■スピーディーでダイナミックな殺陣やアクション!登場人物の関係性と感情や想いのぶつかり合いのシーンも必見。冒頭、三兄弟の仲の良さ、物語の設定をわかりやすく説明する場面がくる。原作を知らなくてもここでだいたいのことはわかるようになっている。そしてタイトルロール。原作やアニメをチェックしている観客なら「ある、ある」なシーン。時は明治時代の初頭。武士の世が終わり、時代は大きく変わった。そのあまりの変わりようについていけない人々がいた。特に武士だった者は、まず、刀を取り上げられる、商人や職人等と違って何か技術を持っている訳でもない。”謀反的”な行動を取れば捕まる。獄門処には、そういった不満分子が多く閉じ込められていた。地域の治安のために三兄弟、特に長男の天火は心を砕く。また、右大臣直属部隊・犲(やまいぬ)、天火はかつてその部隊に所属していた。天火には大いなる秘密があったが、常に弟たちのことを想う心は熱い。スピーディーでダイナミックな殺陣やアクションも見所ではあるが、なによりも登場人物の関係性と感情や想いのぶつかり合いのシーンも見逃せない。兄を越えられない、ちょっと劣等感を持つ次男・空丸。兄を誰よりも愛し、尊敬しているが、劣等感故に苛立ちを隠せない。末の弟・宙太郎、一番幼く、兄たちを慕い、まるで子犬のように後を追う姿が微笑ましい。玉城裕規、 佐野 岳、 百瀬 朔の3人の掛け合いが楽しい。素直に「仲がいいんだね」と思える。折にふれて野菜を届けにくる少女・錦、彼らには一服の清涼剤だ。300年に一度蘇るという大蛇の言い伝え、兄弟の大いなる秘密を軸に物語は進行する。獄門処に閉じ込められた不満分子を利用しようとする風魔小太郎。また、10年前の大怪我をしていたところを天火に助けられた金城白子、曇家に居候しているが、彼にもまた秘密があった。登場人物の心の交流もきちっと見せつつ、アクションは思いっきり派手に、ここは舞台ならでは。皆、技が決まっており、文句なしにかっこいい。重くなりがちな話であるが、ふとしたやり取りや仕草、動きに笑いも取り込み飽きさせない。映像を随所に使っているが、映像に頼りすぎず、”演劇”をきちんと見せている。舞台だけのオリジナルキャラクター、赤松一郎太、青木弥次郎、元武士だが、明治になって山賊に。廃刀令にもかかわらず、刀を所持。「サムライをなめるなよ!」と暴れる姿は哀しみが漂う。単なる悪役ではない。時代に取り残され、どうにもならない苛立ちが感じられる。獄門処の看守長・織田もまた、看守でありながらその職務を捨てて「政府は腐ってる!」と叫びながら刀を振り回す。ラストの大蛇のシーンは圧巻。映像を効果的に使用し、アニメにも負けない迫力だ。犲の隊長・安倍蒼世と天火の友情、男気があって清々しくも温かい。時代に翻弄される人々、その中で信念や友情、家族愛を貫くのは難しい。強い絆で結ばれる三兄弟、犲の面々の結束力、元武士のどうにもならない辛さ、誰もが持つ心の弱さと強さ、こういった普遍的なテーマを描いた舞台『曇天に笑う』。音楽もアコースティックギターの音色がちょっと物悲しく、新しい時代の狭間に落ち込んだ人々の気持ちを代弁しているかのよう。奥行きと新しい発見と解釈を生み出し、原作の良さを増幅。演出の菜月チョビ、劇団鹿殺しの座長・演出を務める。文化庁の新進芸術家海外研修制度によるカナダ留学後、本作が初外部プロデュース作品での演出となる。新進気鋭の演出家であり女優でもある。こういった若手はどんどん起用して欲しいものだ。舞台『曇天に笑う』(C)唐々煙/マッグガーデン撮影:清田征剛
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