映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』が、11月15日(土)より角川シネマ他にて公開される。本作は、漫画に革命を起こした男・辰巳ヨシヒロの半生を主軸に、彼の代表作をオムニバスとして織り込んで描くアニメーション映画だ。シンガポールの奇才エリック・クー監督によって2011年に製作され、東京国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭で上映され高い評価を得た。北米、ヨーロッパ、アジアの計9ヶ国で上映されたが、国内一般公開は今回が初となる。そんな本作の公開が迫る11月11日(火)、都内にて試写会が開催された。本編上映前には、アニメ・特撮研究家の氷川竜介さんをゲストに招いてのトークも行われた。はじめに「本作をご覧になった感想は?」と尋ねられた氷川さんは「ワンアンドオンリーの大変興味深い映画だった」とコメントした。辰巳ヨシヒロの半生を振り返る物語を主軸に、その間に短編が挿入される構成については「両方を行き来しつつも、映画としてひとつの主張がなされている。不思議な時間が流れる映画だ」と語った。さらに劇画の絵がそのまま動き出したかのような独特なアニメーション表現ついても言及した。「日本と欧米、どちらのアニメーションの手法とも違う」としたうえで、「辰巳さんのマンガの世界観をいかに映画化するかを追求している。観客に漫画を読むような感覚で映画を観てもらいたいのではないか」と分析した。本作の特徴は「海外の視点から日本のマンガ家の姿を描く」という点である。シンガポール人のエリック・クー監督については「日本人だと捨て去るようなものを拾い上げ、それをビビッドに描いている」とコメント。さらに「時代考証もしっかりしている。街の雑踏やクラクションの音に至るまで、細かい部分にまでこだわりを見せている」と評価した。辰巳ヨシヒロは高度成長を経て日本が世界で再び脚光を浴び始める時代、その暗部を描き続けたマンガ家だ。本映画では5つの短編から日本の真実があぶりだされる。氷川さんは、「現代の我々は、かつての日本のことなど素知らぬ顔で暮らしている。だが時間も空間も地続きである以上無縁ではいられない」と指摘した。そしてそれを再確認することによって「現実の世界が変わって見える。それは映画の重要な役目のひとつなので、そういう意味では極めて“映画らしい映画”だといえる」と見どころを語った。[沖本茂義]映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』http://tatsumi-movie.jp『TATSUMI マンガに革命を起こした男』(C)ZHAO WEI FILMS
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