「ドラえもん」全米放送、「忍者ハットリくん」アジア展開 テレビ朝日がアニメで海外目指す | アニメ!アニメ!

「ドラえもん」全米放送、「忍者ハットリくん」アジア展開 テレビ朝日がアニメで海外目指す

テレビ朝日のビジネスの次の目標のひとつが、海外展開になりそうだ。また、海外進出にあたっては、人気のテレビアニメやキャラクターを活用する。

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ゴールデンタイム、プライムタイムで視聴率年間トップ、通期連結決算が増収増益で売上高が過去最高とテレビ朝日ホールディングスが好調だ。そうしたなかでテレビ朝日のビジネスの次の目標のひとつが、海外展開になりそうだ。また、海外進出にあたっては、人気のテレビアニメやキャラクターを活用する。

2014年5月9日の日本経済新聞の報道によれば、テレビ朝日は米国のウォルト・ディズニーと『ドラえもん』英語版のディズニーXDでの放送で合意した。放送は週5回、合計26話を予定する。
テレビ朝日、藤子プロ、シンエイ動画らの日本の著作権者が、米国のスタジオに英語版の制作委託をするという。英語版は米国の放送基準に合せた変更をし、のび太の名前が「ノビー」になるなど登場人物の名前や道具名を変更する。制作された英語版は、米国以外の英語圏での放送も視野にいれていると伝える。

『ドラえもん』は、マンガ家の藤子・F・不二雄さんのマンガが生み出した人気キャラクターだ。1969年にマンガで発表され、1979年にはいまのシンエイ動画/テレビ朝日版のアニメの放送が開始、1980年からは劇場映画も製作されている。作品とキャラクターは30年以上にわたり、世代を超えて愛されている。国内を代表するキャラクターである。
一方海外では、東アジア、東南アジアを中心に大きな人気を博してきた。現地ではアニメの放送だけでなく、グッズやコマーシャルタイアップなどもあり、ポピュラー存在だ。
しかし、北米、ヨーロッパではこれまであまり注目されていない。主人公の性格や設定が欧米の文化に馴染まないとの指摘もあるが、テレビ放送やマンガ出版自体が少なく、そうした関係はよく分かっていない。キッズ向けの作品の人気獲得には、特に北米では大手放送局で放送は認知度を高めるうえで必須とされている。

今回の『ドラえもん』のディズニーXD放送は、そうした状況を突き崩すことになる。同局はニコロデオン、カートゥーンネットワークと並ぶ子ども向けの有力チャンネルである。米国での視聴可能世帯は7800万を超える。ここで週5回の放送は作品を知って貰うインパクトは大きい。
報道では計26話を放映としているが、この規模はトライアル的なもので、番組放送後の反応次第でさらなる展開の可能性もある。米国市場で大きなチャンスを得たといえる。テレビ放送で人気となれば、その後は、グッズや玩具など日本と同様に二次展開で大きな利益を得られるだろう。
一方で、作品に対する懸念も少なからずある。放送にあたり米国版を制作するとしている点だ。アニメ『ポケットモンスター』が登場人物の名前を変更したうえで成功した例はある。しかし一方で、米国の制作会社の大幅な修正を行ったアニメ『ワンピース』は、米国進出の初期の段階で大きくつまずいている。英語版がどのようなかたちになるのか、それが視聴者から受け入れられるのか気になるところだ。

一方、テレビ朝日は、藤子不二雄Aさんの人気作品『忍者ハットリくん』でも海外展開を進めている。こちらのターゲットは、インドを含むアジアである。アニメ『忍者ハットリくん』の人気がインドで高いことから、2012年にテレビ朝日とシンエイ動画、そして現地のコングロマリットのリライアンスメディアワークスがインド向けに新作シリーズを共同製作した。インドの大手子どもチャンネル「Nick India」で放送されたほか、日本でもアニマックスで放映されている。

テレビ朝日によれば、このシリーズ第2弾が2014年4月よりインドで放送開始する。前シリーズが好評を博しているようだ。
さらに、新たにマレーシアと韓国からも同様の制作発注を得たという。日本の人気作品を現地向けに共同製作する新たなビジネススキームを作りだしている。
『ドラえもん』と『忍者ハットリくん』に共通するのは、日本の人気作の現地化=ローカリゼーションである。日本のアニメが海外で受けるのは、むしろ日本的な特徴が魅力のためとの意見も多い。独自性とローカリゼーションの微妙なバランスをどう保つのかも、両作品は今後の参考になりそうだ。その成否は、テレビ朝日のアニメの海外戦略の鍵となるに違いない。
《animeanime》
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