく多かったのですが、これは監督の考えですか?それとも本田さんからの要望ですか。

前田
本田君のオーダーを受けてです。最初はもう少し会話劇も入れたようとしていたんです。けれど、「いや、そっちじゃない」という話があって、もっと動かしたいのが見え隠れしていたので、「なるほど」と思って逆にせりふを極限まで切り詰め、動かすことにしました。

fd

――原画を描かれている方がすごい方ばかりで。これはなぜ実現したのですか。

前田
それがこの作品の見どころですよ。「見本市来ました!」みたいな。これだけ豪華なアニメーターで、多種多様な背景動画が見られる作品は他にありません!これはポイントです。
一重に本田君の人徳です。本田君は様々な劇場作品などで活躍されているのでアニメーター同士のパイプが太いんです。本田君が声を掛けてくれたので、皆さん多忙なのですが参加していただけたのです。
あとは「自分の絵がそのまま画面になりますよ」というのを割と面白がってくれたんです。最初に本田君と線の質を見せたいと話していました。今回、皆さんがご覧になっている線は原画そのものの線なんです。
普通は原画の後にある動画のプロセスのなかで、動画のかたが線画を整理整頓します。勿論動画のかたもプロですから、ニュアンスを拾って描くのですけども、それでも元の原画の絵ではないのでちょっとしたニュアンスは変わってしまいます。今回は原画はそのまま二値化せず、グレースケールのかっこいい部分を残して映像にしました。

――絵のタッチが『かぐや姫の物語』の技術とよく似ているなと思いました。

前田
ほぼ同じですね。『かぐや姫』をもう少しスリムにして落とし込んだものだと思ってください。動画検査の方は『かぐや姫』をやられていた野上さんです。教えを乞いました。

fd

――本作では背景は別なのですか。背景も原画の一部なのでしょうか。

前田
ケース・バイ・ケースです。ほぼ別ですけど、場所によっては背景動画の部分もあります。ただ動画の部分もいろいろ美術さんに描いてもらったテクスチャーを張り込んでいます。撮影さんにもすごく苦労してもらっています。

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